14話
婚約者の件は学園で自分でハントしてこいということで話は終わった。その後家族で花茶を楽しみながら母の予定が狂った理由を聞く。
王都にある支部で何やら騒ぎが起きたらしくその対処をしていたのこと。
相手は貴族でこちらは平民。
何が気に入らないのかずっと癇癪を起こしている貴族令嬢。その子がまたとんでもない我が儘を言いたい放題で店主では判断がつかないとの事で王都に来ていた母にヘルプが来たとの事。
「驚いたわよ。歳はシャオリーと同じぐらいで。あの癇癪、アレは常日頃から大暴れしているわね。」
「へ、へー。それは災難だったわね。」
絶対に関わりたくないなぁ。ま、王都になんて年に2回ぐらいしか行かないもの関係ないか。
「シャオリーと学園に入る時期が被りそうよね。」
あ、そうだった。貴族になれば学園に入学しなければいけないのか。
他人事の様に考えていたよ。そうなると私……もしかしてガッツリ原作に関わっちゃう系?になるのかな?
推しの為に原作に関わらないように学園に入学しなければ無問題とか思ってたんだが?
気のせいか?私の当初の予定がズレてきている気がする。
「その子は何が欲しかったの?」
「うちが扱ってない品よ。専門外なんだから無理よね。誰よ。うちの商会に来れば問題は解決するって言ったの。」
確かにうちの商会に来れば大概の問題は解決できるわね。平民の生活用品を取り扱っているから。
そもそも貴族は基本的に貴族街で買い物するものだ。店主はさぞ困っただろうな。商会に来る貴族って身分隠して来店するって聞くし。
「うちには動物は扱ってないわよ。って告げたのよ。そしたら店の棚の物を倒すわ踏むわで大暴れ。はぁ。思い出しても頭が痛くなる。」
す、すごいな。
「で、王妃の宮で世間話のついでにちょっと愚痴ったら『平民の身分だから泣き寝入りになるのよ!なら爵位をあげるよう陛下に伝えておきますね♪』って言われて次の日には今年中には男爵位を貰う手筈になっていたわ。」
「それは大変だったね。蘭花。お疲れ様。」
母は横にいた父にいい子いい子と頭を撫でられていた。
「つーかーれーたー!せっかく新商品の戸棚を設置したのに踏みつけられたのよ!」
うちの系列店が王妃の宮で月に一度アクセサリー等を売りに行っているとは聞いていたけど、母本人が王妃とお茶をする仲とは初耳なんだけど……。うん。気にしたらダメだな。
母からしたら世間話のついでの出来事を王妃に話したところ。王妃は何を勘違いしたのか爵位がないからやられっぱなしなのよ!と斜め上に解釈した。ということらしい。
そんな理由で男爵位を貰ったの?まあ、使えるカードはいくらでも大歓迎だけどね。
私だったら、この問題をどう対処をするだろうか?お店を出禁にして関わらないようにする?泣き寝入りはしたくないなぁ。
「あの令嬢には質が悪い奴隷市場の場所を教えたから後は知らなーい。」
「えっ?王都にも奴隷市場があるの?」
「いいえ?貴女が行った奴隷市場の2、3本奥の方にあるのよね。関わっちゃいけない所が。」
わ、悪い大人だ!それを子どもに教えたのか!
「その子、無事に生きてるといいね……。」
隣に座っているエミールが私の服の裾をギュッと掴んでボソッと呟いた。
や、やめてー!!自分の母親が犯罪の片棒担いだなんて聞きたくなかったよ!
「フフフ。あら、私は親切で教えたのよ。行くか行かないかなんて知らないわ。……結果朝日が見えなくても……ね。」
こ、怖いよ!今日はエミールと一緒に寝よう。夢に出てきそうなんだもん!
……きっと面白い物が沢山あるとか言葉巧みに誘導したんだろうなぁ。ロバになっていなければいいけど。
そういえば新商品の原材料の交渉がかなり苦労したって言っていたもの。そうとう頭にきたんだろうな。
令嬢に心の中でソッと手を合わせた。
……お願いだから身内から犯罪者が出ませんように!!