待たせたな、公爵令嬢。
こじらせてます。 @短編その45
ここは騎士団付事務方王城支室・・・
「はーい、この領収書は受付ませーーん」
「なんでだよぉ、サイレア国の騎士団長を接待したんだぞぉ」
「で、なんで一番高いプロウワに行くんだよ。貴様が行きたかっただけじゃろうが」
「ロロエさーーーん、お願い、自腹立替してるんだよぉ〜〜」
ロロエはすぱーーーんと、エドワズ騎士団長の顔に領収証を叩きつけた。
ちなみにブロウワは城下町一の高級ラウンジだ。
「駄目じゃボゲェ」
「はう・・厳しい。でもそこがいい」
ロロエは公爵家令嬢なのに、働いている超変わり種。
まあ次女なので、好き勝手させてもらっているようだ。
そしてエドワズ騎士団長、この人は名誉騎士で、侯爵の爵位を賜った有能な騎士だ。
でもモテ男で女遊びばっかしてて、しょっちゅうモメている。
実はこの二人、同い年なのだ。28歳だ。ロロエさん行き遅れ・・・
さて、ロロエさんのお仕事は5時で終わりました。
事務方仲間は3人です。騎士団の経理担当はロロエさんです。
「ロロエさん、ちょっと」
同僚のベスが声を掛けてきました。
「残業はやらないよ」
「そうじゃない。これ、騎士団詰め所に持って行って」
「えー」
「どうせ行く方向同じでしょが、頼むわ」
「へーーい」
公爵令嬢とは思えない口調ですが、彼女は学園を卒業してからずっと、ここで勤務しているので雑な騎士言葉が移ったようです。服も士官風のパンツとズボンです。
ただ、その・・・彼女はとてもグラマーなので、胸に釣られる奴らもいますが、彼女は魔法が使えるので大半の男は反撃を喰らいます。その昔、学園では1、2を争う腕を持っていたのです。
本当は、ロロエさんは騎士になりたかったのです。
でも親が許してくれなかったのです。男の群れの中に、娘を放り込みたく無かったのです。
仕方が無いので、公爵家を出て働き始めたのです。ちょっとした反抗心でした。
でも元から有能だったロロエさん、そのまま事務方で居ついてしまいました。
「くそう、エロワズに会わんといかんのかい」
ぶつぶつ言いながら、出て行きました。
「ねえ、ベスさん。なんでロロエさんはエドワズ団長に塩対応なんですかね」
「ああ、まだ君ここに入って間が無いもんね。あの二人は学園時代からライバルだったんだ」
王立魔法武術学園という魔法と武術を習う学校があって。
公爵令嬢のロロエさん、平民でも領主の推薦で入学したエドワズさん。
ふたりは卒業するまで一、二位を競いあうライバルだったのです。
そしてふたりは騎士団に入団が決まっていたのですが、父親の横槍でロロエさんは入団が叶わなかったのです。
有能なエドワズはどんどん功績を上げて、名誉騎士にまでなって、最近爵位も手に入れて。
さあ、それに対してロロエさんは?え?事務員?
もともと誇り高いロロエさんが、悔しく無いわけがありません。
「エロワズ。ほれ」
ロロエさんは頼まれていた届け物を、エドワズさんに手渡します。
「おう、悪かったな」
書類の入った封筒の中をちらと見て、机に置いて。
「おい、ロロエ。飯食いに行こうぜ」
「奢ってくれれば」
「自腹でキツキツですわ〜。割り勘だ割り勘」
なんだかんだ言って、昔からの付き合いが長いふたりです。
いつも行く大衆食堂に連れ立って出かけます。ノエルディという名の食堂です。安くてうまい!!
