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特訓と城での生活

「召喚の話はとりあえず置いといて君にあげる能力の説明をしてあげるよ」


「能力?なんだそれは?」


「邪神を倒す為の力だと思ってくれればいいよ」


能力がないとすぐ死んじゃうだろうしね、と神はそう思いながら話す。


「そうか。まぁ俺は邪神が殺せればなんでもいい」


「ふふふ。そうかいそうかい。じゃあ君にはモンスタントという能力をあげよう」


「?どんな能力なんだ」


「そんなのは僕の世界の住人にでも聞いてくれ。あ、でも1つだけヒントをあげよう。その能力を使うために必要なのは意思だ。自分が強い意思を持っていなとその力は発動しないよ」


「よくわからんがまぁいいや。わかったじぁそろそろお前の世界に送ってもらっていいか」

よく見ると鋭志の手は震えていた。

それは恐れとかそういう者ではなく邪神を殺したいがための震えだということはすぐわかった。


「いいよ。じぁ今送るからそこから動かないでくれ」


手を伸ばし魔法のキーになる言葉をいう。

「"転生"」

莫大な量の光に鋭志の姿は飲み込まれた。




"何が僕の世界の住人にでも聞いてくれだ!危うく死ぬところだったわ!"

心の中で神に怒鳴りながら俺は鑑定機の部屋を後にする。


自分の部屋に入りこれからどうするか考える。

しかし、まさかモンスタントがこんなにこの世界で忌避されているなんて。

俺はモンスタントだから魔力ゼロだしいつ城の人たちに調べられてバレるか分からない。

城を抜け出すべきかもしれないが金も食べ物も武器も何も持っていない状態じゃ犬死するに決まってる。


やばい。これもかして詰んでるかもしれない。


この後もこのままでは終われないと色々策を考えたがどれもパッとせずこの世界で生きれる保証があるやつは1つもなかった。

結局俺は城の中で暮らすしかなかった。




だがその悩みもすぐに消えることになる。

クラスメイトが俺が魔力を持っていないからっていじめてきたりしてくれたおかげでそっちに城の人たちの意識が向いてくれたからだ。

それとあとは俺が異世界人だがらモンスタントなんかではないと思ってくれているらしい。

結果オーライだ。クラスメイト達よたまにはいい事するじゃないか。

あといじめと言っても石を投げてきたり、俺の横を通り過ぎる時に死ねとか無能とか言ってくるだけだ。

小学生かよと思ったのは致し方ないと思う。

ちなみにいじめ筆頭はあの親の脛をかじっていた春美 幸だ。

今では親がいなくてめちゃくちゃ不安らしく、眠れないのか目の下にクマができていた。

まぁそのストレスを俺にぶつけてきているというわけだが。






召喚されてから二週間が経った。

俺は今朝4時に起きて鍛錬に向かい夜の9時に城に帰って寝るっていう鍛錬づくしの日々を送っていた。

俺は今食堂に向かって歩いているところだ。

食堂のおばちゃんにはいつも昼ごはんと夜ご飯の弁当を作ってもらっていた。

朝のしかも4時に食堂に入るもの達はほとんど下っ端の騎士達だ。

彼らは朝から仕事と言う名の雑用があるためいつもこの時間帯に朝食を食べていた。

ここにきてからまだ少ししか経っていないが彼らとは仲が良かった。

最初は腫れ物を見るかのような目で見られていたが俺が鍛錬でドロドロになって帰ってくるのを見てからはとても親切だった。

今では一緒に風呂に入り(大浴場)愚痴を言い合う中になっていた。

みんな俺よりも年上なのだが、そんな事全く気にせず話しかけてくるのでこっちも話しやすかった。

今日も食堂に入るとみんなが今日も頑張ろうなーと声をかけてくる。

俺も同じように頑張ろうなーと言って食堂のおばちゃんから弁当を受け取り朝食が入ったトレイを受け取る。

俺は朝食を味わいながら食べて今日も美味しかったよとおばちゃんに言って食堂を出た。






もはや俺の鍛錬場とかした山の麓で俺は鍛錬を開始する。

まずは右手を突き出し少し腰を下ろして高村流の基本姿勢をとる。

まだ武器はこの手にはなく、代わりに重りのダンベルに似た鉄を握っている。

その鉄は右の手だけではなく左の腕と足にもついている。

鉄の重さを感じながら腕を振るい足を振る。

重さにより腕、足を振る速度が落ち、精度も下がる。

一通り基本の型を終えると小さく息を吐きまだまだだなと嘆息する。

俺は身体についている鉄を全て外すと再び基本の型を始める。

重りを身体につけるとその重さに慣れていなくて変な体重移動をしたり、重心を変えてしまうことがある。

