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待たせたな、公爵令嬢。

掲載日:2020/07/11

こじらせてます。 @短編その45

ここは騎士団付事務方王城支室・・・


「はーい、この領収書は受付ませーーん」

「なんでだよぉ、サイレア国の騎士団長を接待したんだぞぉ」

「で、なんで一番高いプロウワに行くんだよ。貴様が行きたかっただけじゃろうが」

「ロロエさーーーん、お願い、自腹立替してるんだよぉ〜〜」


ロロエはすぱーーーんと、エドワズ騎士団長の顔に領収証を叩きつけた。

ちなみにブロウワは城下町一の高級ラウンジだ。


「駄目じゃボゲェ」

「はう・・厳しい。でもそこがいい」


ロロエは公爵家令嬢なのに、働いている超変わり種。

まあ次女なので、好き勝手させてもらっているようだ。

そしてエドワズ騎士団長、この人は名誉騎士で、侯爵の爵位を賜った有能な騎士だ。

でもモテ男で女遊びばっかしてて、しょっちゅうモメている。

実はこの二人、同い年なのだ。28歳だ。ロロエさん行き遅れ・・・




さて、ロロエさんのお仕事は5時で終わりました。

事務方仲間は3人です。騎士団の経理担当はロロエさんです。


「ロロエさん、ちょっと」


同僚のベスが声を掛けてきました。


「残業はやらないよ」

「そうじゃない。これ、騎士団詰め所に持って行って」

「えー」

「どうせ行く方向同じでしょが、頼むわ」

「へーーい」


公爵令嬢とは思えない口調ですが、彼女は学園を卒業してからずっと、ここで勤務しているので雑な騎士言葉が移ったようです。服も士官風のパンツとズボンです。

ただ、その・・・彼女はとてもグラマーなので、胸に釣られる奴らもいますが、彼女は魔法が使えるので大半の男は反撃を喰らいます。その昔、学園では1、2を争う腕を持っていたのです。


本当は、ロロエさんは騎士になりたかったのです。

でも親が許してくれなかったのです。男の群れの中に、娘を放り込みたく無かったのです。

仕方が無いので、公爵家を出て働き始めたのです。ちょっとした反抗心でした。

でも元から有能だったロロエさん、そのまま事務方で居ついてしまいました。


「くそう、()()ワズに会わんといかんのかい」


ぶつぶつ言いながら、出て行きました。


「ねえ、ベスさん。なんでロロエさんはエドワズ団長に塩対応なんですかね」

「ああ、まだ君ここに入って間が無いもんね。あの二人は学園時代からライバルだったんだ」



王立魔法武術学園という魔法と武術を習う学校があって。

公爵令嬢のロロエさん、平民でも領主の推薦で入学したエドワズさん。

ふたりは卒業するまで一、二位を競いあうライバルだったのです。

そしてふたりは騎士団に入団が決まっていたのですが、父親の横槍でロロエさんは入団が叶わなかったのです。

有能なエドワズはどんどん功績を上げて、名誉騎士にまでなって、最近爵位も手に入れて。


さあ、それに対してロロエさんは?え?事務員?


もともと誇り高いロロエさんが、悔しく無いわけがありません。





「エロワズ。ほれ」


ロロエさんは頼まれていた届け物を、エドワズさんに手渡します。


「おう、悪かったな」


書類の入った封筒の中をちらと見て、机に置いて。


「おい、ロロエ。飯食いに行こうぜ」

「奢ってくれれば」

「自腹でキツキツですわ〜。割り勘だ割り勘」


なんだかんだ言って、昔からの付き合いが長いふたりです。

いつも行く大衆食堂に連れ立って出かけます。ノエルディという名の食堂です。安くてうまい!!



