3話
家に帰って早速私は父の所へと向かった。
母は仕事で1週間は帰ってこない!居たとしても基本的に自己責任主義なので問題はないかな?
ま、念のためにプレゼンは作っておく。これでも父を騙そうとした詐欺師を泣かした実績はあるものだ。
父はこの時間帯は庭の畑にいるはずだ。
案の定父は水やりをしながら鼻歌を歌っていた。
「ただいま帰りました!お父さん!私奴隷が欲しいの!!」
ガコンッと手にしていたジョウロを落としていた。
「シャオリー、どういうことだい?ど、奴隷なんて一体何処で!?」
あー、やっちゃった。焦りすぎて説明の順序がごちゃごちゃになってしまった。
「お、落ちついて!ホラッ、あちらでお茶を飲みながらゆっくり話しましょう?」
「う、うん。わかったよ。」
私も落ちつくためにお茶を提案した。
やっぱりお茶の香りって落ちつくよね。
父も落ちついたのか本題に入れそうだ。
「今日お散歩してたらね。運命の出会いがあったの。年は私と同じか少し年上かしら。その子は奴隷でね、酷い扱いをされてきたのかガリガリで何度も奴隷商に戻ってきているとのことよ。」
グスッグス。これだけで父は泣き出した。嘘は言ってない。
「うぅっ、それは、かわいそうに。いいよ。家で引き取ろう。」
「え?いいの?」
え、いいの!!ここからプレゼンが始まるのに!
「シャオリーが自分から欲しいというのもはじめてだもの。何か考えがあるんだね。お父さんは反対しないよ。」
ニコニコしながら娘を信頼してくれる父。ごめん。自分の欲望のままに行動して、自己満足のためです。
「なら、明日迎えに行くわね!お金を持っていくんだもの。護衛にロベルトを連れていくわ!」
「あぁ、そうだね。ロベルトなら大丈夫だろうね。」
ロベルトとはこの家の執事で家の指揮を任せている。
母は家に居ないことも多いので父のお目付け役だ。母も父の人のよさが心配だったらしい。
詐欺に引っ掛かりそうになっていたのを私は少なくとも数回見ているもの。
私が犯行現場を見つけたらお引き取りを願ったりして追い出しているが、私たちが見ていない時もある。その瀬戸際で止めているのはロベルトだ。
元騎士だったのもあり、腕にも自信があるとのこと。
父の許可を貰ったので、ロベルトに明日の予定を伝えることにした。
「ロベルト!明日の予定って空いている時間があるかしら?」
「お嬢様、屋敷の中をバタバタと走ってはなりませぬぞ!」
「ごめんなさーい!ねぇ、明日!明日私のお買い物に付き合って欲しいの!」
「明日でございますか?明日は特に急ぎはありませぬぞ。」
「やったー!なら、明日の午前中に迎えに行く約束があるから!」
「迎えに?お嬢様、何を買う予定でしょうか?」
「うん?奴隷を一人買うつもり!あ、明日までに部屋を一部屋空けておいてね!私明日の用意をしてくるわ!」
追及が来そうなので退避します!
スタコラサッサと早歩きでその場を離れる。
フリーズしていたロベルトは正気を取り戻して私の名前を大声で呼びはじめた。
怒られるとわかっていて誰が戻りますか!
待っていてね!私の推し!暗くてジメジメした檻の中なんて貴方には似合わないわ!