そしてそれが身体に染み付いてしまうと重りを外した時思うように体が動かなくなる。

だから重りをつけたあとは絶対に重りを外した状態でもう一度同じことを繰り返す。

じぁ最初から重りをつけないでやったほうがいいのではと思う奴もいるだろうがそれは違う。

元々高村流武術は超攻撃的な武術だ。

身体を休めることなく技を繰り出し敵に反撃する隙を与えずに殺す。

これがこの武術の理想の攻撃形態だ。

それを行うには一撃一撃の斬撃の重さを増し、剣速を上げ、それを続ける肺活量が必要だ。

地球にいた頃は暗殺が目的だったためそんな何度も刀を振らずとも一撃で仕留めることができていたが今は違う。

向こうでは刀なんて武器を使う奴がいないから敵を混乱させることができたが、ここには剣で生き剣で死ぬものがいる。

剣の達人達がいるのだ。

それに俺が倒すべきは邪神だ。

あれとの実力差を縮めるにはもっと努力しなければならない。

だから俺は今日も身体を苛め抜く。





周りが真っ暗になり城の前にある大きい時計が8時を指したところで俺は帰る。

城についたときには大体9時ぐらいで空となった弁当箱をおばちゃんに届けるために食堂に向かう。

食堂にはいつもと変わらないメンバーがいて俺を出迎えてくれた。

「おせーよ鋭志」

「今日もお疲れ。一緒にお風呂入りに行こうよ」

「鋭志聞いてくれよ~今日先輩の騎士がさ……」

みんなが一斉に話しかけてくるがいつものことなので軽く受け流しつつおばちゃんに弁当を届ける。

「今日も美味しかったよ」

そう一言言って俺はみんなの元に戻り食堂を出た。





食堂を出て一緒に風呂に行こうとしたところで思わぬ奴らと出くわした。

春美 幸と他女子5名御一行だ。

その後ろにはメイドさんが控えており疲れた顔をしていた。

多分めちゃくちゃな命令をさせられているのだろう。

俺はメイドさんと目が会うとうちのクラスメイトがすいませんねという風に頭を軽く下げる。

メイドさんは軽く苦笑して視線を元に戻した。


春美 幸は俺が自分に頭を下げたと勘違いしたのか高圧的な態度で喋ってきた。


「ハッ!男が女に頭を下げるなんて貴方にはプライドがないのかしら?まぁ頭をペコペコ下げるしか能がないのでしょうけど。どうせ後ろにいる騎士達も頭を下げて助けてもらったんでしょ」


あいつは俺の身体が汚れていることをクラスメイトにいじめられたと勘違いしたようだ。

言い訳しようとすればできるが鍛錬の後で疲れて早く寝たかったし、何よりこの女が話の通じる人だとは思っていなかったので無視することにした。


俺が何も反論してこないことに痺れを切らしたのか春美 幸は甲高い声で俺に文句を言ってきた。


「貴方がいると私たちの品位が低く見られるのよ!魔力も持っていない無能のクズのくせにずっと城に居座って挙げ句の果てには騎士に頭を下げて守ってもらっていい加減にしなさいよ!目障りなのよ!」


「お前いい加減に……」


春美 幸に怒鳴ろうとするマイク(騎士の名前)を手で押さえる。

俺は虚空に目を向けただ相手がここから去るのを待つ。

こちらから去ってもいいのだが絶対何か言われて後々面倒になる。

だが相手はここから去ってはくれないようで、それどころか俺の無視してますと言わんばかりの態勢に怒りを爆発させビンタしようとしてきた。

俺は言葉はいくらでも受けるが暴力まで受けるつもりはない。

それに、暴力を行使するということは敵と判断した証拠だと鋭志は認識している。

だから視線を戻し、頬に向かってくる手を掴み、衝撃を上から下にいなす。

それと同時に足を"敵"の首めがけて放ち、当たる直前で止める。

今この場で何が起こったのか分かった者はいないだろう。

いや、動きが見えた者という方が正しいだろう。

証拠にここにいる騎士でさえも目を白黒させている。

何せ小学生の頃からずっと鍛え上げてきた武術の初歩中の初歩、受け流しからのカウンターだ。

実戦でも幾度となく敵を葬ってきた。

そう簡単に見切られては困るのだ。


「貴方がその気ならこちらも相応の対応をしなければならないのですが」


返事はない。まだ何が起こったのか分かっていないのだろう。

俺はそう判断すると、彼女らの横を通り抜け大浴場へと向かった。






あの後は風呂場で皆んなから何をしたのか根掘り葉掘り聞かれ、余計に疲れた。

部屋に戻るとベットに倒れこみそのまま寝た。







次、鋭志の武器が登場します!

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