めざしのうた 4
めざしのうた 4
あさ、きょうしつにはいって、かんちゃんにおはようって言いました。
でもきこえなかったみたいで、かんちゃんはへんじしてくれませんでした。
めざしのはなしはあとでいいや、とおもってじぶんのせきにすわりました。
でも、一じかんめのあとのやすみじかんも、二じかんめのあとのやすみじかんも、わたしがはなしかけてもかんちゃんはへんじをしてくれませんでした。
きゅうしょくのじかん、はんのみんなでつくえをくっつけて、いただきますをいいました。
「これあげる」って言って、かんちゃんがデザートのプリンをくれました。
わたしはプリンがだいすきだからうれしくて「ありがとう」って言いました。
そうしたら、はんのみんながプリンをわたしにくれると言いました。
「そんなにたべられないいよ」
と言ったら
「もってかえってれいぞうこにいれたらいいよ」
ってみんなが言いました。
うれしかったけど、なんかへんなきもちでした。
「どうしてプリンをくれるの」
わたしがきくと、はんちょうのほそやさんが
「びんぼうでかわいそうだから」
といいました。
たべていたプリンのあじがわからなくなりました。あじがなくなってしまいました。
みんなはわたしのことをじっと見ていました。わたしはみんなのプリンをむりやりぜんぶのみこみました。
いえにかえっておかあさんにききました。
「おかあさん、びんぼうはかわいそうなの?」
おかあさんはわたしをじっと見つめました。
「うちはびんぼうなの?」
おかあさんはわたしをギュっとだきしめました。
「うちは貧乏だけど、かわいそうじゃないわ。だってお母さんはあなたと暮らせたら幸せなんだもの」
おかあさんはそう言って、わたしのあたまをなんどもなんども、なでました。