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桜いろいろ

桜いろいろ

 まだまだ寒さが厳しい時期だろうに今年は暖かい日が続いて、部屋から見下ろす公園の桜の枝に小さなつぼみが見え始めた。少しだけのつぼみが枝先についている様子はなにやらゴミがくっついているように見える。花群がないと桜というのはこんなにも貧相なものかと驚いている。

 公園はとても小さい。ブランコが一台、滑り台が一機、そして細い桜の木が一本。ビルの陰になって日当たりが悪い公園で桜の木はなかなか大きくならない。まるで盆栽のように若い姿のまま年を経ている。


 ソメイヨシノという木は江戸時代に開発された品種らしい。接ぎ木でしか増えることができないという。江戸時代の最初の一本と同じ遺伝子のまま今日まで生き続けているクローン植物だという。その不自然な生き様を美しいと感じることを不思議に思う。

 桜には様々な品種がある。山桜、啓翁桜、八重桜。それぞれに違う美しさがある。それぞれに貪欲に広々と根を伸ばし、ほかの植物を圧倒していく。その生きざまを後押しするように人間が保護する。世の中に花の咲く木が桜だけになっても気にも留めない人もいるだろうと思う。


 今年も多分、花見をするだろう。桜の木の下に座りこんで、ろくに花を見もせず酒を飲む。花見という名前が不自然だ。だがその酒盛りを私はこよなく愛する。その愛は桜に対するものではない気はしている。けれど花見というと、観梅でもなくひまわりでもなく、やはり桜なのだ。江戸時代から脈々と続く遺伝子が、日本人に桜を愛し続けさせているのかもしれない。

 さて。今年の花見はどこまで行こうか。桜を追って北へ北へと旅することもいつかやってみたい。春の日差しが暖かくなるのが待ち遠しい。

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