28話
「何故、俺が王族だと思った……?だとしたら、拐われた時点で帝国は大事になるはずだろ?」
「簡単さ。帝国は昔から弱肉強食がモットーにしているからね。脱落した王族なんて一々構わないだろう。」
「どんなに王位継承権が低くても止めを刺す。だから呪いを使うのさ☆……脱落したら即ポイ捨てなのは、本当に変わらないなぁ。」
思い出さないようにしてきた記憶がフラッシュバックする。
炎と悲鳴。そして双子の片割れの顔……。
「それに、あれだけ呪いがベタベタつくなんて普通はありえないことなんだよ?」
そう歌うように告げた魔法使いは組んでいた足を入れかえた。
俺は拳を強く握りしめた手を見続けた。
もう、ボロは出せない。
「うーん。お姫さまに話してもいいけど、その誓約が呪いと同じようにバラした相手を害する可能性があるしなぁ。」
ぼやきに近い独り言だったが聞き捨てならない言葉を聞いた。危うく流すところだった。
「おい!……誓約が呪いと同じように契約者以外を害する力があるのか?」
「あるよ~。だって元々は同じ系列の魔法の部類に入るのだし、逆もまたしかり~☆」
「なら、何故。今真実を知っているあんたには効いていない?」
「え~、ひ・み・つ♪」
パチリとウィンクして誤魔化してきた。
俺は自らの出自を他者に話してはならないという誓約を交わした。
交わした当初は自分から言いふらさなければいいだけだ。ヒントを与えて答えに導かなければ何ら罰は自分に降りかかる事はないだろうと思っていた。
ニコラスの、言っていることが正しければ。ヒントを与えて真実に辿り着く者も何かしらの罰がくだされる事になる。
だが、俺がボロを出して真実に辿り着いたニコラスはケロッとしている。それに俺もバレたのに何も罰が降らない。
「……何故罰が降らない!」
「そりゃあ、バレた場所がこの別邸だからさ!」
さっきも言っていた。この別邸は呪いが発動しないと。
「言っただろう?誓約も呪いも元を辿れば同じ魔法。俺はこの別邸にその元となった魔法をキャンセルする魔法をかけているだけなんだよー☆」
サラッととんでもない事を言い出した。無知な俺でもわかる。こいつ、とんでもない魔法使いだ。
頭が痛くなってきた。こいつと二人っきりは耐えれそうにもない。
ガバリと勢いよく立ち上がったニコラスは俺の両手を強い力で握った。それに引っ張られる形で俺も立ち上がる。
「ねぇねぇ、君。俺の弟子にならない?今ならなんと!世界征服は勿論!呪った奴らに呪い返しが出来るようになっちゃうゾ☆」
俺は無性にシャオのツッコミが欲しくなった。




