いたずらなエイプリル
エイプリルフールに嘘をつきたくて、どんな嘘があるかなって、思いついた一シーンです。
「私、今日告白するんだ」
いつも冗談混じりで私を好きって言ってくれるあいつの前で宣言する。
「えっ?誰に?
ってか、好きな奴いたの?」
「うん。サークルの先輩。
久しぶりに帰ってくるんだって」
そっか……途端に口数が少なくなった。
足音がしばらく響いて、分かれ道の角に着く。
「じゃあ、行ってくるね」
「……ああ。その、頑張れよ」
もう顔も見てはくれない。
「ありがとう」
微笑んでからくるっと回る。
そして小さく、
「嘘だよ」とつぶやいた。
三秒待って、
「君が好き」と声かけた。
チャイムが鳴って、
「四月馬鹿のばか野郎!」
叫んで私は告白した。
大好きなあいつに嘘の本当を。