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7/12

××× かのん

みんなは冒頭でこうは思わなかっただろうか?


「キセキってなんだよ?」「なんで犬が人間になるんだ・・・?」と、

当時プレイしている私も美麗なスチルと、巧みなストーリーに涙しながら頭の片隅でそう考えていた

まぁ、そうゆう謎は終盤になって明かされるのが定番だしと呑気に進めた。

プレイし終わった。あれ、諸々の謎は・・・?と呆然としているとポン、と画面に文字が浮かぶ


「新しいルートが解放されました」


なんだってー!!よし、早速プレイだ!!

素早くクリック、そして泣いた、号泣した、学校を休んだ。

あんまりだ、こんなの酷い、だって今までの幸せは全然幸せじゃなかった。ハッピーエンドはハッピーじゃなかった。彼は・・・


「ねぇ、どうしたの、・・・だいじょうぶ?」


声を掛けられてハッと、顔をあげるいけないいけないつい当時の記憶(トラウマ)がよみがえってしまった。

目の前の彼を見る。


「ううん、何でもない。ちょっとボーっとしただけ」

「そっかぁ、よかったー」


とっさにごまかす私に、ほっとしたように笑う彼。


「・・・ねえ、名前は?私は遊座 優子って言うの」

「あっ、えっとね、ぼく、・・・かのん、だよ」


名前を聞く私にやや、間を置いて答える「奏音」間違いないこの反応は「奏音」だ。

・・・最も今は「かのん」だろうが。


奏音(かのん)」もとい「かのん」は、「奏音~運命の君~」の隠しキャラでありこのゲームで度々言及される「キセキ」の使い手だ。


そして、本編では既に死亡しているキャラである。


彼について語る前にまず、彼の双子の兄「華音(かのん)」の事を語らなければならない。


翼 華音(つばさ かのん)、本編では、主人公の親戚で、同居人で、生徒会長で、金髪青目俺様系イケメンと設定盛りだくさんなキャラだ。

しかし、学園では一人っ子のように振る舞い、主人公以外に華音と呼ばれるのを大変嫌う。

それは彼の幼少期に起因している。実は彼の本当の名字は「翼」ではない彼の母方の祖父つまりは、学園長の名字だ。(というか、本編では判明していない不明のままだ。)

彼の母は、言い方は悪いが夢見がちな人で留学先で知り合ったフランス人と恋に落ち妊娠してしまう、そして日本に帰り突然、父親(奏音達の祖父)に結婚すると報告する。もちろん父親は、勉学中に妊娠した事に激怒しそのフランス人と別れる様にと叱り付けるが、これに反発した奏音達の両親は駆け落ちしてしまう

・・・もっとも隣町にある親の持ち家に、だが。

これで、二人力を合わせて生活していけば父親も結婚を認めていただろうがそうはいかず、箱入り娘の母はろくに仕事も家事もできず、父親の方はそもそも働く気が無かった。奏音達の父親は彼女が資産家の家であることを知り金目当て近ずき資産を騙し取ろうとしたらしく、当てが外れた彼は奏音達の祖父が送る最低限の仕送りを奪い取り、酒を飲んでは母親に暴力を振るうようになる。

こうして奏音達は生まれるが、奏音達の母親は、家族も夫も頼れずいきなり双子の世話をすることになり精神を病んでしまうそして、()()()()()()()()育てるようになる。

その「いないもの」として育てられたのが奏音だ。

・・・もっとも出生届には「かのん」と一人だけ提出されているため、実際は名前すらない

漢字ものちに華音を引き取った祖父が、二人一緒の名前では書類上問題があるために当てたものだ。

そんな華音は、父親には暴力を振るわれ、母親には溺愛され育つようになる。放置される弟に困惑と同情を抱くがヘタに接触すると母親がヒステリーを起こし奏音に暴力を振るうため、話すことすらできなかった。

そんな鬱屈とした生活の中、二人はこっそり裏山で落ち合いともに過ごす様になる。

そんなある日、華音は裏山で遊んでいると引っ越してきた優子と出会い、遊んでいるうちに優子に淡い恋心を抱くようになる。そして引っ越しの前日、華音と優子は裏山で会う約束をしていたが・・・



そこに優子は来なかった。



ウッ、頭が!あそこから続く歴代乙女ゲートラウマランキング、ベストファイブに入るあのシーンはいま思い出しても胸が痛い。

と言うか今はそれどころじゃない、ダヤンだダヤン。そうだ!かのん達は毎日裏山で遊んでいるはずだ。

何か知っているんじゃないんだろうか。



「・・・ね、ねぇ。かのん、くん」

「なぁに?」

「ここでさ、その、ワンちゃん見なかった?」


「ワンちゃん?」とコテリと首をかしげ不思議そうにするかのん。この穢れた世界に降臨した天使かな?

最近、裏山に犬が捨てられているらしい、見に行きたいと説明すると納得してくれた。

しばらく唇を尖らせ「む~」と唸っていると突然叫んだ。


「あっ!それ、崖のほうじゃないかな?」

「えっ!どこどこ!」


崖の方か、此処とは正反対かのん達の町の方が近い。


「あそこにね、ときどき車がとまってね、なかから犬のなき声がしてくるの」


・・・成程、悪党共は其処を捨て場所にしているのか。

でも、もう今から行くには時間が無い。残念だけど明日にしよう。


「ありがと!かのんくん!、じゃあね今度あそぼうね!」

「あ、えっと。まって!ゆうこちゃん」


かのんにお礼を言い(ついでに遊ぶ約束もして)家に帰ろうとすると、かのんに引き留められる、

なんだろう?

かのんは少しもじもじした後、意を決したようにしてこちらを見た。


「あの、ぼくもいっしょに・・・「マジで!いいよいいよいっしょに行こう!」


・・・ハッ!思わず食い気味に答えてしまった。しかし、これはいい提案だ。かのんは裏山の地理に詳しいし、クロを探しながらかのんとの好感度上げが出来て一石二鳥だ。

まぁ、実は一人だと結構心細いしこの提案は、素直に嬉しい。かのんくんマジ大天使。


「えへへ、じゃあ明日の2じに、この場所ね!まってるよ!」

「っ・・うん、わかった」


大好きなキャラとともに行動できる、そのことに顔のニヤツキが抑えられずヘラヘラと笑みを浮かべてしまう。


「えへー、うれしいなぁ」

「・・・ぼくも」


思わずつぶやいた言葉に、かのんも同意の言葉を返してくれる。

辺りはもう、夕日が落ちて木々を赤く染めている。

こっちを見て笑顔を向けるかのんも、同じように夕日のせいで真っ赤な顔をしていた。




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