9話
《ゼネファ商会》
日用品雑貨から食料品までなんでもござれな商会である。現在母の代は主に貿易が中心になっているが祖父が築き上げてきたものもちゃんと管理出来ているのが母のすごいところだ。
大体は祖父が潰れそうな店を買い、立て直し系列店として迎え入れた事から始まる。
余程の悪徳店主じゃなければ前の店主と従業員に経営を任せていた。
ゼネファ商会の名前を貸す代わりに経営や品物に口だす権利を貰ったと言えばいいだろうか?
品物もゼネファ商会が贔屓にしている所に変えたりね。
そうすると問題が出てくるのはその店で贔屓にしていた下請けが仕事が減り、潰れる危機に陥りそうになる。
そこで祖父は職人さんの腕前の基準を設けた。基準を越えている下請けはゼネファ商会に迎え入れ、基準に伴っていなかったら職人を派遣しその下請けを指導。時には独り立ちできる新人の工房として買い取った。
気づいたら国でも5本の指に入る商会まで大きくなる。
始めこの経歴を聞いたとき、え?お祖父ちゃんって転生者??って程にチートだった。
大体は感謝されているが恨みを持たれることも多い。品物を運んでいるのを盗賊にリークされたり、護衛をしていた冒険者や傭兵が裏切りを働いたりと問題が出てきた。
まぁ、その情報は祖父の元に届いて逆に相手を犯罪奴隷に落としていったそうな。
今回は情報が届いたから良かったが次もそうとは限らない。そこで祖父はその問題を契約という形で解決した。
腕の達荒くれものを集めた用心棒部門を立ち上げたのだ。契約書という確かな裏切らない枷をつけた用心棒たちは店を直接襲撃される事もあるだろうとのことで各店舗に数人常駐。
武力に関して素人だった祖父は縁があった当時若く実力者だったロベルトに注意事項や訓練を頼んだ。
そうして出来たロベルト仕込みの用心棒部門は荷運びは勿論下手したら町や村の盗賊退治に成果を挙げた。
元々有名な商会だったのもあり、目をつけられていたのもあるだろう。
盗賊退治の成果に何人か騎士として国に入れてくれないかと打診された。祖父は希望者がいれば入れると答えたそうだ。
しかし、祖父が思っていた以上に希望者はいなく。荒くれものが多い自分達を受け入れてくれた祖父に尽くすと答えたのだ。
国はヤバイと思ったのだろう。物流を止められたら国が機能しなくなるのは目にみえているうえに用心棒部門という武勢力を持つ祖父は下手した辺境伯の影響と同じぐらいあるだろうと考えられた。
国は祖父に準男爵位を与えた。
貴族は反逆しないように王族に誓いをたてる。誓いや契約って魔法が絡むから絶対にちぎれない首輪だ。
祖父は疚しいことはないので貰うことにした。
父の嫁にするために貴族たちは商会を乗っ取ろうと娘を送り込んできた。
祖父はめんどくさいことになったなとあることをする。
それは我が家のありもしない伝統と嘘をつき貴族の娘ではできない無理難題を言い渡すことだった。
クリア出来たのは母だけだった。
さて、何故その話をしたのか説明しよう。
我が家では私が5歳の頃からある訓練を行っている。
それは誘拐や非常事態を想定した訓練だ。
縄脱けから味方への合図、最終的にサバイバル訓練も入っている。
このサバイバル訓練は迷惑なことに我が家に嫁や婿に入るのにクリアできなければいけないことになったからだ。
普通に考えて嫁や婿ができなければいけないなら、その我が家は出来て当たり前だよね?となるよね!
幸い父はサバイバルは出来た。植物に強かったのもあり、簡易テントを作って生活していた。下手したら馴染んでいた。(祖父談)
シンにはこの訓練に一緒に参加して貰おうかと思っている。
選択の一つにシンを弟の補佐として残すのもありだし、執事になるのもありだと思っている。どのみち選ぶのは彼の自由だ。
我が家の特殊訓練に耐えればどんなことがあっても大抵のことには対処できるだろう。
まあ、秘書には護衛の目的もあることを後で説明しなければ。
べ、別に浮かれて説明するのを忘れていた訳ではないんだから!……いや、浮かれて説明し忘れているのまだあるかな?いや、今の段階ではこれが限界だ。母の許可がなければできない説明もあるし……。
やっぱり推しなのもあって贔屓しちゃっているのかな?余計な御世話かな?
ま、問題があれば追々考えますか!
まずは体力と筋力をつけて貰わないとね!身体が資本だもの!