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エピローグ


 数週間後、人を殺したという通報が入り、瞳たちは現場に急行した。


「この山は……」

と冬馬と瞳は山を見上げて凍りつく。


 武田が山に入る前に、事件の説明を警官たちにしていた。


「今朝、このでっかいネズミの出る山の中腹で――」


 カピバラです、武田さん。


「うっかり人を殺して、放置してきたという女が出頭してきた」


 瞳は思わず、小声で呟く。


「此処は人をうっかり殺したくなる山なんですかね?」


 その呟きを聞かぬフリをし、

「行くぞ」

と武田たちは、先に歩き出した。


 なんだろう。

 ものすごく嫌な予感がするんだが――。


 女が殺したという男の死体は、山の斜面を転がり落ち、中腹にあるガラクタの山の上に落ちていた。


 それを見つけた瞳と冬馬の許に、林の陰からゆっくりとカピバラが現れると、おごそかな口調で言ってきた。


「私は塞の神である。

 いかなるものであろうとも私への貢ぎ物を持ち去ることはあいならん」


「いや、それ、死体ですよっ!? カピバラ様っ」

と瞳は叫ぶ。


「いかなるものであろうとも私への貢ぎ物を持ち去ることはあいならん」


 そう鼻をふこふこさせながら、繰り返し、カピバラ様は言ってきた。


 転がっている男の死体の横。


 きっちりとそろえられた金の靴が、朝の光を反射し、光っていた。





                           完




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