おどる、おどる 「27」
岩下の家に遊びに行った次の日、朝のバスの中で弓子を見つけた。学校の前で降りると振り返って弓子が降りてくるのを待って「おう、おはよう、ちょっと話をしながら昇降口までいこうか?」「祐二君おはよう、何の話?」「いや実は転校生の女子とデートすることになってややこしい事になったんだ」「えっ、デートしたの、よかったじゃないの。それでデートはうまくいったの?楽しかったでしょう?」「それがどうもスッキリしなかったんだよ」俺は二人で映画を見て買い物に付き合わされた話をゆっくり話した「それでどうもピントが合わないというか違う方向を向いてるというかスッキリしないんだよ。あんまり楽しくなかったと言うのが本当のところだな、浅井ひろみって奴なんだけどどうも強引な感じがして俺が振り回されてるだけって気がするんだ。またデートしようって言われてるんだけど、全くその気にならないんだよ。どうすればいいと思う?」
「そんなこと言われても私にはわからないよ。祐二君が自分で考えて自分で決めるしかないでしょう」「そうなんだけどせっかく俺を気に入って寄ってくるものをはっきり断ってもう一緒に出かけないって言うわけにも行かないと思うんだ」「うーん、ちょっと難しい問題みたいだねー。私、今日日直だからこれからちょっと忙しいんだ、帰りまでに考えてみる、それでいい?」「あぁ、忙しいとこ
悪いけど頼むよ、6時間目が終わったら俺はまた階段の下にいるよ」
その日の授業中はずっと浅井の事を考えていた。教室が一緒だから完全に無視する訳にもいかず、今日も色々と話しかけてきたが適当に相づちを打ってごまかしていた。
放課後、いつもの階段の下に行くと壁に寄りかかってっているとすぐに弓子がやって来た。「どうしたのさー?そんな深刻な問題じゃないでしょ?」「いや、俺にとっちゃ少しは深刻なんだよ。今日も休み時間になると寄ってきて色々と話しかけてくるんだ。俺だって岩下やほかの友達と話したいのに、なんか独占したいみたいでちょっと煩わしいと言うか気乗りしないと言うかめんどくさいんだよなー」「フーン、あんまり楽しくないんだ、私には贅沢な悩みに思えるけどなー?どんな話をするの?」「しょっちゅう次は何処に行こうかとか、うちに遊びにおいでとかそんな事だよ」
「私たち高校生なんだから、いろんな事してみたいよね。それはつまらない事なの?んじゃ、私と話すのもつまんないってこと?」
「そうじゃないよ、なんかペースが合わないっていうかリードされっぱなしっていう感じかなー?俺とあいつのスタンスが違うのかな、今ひとつピンとこないんだよ。恋人きどりって言うのかな?俺は友達くらいでちょうどいいって思うんだけどさー、もしかしたら俺、あいつが嫌いなのかも知れない。」
「えっ嫌いなの?ならハッキリ言えばいいじゃん。あと
スタンスってどういう意味?」
「スタンスって最近本で読んだんだけど距離感って言うのかな?そんな感じ?まぁ嫌いは大げさかも知れないけど、なんか違うんだよなー」