「俺、侯爵になったんだわ」
「知ってる。おめでとう」
「棒読みだな。祝う気ないだろ」
「ありませぇ〜〜ん。・・・でもあんた、侯爵領の運営なんか出来るの?」
「してくれるお嫁さん募集中」
「いればいいね」
「なので、お前、どう?」
ロロエさん吹き出しました。ビールなので泡が飛び散りました。
もちろんエドワズさんにも掛かりました。
「おまっ・・」
「よかったね、口の中が肉だったら、目も当てられなかったよ」
「ったく。で、どう?俺の領地運営、手伝ってくれる?」
「ちゃんと言えぃ」
「俺の嫁になって、俺の領地を運営して」
「あほか」
「ああ、肝心なこと言い忘れてた」
「まだ言うか」
エドワズは立ち上がり、体を屈め、片膝ついて。
「ホーラス公爵令嬢、ロロエ。タレイル侯爵、名誉騎士エドワズの妻になっていただきたい」
なんとプロポーズです。一瞬ロロエさんカッコいいとか思いましたが、すぐ冷静になります。
「あ。ちゃんと言えたね。もう酔ったか」
「まだ言ってないことがあるぞ」
「まだあんのかい」
「領地運営も重要要項だが、俺の子供を産んで欲しい」
ロロエさん・・・顔が・・・・ものすごく不機嫌になりました。
「女癖の悪い男とは結婚しませーん」
割り勘のはずが、飲み食いした代金よりも多いお金をテーブルに叩きつけて、ロロエさんは帰ってしまったのでした。
エドワズさんのプロポーズは失敗に終わりました。
こうして彼は振られてしまったのです。
でもここでへこたれないのが騎士団長です。
騎士団長たるもの、これくらい打破しなければ、長たる名が恥じます。
すぐに追いかけて、ロロエさんの腕を取ります。
「ちゃんと聞け」
「しない」
「してみせる」
ロロエさん、真顔です。マジ怒っています。
身体能力強化の魔法を、自分に掛けました。
「あんたがここまで頭悪いとは思わなかった!」
そして3階建ての屋根に飛び乗って走り去っていくます。
エドワズさんも身体強化の魔法を使い、ロロエさんを追いました。
もう、信じられない大捕物が始まったのです!!城下町の人たちも、固唾を飲んで見守ります。
二人は走りながら罵倒しているのです。というか、罵倒はロロエさん、釈明はエドワズさんです。
「俺な!頑張ったんだよ!!」
「なにがよ!」
「お前、公爵令嬢じゃん!」
「それがどーした!」
「侯爵くらい持ってれば、嫁に迎えれるかなって!」
「女好きのところなんか、誰が行くか!それならあたしが平民になったっていいんだからね!!」
「それは出来ん話だろうが!!というか、お前の父親に言われた!!」
「えっ」
「ロロエと結婚したかったら、爵位を手に入れろってな!」
「聞いてない!!」
「聞かせるなって言われてた!!」
「5年前私をフったくせに!!」
「爵位手に入れてなかったからな!それにプロポーズは男の義務だ!女に先に言われて、むかついたから」
「ばかーーーー!!エロワズのばかーーーーーー!!」
「ついでに言えば、俺はそんなに遊んでないぞーーー!」
「ハッ、そんなに、かい!!全然でないなら、話にならんわ」
「お前なーー、女にモテないような男、魅力ないもんだぞーーー」
「私はブ男でいいから、一筋がいいんですーーー!!」
「俺はずーーーーーーっと、お前一筋だぞ!!男だから女抱きたい時はあるけど、心はお前一筋だ!!」
「なお悪いと何故分からんのかな!昔は賢かったのに!!」
「今も頭脳は明晰だ、そろそろ本気出させてもらう」
そしてエロ、いやエドワズさんは足にブーストを掛けて急接近、ロロエさんを捕獲したのでした。
「獲ったどぉーーーー!!」
「ぎゃーはなせー」
「駄目だ、こんな凶悪種、野に放置出来ん。俺んとこで保護しないと」
「野獣か」
「そうそう、これ。お前の親父さんから預かってた手紙」
「手紙?」
「お前が俺と結婚する気になったら読めって」
「え?お父様が?」
慌てて読むと・・・
『もういい加減に結婚しなさい。エドワズくんが貰ってくれると言っているので、許可をしました。 父』
「俺、すっげー感謝されたぞ。お前も感謝しろ」
「ちーちーうーえぇーー!!なんで今更、今頃ぉ・・・」
「まあまあ。結婚したら遊ばないから安心しろ」
「遊んだら即刻離婚だ・・・」
「了解。というか、俺が好きなくせに」
「うう、なにおう〜」
「俺が好きだから、結婚しなかったんだろ?お待たせしました」
こうして夜中の大捕物は捕獲されて終了。
翌日騎士団長は、公爵令嬢と共に嫁の実家を訪れ、婚姻の許可を得たのでした。
半年後、寿退社をしたロロエさんは、夫の領地に越して領地運営をさらっとこなしています。
騎士団長は自領の館からの通勤、飛龍に乗って往復しています。
まあ、簡単に説明をすると・・・
『学生時代ライバルだったふたりは、恋仲になったけど身分差で結婚出来なかった。
男は頑張って立身出世して侯爵になり、公爵令嬢を嫁に娶りました』
という話でした。
結婚するまでの10年間を、説明すると長くなるからね!
だって二人とも拗らせすぎ!!
タイトル右の名前をクリックして、わしの話を読んでみてちょ。
4時間くらい平気でつぶせる量になっていた。ほぼ毎日更新中。笑う。




