冬将軍はいそがしい
冬将軍はいそがしい
国営放送局の天気予報が好きだ。夜9時のニュースのやつ。なんだかとってもイカしてる。
普通の天気予報とは違うんだぜ、ウェイ。という気概を感じる。
ここの天気予報には四季それぞれに萌えキャラがいる。
春ちゃん、夏ちゃん、秋ちゃん、冬ちゃんだ。それぞれ額の上に、春ちゃんなら「春」という文字を冠している。
彼女たちは皆おしゃれで、登場ごとに衣装が違う。最近見たのは冬ちゃんだが、コートを着ていた。どんなコートだったか失念したが、おしゃれさんめ、と思ったことだけは覚えている。
この四季ちゃんたちは毎日見られるわけではない。レアキャラだ。ニュースに時間がされていない、季節の話をゆっくりできる余裕のある日にやってくる。
彼女たちのレア度に負けず劣らずレアなのが、冬将軍だ。一目で将軍と分かる絵面で、大概は「シベリアからの寒気が……」などの、明日は寒くなりそうだぞという時にやってくる。
この冬将軍、たまに「明日は春のような陽気になりそう……」などという日に大汗をかいてへばっていたりする。四季ちゃんに劣らぬ愛くるしさだ。
天気予報フリークの友人にすすめられて見始めた国営放送局の天気予報だが、今では日々の潤いとして欠かせない存在になっている。ニュースを見逃しても天気予報は見たい。なんなら、録画してしまおうか。そのくらいの見ごたえがある。各キャラクターに出会えたレア感が、ギャンブルのような高揚感をもたらしているのかもしれない。それならば私はすでに立派な中毒だ。天気予報中毒。健康には関与しなさそうだから、まあ、いあいか。
暦の上では春である。そろそろ春ちゃんが顔を出すころ。あと何回冬将軍と冬ちゃんに会えるだろう。とくに冬将軍は希有なのだ。今年の見納めにもう一度くらい出会っておきたい。
できればあまり寒くなく、へばった冬将軍だと良いのだが。