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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

童話シリーズ

独りぼっちのお人形さん

作者: 魔桜


 森の奥のそのまた奥に、小さな小屋が建っていました。

 小屋には、お人形さんが住んでいました。

 それはそれは綺麗な女の子のお人形さんでした。

 でも、彼女には心がありませんでした。

 彼女を造ってくれた人は、もういません。

 だから、心とはどういうものなのか。

 一体どういうものなのか、お人形さんには分かりませんでした。

 

 そんなある日。

 一人の男の狩人さんが、森で血まみれになって倒れていました。

 驚いたお人形さんは、自分の小屋にまで連れて帰ると狩人さんを介抱をしてあげました。


 やがて、狩人さんが目を覚ますと何度も何度もお礼を言ってくれました。お人形さんが人間ではないということには、気がつかなかったようです。


 お人形さんは、自分の正体を隠しました。

 造ってくれた人がこの小屋にいた時に、忠告してくれていたのです。

 必ず、自分の正体は隠せと。

 そうしなければ、お前は何をされるか分からないと。


 だから、お人形さんは、自分が人形であるということを隠したまま、狩人さんの手当てを続けました。

 傷ついた狩人さんの傷は思いの外深く、傷が治るまで一緒に生活することになりました。

 

 そうして、二人で一緒の生活をしばらく続けていると、お人形さんは思いました。

 なんだか心が羽のように軽くて、楽しいと。

 そう考えていることに気づくと、驚きました。

 心がなかったはずのお人形さんに、いつの間にか心が宿っていたからです。

 もしかしたら、お人形さんにも元々心があったのかも知れません。

 だけど、造られてからほとんどずっと孤独に生きてきたお人形さんは、心のあるかないかを確かめることすらできなかったのです。

 周りに誰もいなかったから。

 心が動くようなことが何一つなかったから。

 そうです。

 誰かと一緒に生活することによって、ようやくお人形さんにも心が芽生えたのです。

 独りぼっちじゃなくなったから、感情が生まれたのです。


 嬉しくて、嬉しくて、お人形さんは狩人さんに話してしまいました。

 自分が、人形であるということを。

 いつも通りに接してくれると思っていました。

 

 だけど、狩人さんはお人形さんをバケモノ扱いしました。


 持っていた銃で、お人形さんの顔を破壊してしまいました。あんなに可愛かったお人形さんの顔は壊れてしまいました。

 ですが、お人形は狩人さんを恨みません。

 それどころか、どうしてこんなことをするのかと狩人さんに訊きました。

 ただ理由を知りたかったのです。


 傷ついても平気で動くお人形さんを見て、怖くなった狩人さんは一目散に逃げていきました。

 お人形さんは、狩人さんを追いかけました。

 どうして追いかけたのか分かりません。

 また拒絶されることは分かりきっているのに。

 それでも、追いかけなくてはならないような気がしました。

 胸の辺りがポッカリと空いているような気がしました。

 こんな感情は初めてでした。

 苦しくて、苦しくて。

 こんなことなら、心なんていらないと思いました。


 そうして、お人形さんが狩人さんに追いつくと、熊に襲われているところでした。

 熊には古傷があって、狩人さんが話していた、狩人さんを傷つけた相手だということをすぐに悟りました。

 狩人さんは熊に追い詰められ、また怪我をしそうでした。

 助けるべきです。

 でも、何故かお人形さんの体は動きません。

 動いてくれません。

 どうしても、何かがお人形さんの動きを邪魔します。


 そして、熊の爪が狩人さんの身を引き裂こうとした瞬間。


 何故か、お人形さんの体は勝手に動きました。


 その身を挺して、狩人さんの盾になりました。

 呆然とする狩人さんでしたが、はっとなると銃を持ち直して熊を射殺しました。

 狩人さんは、バラバラの体になってしまったお人形さんに駆け寄ります。

 ごめんなさい、ごめんなさいと、狩人さんは謝ります。

 ですが、もうお人形さんには声は届きません。

 ですが、もうお人形さんが声を発することはありません。

 

 それから、心のあるお人形さんが動くことはありませんでした。

 


童話初挑戦なので、

これが童話になっているのか良く分かりませんが、

一生懸命執筆しました。

ということで、勘弁してください汗

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― 新着の感想 ―
[一言] 続き、読ませていただきました。 切ない恋ですね。彼を身を挺して守るところが特に・・・涙を誘われました。
[良い点]  切ないお話でした。珍しく泣きそうになりました。
[良い点] 童話とかはよくわからないですが、すごく引き込まれるお話でした。お人形さんの心境が手に取るようにわかり、悲しかったけど面白かったです。
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