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遠足は家に帰りつくまでが遠足です!

遠足は帰りつくまでが遠足です!

 昔、校長先生が言ったよね「遠足は家に帰りつくまでが遠足です」って。先生変なこと言うなあ、と常々思っていたものだ。

 遠足は準備をしているときから始まり、思い出をアルバムにしまうまで続くのだ。


 旅行もおんなじ。

 行き先を決めるところから旅行は始まっている。旅行パンフレットを集めてみたり、ネットであれこれ調べてみたり。

 行き先が決まったら、交通手段を決めて、仕事の休みをとって、宿を決めて。

 出発が近づいたら一大イベントがやってくる。

 地図を作るのだ。


 私は救いようのない方向音痴だ。一人で知らない土地を歩いてまっすぐに目的地にたどり着いたことがない。そんなことが起きたとしたら、天変地異が近づいていると思って間違いない。


 とにかく、地図は必携だ。ただ、私は地図を持っていても道に迷う。地図は読めるのだ。問題は、読んだ通りに体が動いてくれないことなのだ。


 今回は飛行機で行くことにしたから空港から街中へ出る道をたどる。

 リムジンバスに乗って、街中で路線バスに乗り換えて、目的地近くまで行くのはなんとかなるかもしれない。

 そこから目的地までが大変だ。念入りに細かい地図を準備せねば!


 縮尺がいろいろな地図を四種類作ってカバンにつめる。家から空港はタクシーを使うから大丈夫。


「お客さん! 搭乗口はそっちじゃないよ!」


 タクシーの運転手さんが窓から顔を突きだして、私が向かったのと反対の方角を指差した。私は照れ笑いしながら方向転換した。


 空港のなかで五回人に尋ねて搭乗口にたどり着いた。よしよし、今回の旅はスムーズだぞ。

 飛行機の座席をスチュワーデスさんに教えてもらって楽勝で席に座った。本当に今回の旅はスムーズだ。私もずいぶんと旅なれたものだ。これなら地図を見て一人で目的地につける日も遠くないだろう。


 飛行機は予定より早く空港に到着した。幸先がいい。わくわくが高まる。

 到着口から外へ出るまでに道を聞いた人数はたったの四人!

 ますます気分は高揚した。


 空港から一歩出ると、見知らぬ土地の空が私を待っていた。さあ、いよいよやってきたぞ! 青い青い空だ!


 予定しているリムジンバスの乗り場を探そうと、近くにいた人に尋ねてみた。


「あの、東京駅行きのリムジンバスはどこから出ますか?」


 その人は変な顔をして私の顔をじっと見ていた。こういうことはよくあるのだ。私には見えていないが、目の前に目標の場所があったりするからだ。

 でもその人はいつまでたっても私の顔を見つめるだけだった。私はもう一度聞いてみた。


「あのお、東京駅に行くには、どちらへ行ったら……」


 空港の中、搭乗口を、その人は指差した。


「え?」


「東京駅に行くなら、まずは飛行機に乗らないと。ここは沖縄さー」


 どうやら私は大きく道を間違ったらしい。

 次からは日本地図を持って旅に出よう。

 うん、とひとつうなずいて、私は東京駅に向かうために搭乗口へ向かった。


「そっちは空港の出口だよー」


 あらら。地球儀も準備しなくちゃいけないみたい。

 帰ったら、大きなリュックサックを買おう。私はまたひとつ旅なれた自分に大満足して次に行くべき場所を尋ねるために近くの人に声をかけるのだった。

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