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ぼくはマーク

ぼくはマーク

 くまのマークは、ふと思いました。


 なんでぼくの名前はマークなんだろう。


 マークのお友だちの真理ちゃんの名前は、世界中のいろんなことがわかる人になるようにってパパとママがつけてくれたんだって聞きました。


 マークの名前は真理ちゃんがつけてくれました。

 はじめてマークを抱いた真理ちゃんは、マークの黒くてきらきらする目をじっと見て「お名前はマーク」と決めました。


 真理ちゃんの部屋にはマークだけではなく、たくさんのお友だちがいます。

 うさぎのピョンタ、へびのニョロ、ひつじのモコモコ。みんな真理ちゃんがつけてくれた名前です。


 マークはニョロに聞きました。


「ニョロの名前はなんでニョロっていうの?」


 ニョロは赤い舌をニョロリと出して答えました。


「それは、へびがニョロニョロしておるからだよ」


 マークはピョンタにもモコモコにも同じように聞きました。


「うさぎはピョンピョン跳ねるからさ」


「ひつじがモコモコしているからね」


「じゃあ、くまはマークマークするの?」


 物知りなニョロが答えました。


「マークマークなんて言葉は聞いたことがないな」


「じゃあ、どんな意味があるの?」


 ニョロとピョンタは顔を見合わせて困っています。モコモコが二匹のかわりに答えました。


「意味なんてないんじゃない? なんとなくだよ、なんとなく」


「そんなあ、ぼくも名前に意味がほしいよう」


 マークの黒い目が泣いたようにきらりとしました。ニョロがマークをなぐさめるように言います。


「真理ちゃんに聞けるといいんだがなあ」


 でも真理ちゃんにはマークたちの声は聞こえません。マークたちはぬいぐるみなのですから。


 それでもマークは真理ちゃんに抱きしめられるたびに真理ちゃんに聞きます。


「ぼくの名前はどんな意味があるの? ねえ、真理ちゃん」


 だけど真理ちゃんには、やっぱりマークの声は聞こえません。



 真理ちゃんのお誕生日、マークたちにあたらしい友達ができました。

 さるのぬいぐるみです。

 真理ちゃんはさるを抱きしめて言いました。


「お名前はルーサー!」


 真理ちゃんのパパが不思議そうに真理ちゃんにたずねました。


「ルーサーって、どういう意味だい?」


「おさるだから」


「おさるだと、なんでルーサーなの?」


「さるをさかさに読むと『るさ』でしょ。だからルーサー」


 それを聞いてマークはびっくりしました。


「くまをさかさから読んだらマーク。くまだからマークなんだ!」


 マークは自分がくまで良かったな、と思いました。

 だって、真理ちゃんがつけてくれたマークという名前が大好きなのですから!


 それからマークは真理ちゃんに「マーク」って呼ばれるたびに元気に答えます。


「はい! ぼくはマークです!」

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