「俺、侯爵になったんだわ」

「知ってる。おめでとう」

「棒読みだな。祝う気ないだろ」

「ありませぇ〜〜ん。・・・でもあんた、侯爵領の運営なんか出来るの?」

「してくれるお嫁さん募集中」

「いればいいね」

「なので、お前、どう?」


ロロエさん吹き出しました。ビールなので泡が飛び散りました。

もちろんエドワズさんにも掛かりました。


「おまっ・・」

「よかったね、口の中が肉だったら、目も当てられなかったよ」

「ったく。で、どう?俺の領地運営、手伝ってくれる?」

「ちゃんと言えぃ」

「俺の嫁になって、俺の領地を運営して」

「あほか」

「ああ、肝心なこと言い忘れてた」

「まだ言うか」


エドワズは立ち上がり、体を屈め、片膝ついて。


「ホーラス公爵令嬢、ロロエ。タレイル侯爵、名誉騎士エドワズの妻になっていただきたい」


なんとプロポーズです。一瞬ロロエさんカッコいいとか思いましたが、すぐ冷静になります。


「あ。ちゃんと言えたね。もう酔ったか」

「まだ言ってないことがあるぞ」

「まだあんのかい」

「領地運営も重要要項だが、俺の子供を産んで欲しい」


ロロエさん・・・顔が・・・・ものすごく不機嫌になりました。


「女癖の悪い男とは結婚しませーん」


割り勘のはずが、飲み食いした代金よりも多いお金をテーブルに叩きつけて、ロロエさんは帰ってしまったのでした。

エドワズさんのプロポーズは失敗に終わりました。

こうして彼は振られてしまったのです。


でもここでへこたれないのが騎士団長です。

騎士団長たるもの、これくらい打破しなければ、(ちょう)たる名が恥じます。

すぐに追いかけて、ロロエさんの腕を取ります。


「ちゃんと聞け」

「しない」

「してみせる」


ロロエさん、真顔です。マジ怒っています。

身体能力強化の魔法を、自分に掛けました。


「あんたがここまで頭悪いとは思わなかった!」


そして3階建ての屋根に飛び乗って走り去っていくます。

エドワズさんも身体強化の魔法を使い、ロロエさんを追いました。

もう、信じられない大捕物が始まったのです!!城下町の人たちも、固唾を飲んで見守ります。


二人は走りながら罵倒しているのです。というか、罵倒はロロエさん、釈明はエドワズさんです。


「俺な!頑張ったんだよ!!」

「なにがよ!」

「お前、公爵令嬢じゃん!」

「それがどーした!」

「侯爵くらい持ってれば、嫁に迎えれるかなって!」

「女好きのところなんか、誰が行くか!それならあたしが平民になったっていいんだからね!!」

「それは出来ん話だろうが!!というか、お前の父親に言われた!!」

「えっ」

「ロロエと結婚したかったら、爵位を手に入れろってな!」

「聞いてない!!」

「聞かせるなって言われてた!!」

「5年前私をフったくせに!!」

「爵位手に入れてなかったからな!それにプロポーズは男の義務だ!女に先に言われて、むかついたから」

「ばかーーーー!!エロワズのばかーーーーーー!!」

「ついでに言えば、俺は()()()()遊んでないぞーーー!」

「ハッ、そんなに、かい!!全然でないなら、話にならんわ」

「お前なーー、女にモテないような男、魅力ないもんだぞーーー」

「私はブ男でいいから、一筋がいいんですーーー!!」

「俺はずーーーーーーっと、お前一筋だぞ!!男だから女抱きたい時はあるけど、心はお前一筋だ!!」

「なお悪いと何故分からんのかな!昔は賢かったのに!!」

「今も頭脳は明晰だ、そろそろ本気出させてもらう」


そしてエロ、いやエドワズさんは足にブーストを掛けて急接近、ロロエさんを捕獲したのでした。


「獲ったどぉーーーー!!」

「ぎゃーはなせー」

「駄目だ、こんな凶悪種、野に放置出来ん。俺んとこで保護しないと」

「野獣か」

「そうそう、これ。お前の親父さんから預かってた手紙」

「手紙?」

「お前が俺と結婚する気になったら読めって」

「え?お父様が?」


慌てて読むと・・・


『もういい加減に結婚しなさい。エドワズくんが貰ってくれると言っているので、許可をしました。  父』


「俺、すっげー感謝されたぞ。お前も感謝しろ」

「ちーちーうーえぇーー!!なんで今更、今頃ぉ・・・」

「まあまあ。結婚したら遊ばないから安心しろ」

「遊んだら即刻離婚だ・・・」

「了解。というか、俺が好きなくせに」

「うう、なにおう〜」

「俺が好きだから、結婚しなかったんだろ?お待たせしました」



こうして夜中の大捕物は捕獲されて終了。


翌日騎士団長は、公爵令嬢と共に嫁の実家を訪れ、婚姻の許可を得たのでした。



半年後、寿退社をしたロロエさんは、夫の領地に越して領地運営をさらっとこなしています。

騎士団長は自領の館からの通勤、飛龍に乗って往復しています。



まあ、簡単に説明をすると・・・


『学生時代ライバルだったふたりは、恋仲になったけど身分差で結婚出来なかった。

男は頑張って立身出世して侯爵になり、公爵令嬢を嫁に娶りました』


という話でした。

結婚するまでの10年間を、説明すると長くなるからね!

だって二人とも拗らせすぎ!!



タイトル右の名前をクリックして、わしの話を読んでみてちょ。

4時間くらい平気でつぶせる量になっていた。ほぼ毎日更新中。笑う。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 名誉騎士ですと、長嶋茂雄終身名誉監督みたいに 年を取ってその地位を退任した人みたいですし 国一番の騎士としての称号であれば、かっこつけ過ぎて お嫌いかもしれませんがダイヤモンド勲章付き…
[良い点] 拗らせ方が絶妙。( *´艸) [気になる点] 平民から侯爵までその若さで到達するのにどんだけの功績あげたんだろうか。!Σ( ̄□ ̄;) 実はすごいクラッシャーだったとか?
[良い点] 長年の恋が実ったこと [気になる点] 結婚するためにがんばったといいつつその間に片方は異性とやってること。 [一言] 個人的な感じ方なのでどうかご容赦のほどを。 10年のあいだに公爵令嬢…
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