フクロウを飼ってみた。
フクロウを飼うことにした、ハリーポッターが好きでペットショップで偶々見かけた白フクロウの赤ちゃん3匹がヘドウィグっぽくて衝動買いしてしまった。
赤ちゃんといってももう大人なのかな?
小さい種類なだけかもしれない。
餌はとりあえず適当に犬の餌を与えてみた。
食べなかった。
鳥はよく虫を食べているので、シルクワームを食べさせることにした。
シルクワームは栄養素が高く、理想的な餌らしい。
中国でミサイルの名前につく位だから、元気爆発ってところだろう。
目の前にワームを置いて観察する。
なにこれ?って顔しながらフクロウもワームを観察している。
――餌だぞ、早く食えよ。
なかなか食べようとしないので、口元に運んであげた。
食べた。
ワームがプチプチ潰れていく、ははは、ミサイルが潰れていくみたいで食べている姿が可愛いな。飼ってよかった。
他の2匹も、食べ物だと認識したのか食べ始めてくれた。
フクロウは賢い鳥だ、学習してくれて助かる。
お腹が空いていたから仕方なく食べたのかもしれないが。
ゲージからだし、運動でもさせよう。
呼べば手元に乗るように育てたい。
なかなか、なつかない。残念だ。
しばらくワームで育てていたが、なんだか弱ってきたような気がする。
軽く調べてみると、フクロウは生餌を食べないと栄養不足で死ぬらしい、グルメな鳥だとわかった。
大量に余ったシルクワームはどうするべきか、そのうち繭になりシルクロードでも作ろうか?
これだけいれば、ハンカチの一枚くらい作る分の糸は確保できるのだろうか。
まぁ、今はフクロウの育成を優先するのである。
適当にネズミを買ってきた。
冷凍のネズミだ。
10パックで200円くらいだった。
一匹取り出して触ってみる。
カチコチに凍っていて今すぐ食べさせることは出来ない。
自然解凍の方がいいのだろうが、今すぐ食べさせてあげたかった。
電子レンジで解凍することにした。
凍ったネズミがターンテーブルの上で回っている、踊っているのかもしれない。
生きたネズミで試してみたくなった。メルヘンチックで可愛いだろうと想像すると思わず優しい笑顔になれる。
見惚れていたら解凍を終える電子音が流れ、夢の時間が終わってしまった。
私の夢の続きは、フクロウさんに託そう。
「チンした後だから、中身熱くなってないかな?」
火傷をしたらかわいそうなので、ネズミの腹を割いて熱を逃してあげようと思った。
この子達は結構小さい子だし、丁度いいだろう。
刻みやすいように手足や頭を先に切り落として、ぶつ切りにしてあげた。
レンジにかけ過ぎていたのか、切るたびに立ち上がる湯気は血生臭さがあり熱かった。
刻んでいるうちに適度に冷めてきたので、温かいうちにフクロウに与えてあげた。
すると、どうだろう、フクロウ達は喜んで食べてくれた。
「やっぱり肉は旨いか……そりゃそうだろうな、今まで気が付かなくてごめんね」
良い餌に巡りあえ、嬉しそうにするフクロウを見ていて、飼ってよかったと思った。
元気になったフクロウは室内を飛び回る。
家は吹き抜けの居間になっていて、広い空間を確保できている。
適当な場所で糞をされるのは困るが、許せる。
汚れたら掃除をすればいいだけの事だからだ。
ロボット掃除機は進化して拭き掃除だってしてくれる時代だ。
部屋掃除を専門にする業者もいる。
ある程度部屋が汚れてくれたほうが、そういった職種の人も仕事のしがいが在るだろう。
虫も湧くが、観葉植物の代わりに育てている食虫植物が意外と仕事をしてくれている。
それぞれの生物たちに仕事を分け与えてあげる事が出来ると、神様になった様で気分がいい。
しばらく、ねずみを与えてあげたフクロウだが、栄養が偏っているのか、クチバシや爪が欠けているのを見かけた。
人間だって牛ばかり食べるより、豚や鳥など色んな食材を食べたがるものだ。
この子達も、色んな物を食べて育ててあげたい。
私に似てグルメな子に育って欲しい。
軽く調べてみると、バランスよく色んな肉を与えるべきだと知った。
フクロウ用に既にカットされているヒヨコやウズラを見つけた。
解体作業は嫌いじゃないが、食事のたびにするのは疲れるのでこういう処理済みの物は助かる。
「鳥が鳥を食べるんだなぁ……美味しそうに」
フクロウがヒヨコを食べる姿を見ていると、どんな気持ちで食べているのか知りたくなった。
「今度、教えてね」
私は、フクロウ達と約束をしてヒヨコを食べさせていった。
ある日、3匹いたフクロウの一匹が死んだ。
私はすぐにそのフクロウを解体してあげて、残りの2匹に分け与えた。
勿体無いからね、折角一緒に育った友達の死を無駄にしたくは無いでしょ?
2匹は、残さず美味しそうに食べた。
そして、又しばらくして2匹目も死んだ。
ああああ、どうしようか。
調理法に悩んでいると、死んだフクロウを生きている方のフクロウがつつき始めた。
以前食べた味を覚えているのだろう。
「よほど美味しかったんだね、もしかして食べたくて殺したのかな?」
私は、直接手を加えずフクロウがフクロウを食べている姿を観察していた。
同種の肉を穿り、食い散らかす姿を見ていると、微笑ましくて優しい笑顔になる。
フクロウを飼ってよかった。
食べ終わるまでゆっくりその姿を見守って満足した私は、以前の約束を決行することにした。
なるほど、こういう気持ちだったんだね。
「やっぱり、肉は美味しいね」