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壱憑き目-哀莉編-
「今日から皆さんも、この学園の生徒です。
責任と、誇りを持って、前へ進んでください!」
退屈。
校長の話は短かったが、生徒会長の話が長い。
あくびを必死に堪え、生徒会長を見つめる。
黒い髪をポニーテイルに、赤ブチ眼鏡。
きちんと着こなした制服。
そして、眼鏡の奥から覗く、意思の強そうな瞳。
真面目が服を着て歩いているようだ。
苦手なタイプの会長…
ツイていない。
それとなく視線をずらし、隣を覗く。
私と同じことを考えているであろう、男子生徒が隣にいた。
喋らずに、口だけを動かしてきた。
(ひ・ま・じ・ゃ・ね)
いつもなら無視するところだが、飽きているのもあって応答する
(し・か・た・な・い・で・し・ょ)
「によってー」
(は・な・し・な・が・い・ん・だ・よ)
もう、二十分以上話し続けている。
「!?」
いる。
黒い髪をカラフルなシュシュでツインテール。
カラーコンタクトをつけた、青い瞳。
大胆に着崩した制服。
下を向いて、涙を溢している。
突然、壇上に現れたことといい、恐らく幽霊だろう。
「羽ばたいてください!」
会長が話し終えた瞬間ー
ドタタッ
幽霊は消え、会長は崩れ落ちたー