お節介な友達は
「貴方、そのアダムって子ともっと居たいと思わない?」
「え…………それは………」
____凄く思います。4日に1度という約束ですが、それを後悔しております。最も、そのくらいの頻度でなくては城の者に見つかる可能性があるから言えないけれど。
「触れたいとは、思いませんか?」
「えっと…………」
また抱きしめて欲しい、いいえ、手を繋ぐだけでもいいです。殿方ゆえにあまり触れられなくて、寂しくなったりもします。
「…………婚約したいと思ったことは?」
「……………」
何度思ったかわかりません。きっと、幸せなんだろうなぁ、と思っております。
「…………」
「…………」
ナナとビスカリアは真顔になる。
セラフィールの思考が全部ダダ漏れであるのだ。小さな頃からセラフィールは彼女の父親と同じで隠し事ができない。それを知っている幼なじみ達ははあ、と溜息をついた。
「………セラ、よく聞きなさい。
それは………完璧なる恋でしょーがっ!」
「いたっ!」
ナナはスパーン!とキレのいい音を立てて、セラフィールの頭を叩いた。痛い。しかし、ナナは得意のマシンガントークで言葉を紡ぐ。
「なんでアンタはいつもいつもいつもいつもそうなの!?どう考えたって恋じゃない恋してるじゃない両思いじゃないッ!
今までの男の子と明らかに違う感情なのに一緒くたにしてアンタはそれでも乙女!?こんなにおっぱい大きくなってきているのになんで自覚しないんだ~!」
「ひゃあっ!ナナちゃん!胸を揉まないでくださいまし!」
セラフィールはナナに胸を鷲掴みされて顔を真っ赤にする。女同士でもやっていいことと悪いことがあると思います!
そんな混乱状態のセラフィールにビスカリアは追い打ちをかける。
「セラ様、セラ様はそのアダム様が好きなのです。それは完全なる恋なのです」
「こい………?なぜ、わたくし達が泉で鯉を飼っているのがわかるのですか?」
「そっちの鯉じゃありません」
ビスカリアはにっこり笑いながらピシャリとその言葉を否定する。そして続けた。
「セラ様はその御方を『友』としてではなく、『男』として見ているのです」
「???」
ここまで言ってもセラフィールは首を傾げる。それを見たナナははぁ~と大きな溜息をついた。
「だーかーらー!セラはその人を『愛している』のよ!」
「…………ええ!?」
セラフィールは大声を上げて立ち上がった。顔は茹でダコのように真っ赤だ。
アダム様を愛している……!?愛しているというのはわたくしのお父様、お母様が互いに言い合っているあの『愛している』ですか!?そんなのわたくしが思っているわけ…………!
セラフィールはそこまで考えて、アダムを思い浮かべる。たまに見せる笑顔で『愛している』と言う彼を思い出して………元々赤かった顔をこれでもかと赤くし、言葉を失った。
「……ッ、ッ………」
「口をパクパクさせたってだめよ。事実なんだから。
ねえビスカ、このお馬鹿セラ、大丈夫だと思う?」
「重症ですね。多分口で言ってもわからないですわ。何かきっかけを作れば………」
「きっかけねえ…………あ!そうだ!」
ナナは少し唸ってからぽん、と手を叩いた。そして、未だに顔を赤くして固まっているセラフィールに言った。
「セラ!近いうちに『花火大会』があるでしょ?それに連れてってみなさいよ!」
「え、な、なんで…………?」
「恋を自覚するにはデートが1番手っ取り早いのよ」
「デッ……デデデ、デート!?」
「それはいいですわね。サクリファイス大帝国の花火大会は規模も大きく美味しいものも沢山あります。
そうと決まれば早速デートプランを考えましょう!」
「いいわね!ナナも意見を出したげる!」
「あ………う…………」