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変人と神の子

 





 「大丈夫ですか!?アダム様!」




 ラウは心配げにアダムに聞く。アダムは小さく頷いてから、すぐさまブロセリアンド城の方角を向いて両手を前に出す。



 「…………ああ。それよりも、力を貸せ。


 こっちに干渉してこなくしたい。結界を張るぞ」



 「は」




 「お?」





 アダムとラウは青い光を纏う。

 ………考えたいことは沢山あるが、まずは向こうの世界がこの事で干渉してこないようにすることが重要だ。




 ____何故僕が『神童』と言われたのか。沢山の理由はあるが、1番は…………ボックス=ガーデンで1番強固な結界を張れるからだ。だからこそ、この場所に張られていた結界を壊せた。



 アダムは、大きく息を吸った。




 「____この場に最大級の結界を与える。


 アダム=ブロセリアンド=ガーデン」




 「………!」



 その場に、紅銀色の光が舞い踊る。未だに気絶している父親の姿が消えていく。消えていく、というか見えなくなる。向こうの世界が霧に包まれていくのを、冷たい瞳で見守った。




 …………もう、向こうに行くことは無い。

 19年生きた場所だけど、未練はない。



 ____さようなら、ボックス=ガーデン。



 アダムはその場で頭を下げた。

 そんなノスタルジックな雰囲気をぶち壊すのは、この男である。



 「ほぉ~、中々凄いじゃん」



 アドラオテルは色違いの目をキラキラさせて言う。アダムは雰囲気を壊され不機嫌な声を出した。



 「…………なんでここに居る?」



 「なんでって~、お、む、か、え♪」


 「わっ」


 アドラオテルはアダムの肩を抱いた。それを見たラウはすぐに魔法を唱えようとするが、アダムは手で制した。



 「ラウ、控えていろ」



 「ですが………」



 「いい。………アドラオテル、と言ったか。


 どういうことだ?」




 「アドでいいよ。………セラに会いたくて、来たんでしょ?


 俺が迎えに来た訳を話すよりも、まず何があったか聞きたいんだよね~。俺も何も知らないで連れてってセラに泣かれても面倒だし。


 で、何があったの?」



 「……………」



 アドラオテルは巫山戯た口調で聞いてきているが、目は怒りに満ちているのが見て取れた。



 セラフィールに何かがあった、と思うと黙っては居られない。そう思って言葉を紡いだ。



 「……………一ヶ月前、あの日___」






 * * *




 「…………ということだ」



 「………ふぅん」



 アダムと言う男に話を聞き終えた。

 まずは何があったのか聞くべきだと思ったのだ。元々セラフィールと恋愛に関して無干渉だったからどういう関係かわからなかった。けれど………




 「随分セラの事好きみたいじゃん」



 「…………何が悪いか?」




 アダムはギロリと音がつきそうなくらい鋭く睨んできた。物凄い開き直りで思わず笑ってしまう。



 「誰も悪いとは言ってないだろう?………にしても、セラは本っ当にヘタレだな。絶対父ちゃんに似たわ。男女の関係がそんな簡単に切れるわけが無いのになぁ………本当にごめんよ。


 アイツは超絶鈍感で生娘だからなぁ」



 アドラオテルの言葉にアダムは顔を真っ赤にして後ずさる。しかし、それでも言葉を紡いだ。



 「あ、アイツは……その、生娘、なのか………?」




 「ああ。まっっっったく男遊びをしない女だからな。………安心したか?」



 「~ッ、う、うるさい!」




 真っ赤になりながら怒るアダムを見てまた笑った。




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