からだすこやか湯
からだすこやか湯
日本が世界に誇る天才発明家ドクター・マカナツは体脂肪に悩んでいた。ぽこりと真ん丸なお腹をチャームポイントと思っていたのだが、主治医はそうは思ってくれなかったのだ。
ドクターの発明品の中にダイエット用の器具やサプリメントはいくらでもあり、効果は抜群だった。だが、ドクターはチョット動くことも、薬を飲むのも大嫌いだった。
脂肪の吸収をおさえるお茶なども開発するのは容易だが、健康のことを加味すると、食品によって体脂肪を減らす速度は速すぎてはいけない。けれどドクターには時間がなかった。一ヶ月後の診察日までに体脂肪に変化がなければ薬を処方されてしまう。それだけは避けねばならなかった。
そこでドクターが目をつけたのが、入浴剤だった。
半身浴がダイエットに良いということ、新陳代謝を促進するには暖めると良いこと。それらを一度に叶えるための入浴剤を開発した。
脂肪燃焼作用のあるグレープフルーツの香り、引き締め作用のある塩、その他もろもろのダイエット効果のあるものを最大効果を発揮するように配合したのだ。
早速、入浴剤をたっぷり使って入浴した。筋肉はほぐれ、肌はつやつやと若返り、体重は日々減っていった。
しかし、この入浴剤に大きな副作用が見つかった。無駄毛が薄くなるのだ。
それに気づいたのは入浴剤を使い初めてから二週間目。鏡の前でヘアセットをしている時だった。
いつものようにクセの強いモコモコした髪の毛に櫛をとおしていると、ごっそりと毛が抜けたのだ。なにごとが起きたのかと抜けた髪の毛を調べてみると、毛根が弱って毛がとても抜けやすくなっていた。原因が入浴剤であることを突き止めたドクターは入浴剤入りの湯でシャンプーしていたことに慄然とした。
もちろん、ドクターの発明品の中には強力な毛生え薬もある。だがドクターの美学が、毛生え薬を利用することを良しとしなかった。
ドクターは全世界の人の髪の毛のために入浴剤を封印し、ウォーキングを始めたのだった。




