ここにはいない。でも恋しい君へ
ここにはいない。でも恋しい君へ
ふっと、恋をしている、と思った。
お腹の底がぎゅっと絞めつけられるみたいで、そこから暖かくて苦しくて、でもうきうきしてしまうモノが湧いてきて。
どんどん上って来て喉もとでスパーク!
体中を震えるような熱い気持ちが駆け巡った。
おかしいぞ、私の周りには恋しい人なんかいないぞ、と脳の冷静な部分で考えながら、湧き出た恋心の行く末を目で追った。いや、追ったのは匂いのようなもの。
深く深く意識だけで自分の奥底に沈んでいって手を伸ばす。ちくりと指先に微弱な電気が走って。
ああ、私はこんなにも恋い焦がれているのだ。
君に、君たちに会いたくて仕方がないよ。
君のお話は終わったけれど。
君たちの世界は閉じたけど、私はまだ君たちに満足していない。
きっとこれからも書き続けるから。
だからそばにいておくれ。
私の中から離れないで。
いとおしい君たち。
私の物語の中の君たち。
忘れないよ。
離れない。
いつも君たちは私の中にいなくちゃだめだ。
離さないよ。
逃がさない。
ずっと一緒に歩いていくんだよ。
いとおしい、私の登場人物たち。
これからも私のストーリーの中で、生きて。