改善しない
改善しない
メタボである。
当たり前のように生活習慣病を持っている。
三ヶ月に一度、血液検査があるのだが、検査がもっと頻繁にあるといいのにな、と思っている。
私は注射が好きなのだ。
腕を結束され、アルコール綿でひじの内側を拭かれるひんやりした感触に、わくわくが高まる。
ぎゅっとこぶしを握ると看護師さんが皮膚の柔らかいところをつんつんと触って血管を探す。
ちょうど血管の上を押されると、ぷっくりしているのが自分でもわかる。
注射針に細いチューブをつけて、針の先のカバーを取り去る。
いよいよ、その時だ。
注射針がひじの血管に近づく。
斜めにカットされている針の先にくっきりと丸い穴が見える。
どきどきがとまらない。まるでバレンタインチョコを渡そうとしている女子中学生のようだ。
針の先が近づいてくるのがコマ送りのようにゆっくりに見える。
すっと針が皮膚の下に潜り込む。皮膚と肉が押し広げられるわずかな違和感がたまらない。
注射器のチューブに薬剤が入った試験管を取り付けるとチューブの中に血液が流れ込み、あっという間に真っ赤になる。
私はうっとりとその赤に見とれる。
血液は試験管の底にほんの少量採られ、外され、次の試験管が取り付けられる。また真っ赤な血が流れだす。
それを三回、三本の試験管に血液を採取して、おしまい。
たった三回。もっとたくさん採ってくれてもいいのにな、と毎回思う。
こんなに注射が好きなのに、私は献血をすることが出来ない。
若い頃は貧血がひどくて献血前の検査で弾かれていた。
漢方薬を飲み続け貧血が治ったと思ったら、諸事情あって輸血を受けることになった。
私の献血経験はたった一回。それも成分献血だけだった。
なんともやりきれない。悲しくて、町中で献血車を見るたびに泣きそうになる。
だから、血液検査は私にとって定期的にやってくるご褒美のようなものだ。
三か月後が待ち遠しい。
その時にも確かに血液検査を受けられるように、日々の不摂生に余念がない。
暴飲暴食、運動不足、かたよった食事、薬の飲み忘れ。
すべては血液検査のためなのだ。
今日も頑張って不摂生を続けている。




