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ゆれながら

ゆれながら

カタン コトン       カタン コトン


   カタン コトン カタン コトン  コトン


 カタン コトン   カタン コトン


 気がつくと電車に揺られていた。

 規則正しいような、不安定なようなレールの音が誰も乗っていない車内に満ちている。


トン   カタン コトン  カタン  カタン   コトン


カタン   コトン カタン   コトン カタン  コトン


タン        コトン     コトン   コトン


 しきりとやまないレールの音があるのに、静寂を感じるのはなぜだろう。


カタン コトン カタン コトン カタン コトン


 コトン カタン コトン カタン カタン


コトン カタン カタン コトン カタン コトン


 そうだ、私はどこへ行くのだったか。電車に乗ってどこへ行くのだったか。


 そうだ、この電車はどこから来たのだったか、私はどこから来たのだったか。


 カタン コトン      カタン   コトン


コトン カタン コトン カタン コトン カタン コトン


          カタン コトン


 車窓は真っ暗だ。

 夜だろうか、トンネルの中だろうか、夜明けまぎわだろうか。


   カタン          コトン


        カタン コトン


 カタン コトン カタン コトン カタン コトン カタン 


 車内は青い豆電球で照らされてまるで海の底のようだ。

 とすると、この音はレールの音ではなくて、私の息が海面へ上っていく音かもしれない。


 こぽり   こぽり   こぽり    こぽり


 こぽり ぷかり こぽり ぷかり


 ぷかり ぷかり ぷかり


 私の息が私の命を連れていく。


 ああ、なんと美しい泡だろう。

 まるで青い空に浮かんだ昼のましろい月のような。

 ああ、なんと美しい青だろう。

 私はこの青と出会うために電車に乗ったのだった。


 カタン コトン カタン コトン


 レールの音はいつまでもつづく。


 ぷかり こぽり ぷかり こぽり


 私の息はどこまでも上っていく。


 青い電車はどこまでも進む。


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