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暖かい春の日のクリームシチュー

クリームシチュー

 冬の間に食べようと思っていたのに食べそこねたものがたくさんある。

 ふぐチリ鍋、おでん、鱈の酒蒸し、そして、ホワイトシチュー。花粉が猛威をふるうこの頃、シチューのコマーシャルも見なくなった。

 ふぐや鱈は冬が旬なのだから冬に食べるのがよろしかろうが、コマーシャルで見るようなシチューの具材は春が旬のものだ。にんじん、新じゃが、玉ねぎ。マッシュルームの旬は知らないが、年中見かける。それならクリームシチューは春の食べ物になってもいいのではないだろうか?


 物語で読んだレシピで、姉がウサギのシチューを作ったことがある。真空パックで届いた一羽分のウサギの肉は骨と身にきれいに分けられていた。鶏肉よりも濃く赤い肉はいかにも引き締まっていた。煮込んでも煮崩れることなどなかった。

 ウサギの味のことは、じつはあまり覚えていない。ハーブを多く使うレシピだったため爽やかな草原のようなシチューだったのだ。ルーを使わずさらさらした透明なスープの中に肉と野菜。ヨーロッパの昔話のシチューだった。


 草原のシチューは季節を問わず美味しいだろうという感想を持った。だけれどもホワイトシチューというと何故か冬の食べ物と思ってしまう。とろみのおかげでいつまでも温かいし、甘い香りにもどこか温かさを感じる。

 それより何より白い色が冬っぽさを強めているように思う。白いセーター、白い毛布、白い雪、冬には白がよく似合うように思う。白秋という言葉があるが、現代日本に住むものとしては、白には冬を推したい。


 すっかり春らしい暖かさになった。桜もすぐに散るだろう。地面が桜色に染まる前に、最後の白を食べるのも良いか。

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