4話
次の日、朝は低血圧でなかなか起きれない私が自主的に起きる程今日と言う日を心待ちにしていた。食堂に向かったら家族に驚かれた。失礼な大事な日は私は起きれるよ。
朝ごはんをしっかり食べて出掛ける準備をする。
玄関前で昨日の内に小分けにしておいたお金をロベルトに預けた。
ロベルトはまだ納得していませんという顔をしているが、一度決めたことに絶対に譲らないのが私である。
いざ、闇市へ!!
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確かこの辺にあったはずだとロベルトに伝えて馬車に乗った。
あの場所かと顔をされたんだが何か不味かったかな?
ま、見つけてしまったものは仕方なしだよね?だって推しが生で居たんだよ?生きて動いて言葉を発して……。理性より本能が動いたってしょうがないよね?
前世では推しの抱き枕と寝てたんだから禁断症状が今まで出なかったことが可笑しいでしょう?
これからおはようからお休みまで言える日々。はぁ、最高だぁ。
胸がドキドキしてきた。服は可笑しくないかな?早くついてくれないかしら!
昨日と同じ店についた。推しは表にいないから奥にいるのかな?
「こんにちは~、すみませーん。昨日予約したものですが~。」
奥から奴隷商人が出てきた。一瞬私の顔を見てマジで来たのかよってされたんだけど。流石プロなのかニコニコと早速商談に入る。
「いらっしゃいませ。お嬢様昨日の奴隷ですね?」
「ええ、そうよ。私、あの子が欲しいの。」
「では、奥でお話ししましょう。」
「わかったわ。」
案内された通りに店の中に入る。応接間にあるソファに案内され、此方でお掛けくださいと勧められた。
私が座るとロベルトは後ろに立って奴隷商人を見据えていた。
「ではお嬢様。ご金額は此方でお間違えないでしょうか?」
奴隷商人が出してきた契約書を隅々までみる。……うん。こちらに不利なことや金額に不備などないかな。
念の為にロベルトに見て貰う。一つ頷いて大丈夫だと契約書を私に返された。
契約書にサインをする。名前を書くのに手が震えた。
無事にサインを終えロベルトにお金を出して貰う。
お金を受け取った奴隷商人は少々お待ちくださいと言って奥に入っていった。
しばらくして首輪と手枷をつけられた推しが出てきた。
「商品は此方の10歳の少年、病気や呪い等はなし。何度か脱走を試みる等従順とは言えません。間違いはありませんね?」
推しの顔を確りみて頷く。
「ええ、私が欲しいのはこの子よ!」
「では奴隷紋の契約者をお嬢様にするために右手をお出しください。」
奴隷商人は私の右手に筆で模様を描いていく。
「此方の紋に右手で魔力を込めてください。」
推しの胸元を拡げ心臓の上にある奴隷紋に私の魔力を込めろという。これで、私は推しの所有者になる……。
ゆっくりと魔力を込めた。一分ほどしただろうか奴隷紋と私の右手にある紋が光りだした。
しばらくすると光は消え私の右手の紋は消えた。推しを見てみると心臓の上にある紋の色が黒から赤に変わっていた。
「お疲れ様でした。これでこの奴隷はお嬢様の所有になります。」
最近魔法の基礎勉強をしているお陰か推しと魔力で繋がっているのがわかる。
右手でそっと推しの手を握る。
「まずはそうね。家に帰ってお風呂にしましょう。家族に貴方を紹介しなくちゃ!」
推しの眼をしっかり見てゆっくりと告げる。
「話はそれからね。大丈夫これでも商人の娘よ。約束は必ず守るわ。」
推しは一言も喋らずに黙って私の後をついてきた。
握った右手は振りほどかないことに一先ず安心する。
私は上手く悪役令嬢の魔の手から推しを救出できたことに安堵した。
これから私が推しを幸せにするからね!
原作なんて知ったことか!あれはあくまでifの世界線!此方で生きている私が何とかするんだから!
大丈夫、原作力なんかに負けないわ!だって乙女ゲームの舞台である学園に関わらなければ良いんだもの!
これからを想像するだけで胸がときめく。