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第8話 尋問…は?模擬戦? 後編

どうも第8話です。

やっと模擬戦が終わりました。

思ったより長かったな…。


それと修正というかなんというか。

レナさんたちが閃を呼ぶ時、「セン」だったのですが、「閃」に変えます。

なんかごちゃごちゃするので統一のために。

ご了承をば。



それではお楽しみください。

「じゃあ、今日はアイシィと戦うかな」


『本当ですの!? 必ずや閃様のご期待に沿えるようにがんばりますわ!!』


「いや、戦うのは俺だろうに…」


 文句を言われる前にサンとフゥをしまい、アイシィ片手に前へ出る。

 対するは、大剣を両手に構えたグランツ。その研ぎ澄まされた姿はさすがSランクと言うべきか、隙一つない。近づく者は一瞬の内に叩き潰されるのではないかと思わせる程の鋭い殺気。

 すごい…、この一言に尽きる。

 それに比べて閃はアイシィも構えず、自然体で立っている。


「貴様、戦う気はあるのか?」


「大有りだよ。これがアイシィとの戦い方だ。こいつとは流れるように戦うスタイル。だからムダな力が入らないようにこんな感じなんだよ。俺は流の型と呼んでる。ちなみにサンは剛の型、エレンは狂の型、フゥは回の型。それぞれにそれぞれの戦い方があってな、使いこなすのに苦労したぜ…」


「そうか。なら気にせず叩き潰すとしよう。だが、いいのか? 戦い方を教えてしまって」


「構わんさ。負ける気はねぇからな」


 ニヤリ、とグランツに向けて意地悪そうに笑う。

手の中からは「きゃー閃様かっこいいー」と聞こえてくるが、本当に主人公か疑うような笑顔である。


「なんなら4回やって全部の型、見せてやろうか? 全勝してやるよ」


「………ははは。Sランク相手にそこまで言うやつは初めて見た。いいだろう。お前に俺の強さを刻み込ませてやる!!」


 一気に閃との距離を詰めるグランツ。身体強化でもしているのであろう、その速度は一般人には目視することも敵わぬほどに速い。だが、その姿をちゃんと目で捉えながら閃は一言。


「おそっ…」


 神速といえる程の速さから振り抜かれる大剣を上半身を後ろに倒しながらかわす。そしてそのまま地面に手をつき、ブリッジの体勢から大剣を蹴り上げる。そしてそのまま後ろへ着地。

 不意打ちに近い形からあれだけの速さの剣を振ったにも関わらず、かすりもしないことに少し驚くもすぐに思考を戻す。

 蹴り上げられた剣を力任せに振り下ろす。閃は横に避けたが、通りすぎるハズの大剣は軌道を変更し横薙ぎへと変わり、閃に迫ってきた。

 とった!! と少しニヤケながらグランツは閃の身体を真っ二つに両断する。

 ―が、その喜びもつかの間、閃の身体がバラバラに砕け散ったのだ。どうやら氷で出来た人形だったようで、周りにはキラキラと氷の粒が舞っている。

 驚くグランツだが、すぐさまその場を離れる。いつまでも固まっていてはいけないと思ったのだろう。

 そしてその考えは正解で、右に跳んだ瞬間、その場に閃がアイシィを振り下ろしていた。見えない程の剣速である。


「あ〜、惜しい!!」


「…貴様いつの間に俺の後ろに来た?」


「あ? あんたが剣を薙ぐ時、ちょっとニヤケたろ? その集中力が薄くなった時に入れ代わっただけだよ。あとはのんび〜り気配を消して後ろに近づいた、と。お分かり?」


 グランツは冷や汗を流した。この歳で、このハイスペック。身体能力、魔法(というかアイシィの力)、判断力、気配の消し方、どれもが一級品なのだ。まだ発展途上の身体であるためまだまだこれから伸びていくとなると本当に末恐ろしいガキである。冷や汗を流すのも分かる。


