踊り明かすならBBQ
踊り明かすならBBQ
「好きなアーティストは?」
と、聞かれて
「BBクイーンズ!!」
と答えると、クラスの友達は皆「?」と言う顔をする。
ちびまるこちゃんの歌とか、クレヨンしんちゃんの歌とか、はじめてのおつかいの歌とか、歌って見せると
「あ~。なんか、知ってる」と言う。けど、CDは持っていないという。
うちには、BBクイーンズの全てのシングルとアルバムがそろっている。
中学生の姉ちゃんが、熱狂的なファンなのだ。だから、ぼくも、ファンになった。
毎日毎日、朝から晩まで、BBクイーンズをかけられると、最初は「うるさい!いい加減にしろ!」と思ったものだ。
でも、そのうち、だんだん馴染んできて、休みの日の朝など姉ちゃんが寝ている時間になんとなく聞きたくなって、自分でCDをかけてしまったりするようになった。
すると、耳さとい姉ちゃんが、ガバっと起きて二階から駆け下りてくる。
「おはよう!!良い朝だね!!」って。もう、昼過ぎなのに。
父ちゃんは、ジャズが好きだ。ぼくと姉ちゃんが生まれる前から、うちのリビングではジャズが流れていたそうだし、ぼくたちは小さい頃からジャズを聞いて育ったので、ジャズに対して抵抗が無い。
担任の西田先生はチックコリアの大ファンで、ジャパンツアーのときは日本全国飛び回り、全ての公演を聴いたらしい。
という話で、家庭訪問の時に父ちゃんと盛り上がっていた。
母ちゃんはラテン音楽が好きだ。
ぼくと姉ちゃんはタンゴやサルサを子守唄に育った。
母ちゃんが機嫌がいいと、エセタンゴを好き勝手に踊るので、ぼくも姉ちゃんもエセタンゴは得意中の得意だ。創作ダンスの時はウチの班の振り付けをぼくが担当して、最高点をもらった。
そんな一家だが、休日の楽しみは七輪に火をおこし、干物を焼くこと。
父ちゃんと母ちゃんは日本酒片手にホロヨイで、ぼくと姉ちゃんは、エセタンゴを踊ってみたりする。
なぜそこで、バーベキューではないか、というと、ウチの庭が猫の額よりも狭く、バーベキューセットが置けないからだ。
しかし、BBクイーンズファンのぼくとしては、ぜひ一度はBBQをしてみたい。
と、言ったら、このゴールデンウィークは、七輪で焼肉パーティーをすることになった。
なぜか、担任の西田先生も呼ばれ、炭火をおこす手伝いなどしている。
まあ、いいか。
BBクイーンズも活動再開して息の長いアーティストなんだし、これから大人になるまでに、きっと本格的なBBQを楽しめる日がくるはずだ。
姉ちゃんとエセサルサを踊りながら、僕はその日を楽しみに待つことにする。




