001-03 パーリーナイトはこんなもん
魔王様たちは腕にいっぱい食材を抱えて帰ってきた。
ギンと魔王様は調理、俺とイリーナは食器を並べたりと小さい作業を任された。アンスヘルムは体が大きく邪魔になるため待機だ。
たくさんの食材がテーブルの上に並んだ。これだけの料理が載せることができてこのボロテーブルも本望だろう。俺たちがみんな席に着いたことを確認すると、魔王様は朝のように祈りをささげた。
「主、お恵みに感謝する。今日もみなこうやって無事に一日を終えられた。明日もそういられますように」
額に親指をかざす。
「と、いうことで!ツカサ今日は一日大変だったようじゃの!」
「そうだよ魔王様!あのね!ツカサ君すごいんだよ!!バーッて柵をたててバーッみんなで並べたんだから!」
身振り手振りでイリーナは俺を誉めたてえている。魔王様もそれを見てうんうんと頷く。
「ふふっ、イリーナがそこまでほめるなんて珍しいの。打ち解けたみたいでよかったよかった」
「軽い恩返しです。家に泊めてもらうのですからこれくらいのこと当然です。」
「そんなに畏まることはないのじゃぞ、客人のように大船に乗ったつもりで自由に過ごしてくれ給え。」
「できる限りそうします。」
魔王様はやれやれといったようにし、食事を続けた。
はぁ、こうやって人に感謝されるのは悪くないものだ。俺の元の世界での仕事は、誰にも知られることなく、誰にもほめられることなくただひたすらと過ごしてきただけだったからな。ここですることにやりがいみたいなのを感じているのかもしれない。
そのあとは俺が元いた世界での話や俺の生涯のことを話した。いろんな国へ行きいろんな人と出会ったこと、俺たちの世界にはほかにもこういうものがあるということを…。
でも、なぜか俺の仕事のことは彼らにもいうことができなかった。なぜなら俺はたくさんの人を救ってきたと同時にたくさんの人間を…。それを言うのが怖かったのかもしれない。
そんなこんな話しているうちに皆おなか一杯になったようだ。魔王様とアンスヘルムは後片付けを始めている。歓迎パーティといってもただたくさんの料理を囲んでお話ししただけだったな。まぁそんなものかパーティなんて。
それにしても今日は疲れた。なんせ夜から寝ずに力仕事をしたのだから今日くらい日課の筋トレを休んでも許されるだろう。
俺たちはそのあともいろんなことを語り合った。だが、アンスヘルムは感づいている、俺が元の世界でのことを隠していることに。そして俺も感づいている、アンスヘルムや魔王様たちが俺に何かを隠していることを。いくら、家に住ませてもらっているといっても俺は赤の他人。だから幻滅したりしない。むしろそのくらいの距離間のほうが今のうちは十分だ。いずれ話してもらえることを願っている。
各自寝支度を済ませ、各々の部屋へと向かった。
俺は部屋のテーブルに置かれたジャケットに目を向ける。そういえば、俺着替えなかったな…。
スンスンと脇のにおいや服のにおいをかぐ。まだ平気みたいだが…。
そういえばここの住人はお風呂とか洗濯とかはどうしているんだ?
料理している時は、あらかじめ溜めていた水を使っていたみたいだけど、魔王様みたいな年頃の女の子なんてそういうのに敏感なはずだ。
まぁいい。明日考えよう。俺は密度の濃いこの二日間を思い出しながら就寝した。




