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神の子は相談する

 




 「お前は馬鹿か」



 「……………」




 ブロセリアンド王城の『神の休息』と呼ばれる部屋で、アダムはそう言われた。


 そう言ったのは沢山の裸の女神を取り巻きに悠然と同じく裸で大きく丸いベッドに凭れる銀髪のショートヘア、赤瞳の美青年のアーヴィン=ブロセリアンド=ガーデンだ。アダムの兄である。



 アーヴィンはあからさまに嫌な顔をするアダムに言う。



 「人間の娘を神の住まうこの地に招いて妻にするなど当たり前にダメだろう」


 「人間ではなく龍神と天使の子供です、人外ならばいいじゃないですか」



 アダムはぶっきらぼうにそう言う。

 ………父親に話を通す前に兄上に話した方がいいと思ったのだ。女たらしでいつも香水臭いけど、僕が頼れる唯一の兄であり友のような存在だ。だから今のように相談したが、その兄上はツン、と顔を背けて女神の乳を揉みながら言う。



 「龍神は聞いたことがある。しかしあれは神ではなく異形だろう。元々は人間の魂の寄せ集め。ここは完全なる神の土地だ。


 そんなのを聞いたら父上が雷を落とすだろうな?」


 「父上はどうでもいいのです」


 「どうでもよくはないだろう。親なんだから」


 「神に親など不要です。神は神。神が敬うなど片腹痛い」



 「はぁ……お前は昔から優秀なのに本当に変わっているよな。あのこの世界の中心である父上___ゼウス=ブロセリアンド=ガーデンの悪口を言うのはボックス=ガーデンでお前だけだ。



 それはともかく、やめておけ」




 「何故ですか」



 「俺もこれでいて神らしいお前が死ぬのは嫌だからな。消滅させられたくないだろう?


 そもそも、そんなことをしたら父上はその人外を殺すだろうな。愛する女をむざむざ殺されるのを見たいの?そんな趣味?」



 「………ッ」



 けたけたと他人事のように笑う兄に怒りを覚える。

 ゼウス=ブロセリアンド=ガーデン。

 このボックス=ガーデンの全知全能たる神で父親だ。この箱庭のような息苦しい神々の世界を作った張本人で、女神を追い出した男でもある。全ての神の父だと豪語する滅茶苦茶な男。


 兄はこう巫山戯ているが、言ってることは至極まともな意見だ。



 …………やはり、セラフィールをこの世界に連れてくるのは無理か………ならば、どうすれば………



 「どうすればいい~、ってか?大変だねえ、人間に恋をした神というのは。


 お前を溺愛している父上が知ったら卒倒するんじゃないか?」




 「そのまま死んでくれれば僕は彼女を連れてこれるのに………」



 「………」




 そうサラッと言ったアダムに、アーヴィンは閉口した。



 ………重症だな。無茶をしなければいいんだが…………



 ほんの少しこの先の未来が心配になったアーヴィンだった。





 * * *




 「うーぅー………」



 その頃、セラフィールは自室のお気に入りの机で頭を抱えていた。考えているのは『花火大会』への誘い方だ。



『花火大会』___それはサクリファイス大帝国前皇妃と自分の父親、この世界を安寧させる聖女が意見を出し作ったサクリファイス大帝国のお祭りだ。



 ナナちゃんとビスカリア様はわたくしに『アダム様を誘え』と言っていた。それのプランも考えてくれた。この気持ちを無下にしたくない。


 なにより………そんなの関係なしに、アダム様とお祭りは行きたい。



 「………わたくしは、どうしたらよいのでしょう………」



 「………何がですか?」



 「それは_____ッ!」



 ふと、声がして急いで振り返る。

 そこには………紫銀の長髪、黄金がかった緑の瞳の弟・フィアラセル・リヴ・レドルド・サクリファイスが立っていた。






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