0014 真実
次に向かったのは普段着の店だ。その店はギンが着ているイカす服からユ○クロに売っているような普通の無地の服が並んでいた。
魔王様は「ツカサはこれが似合うな」「ツカサはこれだ!」「うーんこれはギンだな」と俺の服を選定してくれていた。俺はその度「魔王さまに選んでもらえた服ならなんでもきますよ」と言っておいた。
シャルは一人で勝手にそこらへんの服を見ていた。
魔王様が服の会計を済ましている時に、服を見ているシャルに気になっていた事を聞いた。
「服、興味あるのか?」
「実家が服屋だった」
それは沈んだ声色だった。
「だった」という既に過去形なのから踏まえるにあまりいい話ではないのだろう。だから突っ込まず相槌を打っておいた。
「そうか」
「名前なんだっけ?」
「お前本当に今まで何聞いてたんだ!?!?」
魔王様が会計を済ませると、例のごとく情報収集に当たったが目新しい情報は得られなかった。
「うむ、さてこれからどうしたものか」
店を出て軒先で俺たちは次の手を考えていた。普通に考えれば今までのことをアンスヘルム達に報告しきそれから皆で一緒にこの街へ来て情報収集をするのが定石のはずだが魔王様はそれを渋っていた。
「俺はアンスヘルム達に報告しに行くことが先決だと思います。アンスヘルムらに知らせず俺たち二人、いや三人であの領主の館に乗り込むのは余りにも危険です。」
「わかっておる。わかっておるのだが・・・」
魔王様はあごに手を置き考え込んでいた。
シャルもその様子を見て思いついたように言った。
「もしかして、幼女。私は今もあなたたちを疑っているけど貴女自身も身内を疑っていない?」
その一言に対し魔王様は、呼気を荒く否定した。
「ハレンチ娘よ。変な事を言うでない。先程それは違うといったはずだがの」
「聞いてなかった」
シャルは嘘がへたくそだということが分かった。
喫茶店で見せた魔王様の激昂はあの場にいた全員を震撼させた。だが、もしあの怒りの理由が動揺を隠すためのものだとしたらどうだろうか。
今の魔王様の態度とそのシャルの勘繰りで俺自身が今どうしたらいいのかわからない状況にある。
「いいだろう。もどるぞ、ツカサ。お主もついてくるのだろ娘。」
そう言うと魔王様は歩き始め、シャルも頷き俺たちの後についてきた。
俺たちは元来た道に戻らず細い路地を通って西側の大通りへと戻りドラグノ管理センターへと向かった。
「いらっしゃいませー!本日はどのようなご要件で?貸出ですか?それとも預かっていたドラグノを引取りに来ましたか?」
俺は魔王様から預かっていた鍵を渡し、預かっているドラグノを引き取るとの旨を伝えた。シャルも腰のポーチから鍵を取り出し、係りの人に渡していた。
「ありがとうございましたー。またのご利用をお待ちしておりまーす」
シャルのドラグノは俺たちのドラグノより一回り大きく、二人乗りのようだった。聞くと、来るときはヤンキーのモルミーレと二人乗りをしてきたらしい。 二人乗りなんてあったのか。俺も魔王さまと二人乗りしてみたい思った。
あの大きい剣はどうするのかと思っていたらどうやら背負えるらしい。背負えるなら手で持たず背負って歩けばよかったのにと今更ながら思う。
魔王様はとても神妙な顔で家の方角を見ていた。やっぱり何かあるみたいだな。
「往くぞ!」
魔王様は手綱をしっかり握りドラグノを走らせた。
これから、魔王とツカサがあってから一週間の話を書きます。




