生活
俺は100人将になった。
結構危ない橋を渡ったという気持ちはあるが結果オーライだ。
俺が100人将になったということはすぐに城中に知れ渡った。
今までちょっかいをかけてきていた奴らもすっかりなりを潜めている。
これでもっと鍛錬に集中できると思ったのだが現実はそう甘くはなかった。
今俺の机は倒れそうなほどの紙で覆い尽くされている。
そう。軍に入ったことにより、貴族のパーティーや任務の斡旋などをやらなくてはならなくなり鍛錬のしどころではなくなったのだ。
「はぁー」
俺はため息とともに紙に文字を淡々と書いていく。
日本でも一応の勉強をしてきたつもりだが、全く集中力がもたない。
というよりこんなことした事ないからあたふたして全く紙の量が減らないというのが現状だ。
「手伝いましょうか?」
「いや、大丈夫だ」
声をかけてきたのは俺の部隊のものだ。
顔はいかついが根はいいやつだ。
「それよりラスコ。この就任抱負って書かれてる紙があるんだがこれ書く必要あるのか?」
その紙にはズラーっと30行以上にも渡る線が引いてあり、いかにもここにかけと言っているようだった。
ぶっちゃけめちゃくちゃめんどくさそうだった。
「あります。これは軍に入ったものは誰でも書かなくてはならないのです。宿命ですよ将軍」
そう言いながらラスコは自分で入れた紅茶を持ってきてくれる。
何気にハイスペックな奴だ。
俺は差し出された紅茶を飲みながら渋々手を動かしていった。
俺は100人将だが当分任務に出ることはないと言われた。
理由だがまだ大きな戦いになりそうな気配はなく、盗賊などは冒険者や下っ端の兵士だけで対応できるからだそうだ。
だがら任務がない間は一応自由行動となっているらしい。
俺の場合は大量の仕事が残っているため自由などないが他の者達は鍛錬や賭け事で時間を潰しているらしい。
俺の部下達だが一応顔見せはしたがそれ以外は特にしていない。というより出来ないという方が正しい。
普通の部隊なら隊長自ら訓練を行ったりするらしいが、忙しくて出来ないし、まず俺のいうことに従ってくれるかも怪しいのだ。
何せ勇者達が自分達のいた世界の事を有る事無い事言いまくるせいで、俺のいた世界は争いがなくて、でもものすごい技術を持っているということになっているのだ。
何をどう考えたら争いがないという答えになるのか全くわからない。
日本でもヤンキーはいるし暴力事件どかはよくニュースでやっていた。
それに、日本なんて平和主義という言葉を守るために裏ではドロドロとした殺し合いが行われていたのだ。
それに科学という言葉が伝わらないからってすごい技術ってなんだよ。高校生が言う言葉じゃないだろそれ。
絶対に城の人に影で笑われてるって。
1ヶ月後
「はっはっはっはっ」
俺は白い息を吐きながら走っていた。
俺が百人将に就任してから早くも1ヶ月がたった。
なんとか仕事も落ち着いて終わらせる事ができるようになり、前よりは時間は減ったが鍛錬できるようになった。
部下達はやはり俺の言うことは聞かないようで訓練でもしようと誘ったのだが断られてしまった。
ちなみに俺自身は鍛錬で結構パワーも技術をついてきた。
まだまだなことに変わりはないが少しづづ成長しているのを感じている。
成長を感じれるのはモチベーションが上がるからいいことだ。
鍛錬終わりのランニングが終わり俺は仕事をするため城に戻る。
部屋に行くとドアの前に騎士がいた。
「何か用ですか?」
「はっ!王から高村鋭志百人将に命が与えられたためご報告に来ました」
何故かとても嫌な予感がして、俺は体を少し震わせた。