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郵便配達員は二度起きる

郵便配達は二度起きる

 夢を見ているな、と思った。起きたら忘れてしまう幸福な夢。いつまでもひたっていたいのに、耳の辺りが現実と繋がっていて何か不安が心の奥底にあって夢にひたりきることができない。その不安が徐々に高まって、目が覚めた。

 目覚めて最初に思ったのは、いつまでも夢の中にいたかったという願望。あの夢をまた見られるクスリがあるなら、貯金をはたいてでも買うことだろう。

 時計を見ると目覚ましのベルが鳴るまで十分ある。今ならまだ夢の続きを見ることが出来るかもしれない。枕に頭を戻して目を瞑った。

 はたして夢はやってきた。仕事をしている夢だ。いつもの赤いバイクに乗って、郵便物を配っている夢だ。さっきまで見ていた素晴らしい夢が遠のいて、がっかりはしたが、この夢も悪くはなかった。道を行くのは自分だけでバイクはストレスなくすいすいと走る。配達が面倒なビルや、前庭がある家は一軒もない。仕事がこんなに楽しいことなど今までなかった。どんどん張り切って配って回った。配っても配っても、郵便物は尽きることがなかった。それでも疲れることがなく、楽しく仕事はすすんだ。


ふと耳の辺りが現実と繋がって何か不安が徐々に高まっていることを感じた。けれどまあ、大丈夫だろう、他のことより仕事が一番だ。配り終わってから考えよう。


 けれど耳に何か不快な音が聞こえてきた。気持ちをざわつかせるその音はだんだん大きくなっていく。うるさいな、なんの音だよ、止めろよ!

 

 そこで目が覚めた。

 枕元で電話が鳴っていた。職場からだ。あわててとると上司が困惑した声で、どうかしたのかと尋ねた。始業時刻をはるかに過ぎていた。

 ショックで目の前が暗くなりもう一度夢を求めて枕に顔を埋めた。

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