「人形に入れ代わったのは分かったけど、ギリギリだったわねん」


 キングは心底驚いているのか、目をこれでもかコラ!! と見開いている、と思う。モザイクの目の辺りが心なしか動いてるし、うん。



「セン…、カッコイイぞ…」


 レナさんはトリップ中。もはや閃以外のものは見えておりませーん。ですのでしゃべりかけているジークさんは速やかにお引き取り願いまーす。


『閃様、どうでしたか? 私のアイスドールは』


「おう、いい感じだったぜ。アイシィは繊細なものが上手いな」


『ありがとうございます。満足なさってくれて嬉しいですわ』


「まだ戦闘は終わってないからな。引き続き頼むぜ、アイシィ」


『お任せを』


 アイシィは褒められてめちゃくちゃ嬉しそうだ。普段は上品なお嬢様風のアイシィだが、閃に褒められて言葉に喜びを滲ませる姿はギャップ? もありとても可愛らしい。剣だけど。


「悪いな、待たせて。さぁ、続きといこうや」


「…こりゃとんでもないやつを相手にしたか?」


 今思えば魔力量も桁違い、いやもう人間とかいう枠を超えている。本気をだせばこの訓練場など簡単に氷漬けにされるのではないか、とグランツは考えていた。冷や汗が流れてますよ?


「ん? 来ないのか? なら、こっちから行くぞ!!」


 そんな声が聞こえて、思考の底へ沈んでいたグランツは現実に引き戻される。とっさに前を向くのだが、もうすでに閃が目の前にいて、剣を振りかぶっている。すぐに反応しギリギリながらも大剣で受け止めるが、アイシィが当たった場所から凍りついていくのに気付いた。急いで跳ね退けるが、もう閃のペースである。

 流の型というだけに、流れるような、端から見れば剣舞を見ているような気にもなる綺麗な攻めが始まった。

 剣からは冷気が発しており、キラキラと氷の粒をその身に纏いながら、上下左右斜め突き、まさに四方八方変幻自在の攻撃だがなんとかグランツは受け止めている。

 大剣はほとんどは凍らされているが目には強い意志が見え、まだ諦めていないと分かる。


「ふ〜ん。なかなかついて来れてるな。じゃあ、スピード上げるぜ?」


 そう言った瞬間剣速が少し上がる。今まで必死に防いでいたため、これ以上上げられたら防ぎきれないと考え、牽制に魔法で攻撃をする。


「くそっ!!『アースハンド』!!」


 詠唱破棄によって唱えられた土属性魔法『アースハンド』。

 地面から出てきた八本もの巨大な土の手が閃に迫るが、手の間をすり抜け、そして切り裂き、あっという間にただの土の塊に変えてしまった。そのことに驚愕しながらも距離をあけることが出来たグランツはすぐに次の詠唱に移る。


「『母なる大地よ 我が願いに答え顕現せよ 飲み込むは恐怖 覆い隠すは光 そして彼の者に温かい死を 土岩竜(ロックドラゴン)!!』」


 長い詠唱を終え(その間閃は待ってあげていました)、岩で出来た竜が出現する。

 全長30mはあるだろう。身体が堅そうな岩で覆われており、生半可な攻撃ではびくともしないと思られる。姿は西洋の竜のようであり、威圧感が半端ない。

 グランツの意思で操れるのか、オートなのか気になるところである。

 だがどちらにしろ厄介な相手だろうな。

 多分上級魔法、もしくはそれに準ずる威力を持っていると見える。


「おー、こりゃ見事なドラゴンだ。相当習得に苦労したんだろうね」


「そんな余裕を見せていていいのか?」


「まあな。確かにそのドラゴンは強力だろうさ。でも、これだけは覚えておけ」


 そう言ってニヤリと笑う。

 アイシィを逆手に持ち替え、地面に刺そうとするかのように振り上げる。アイシィが淡く光りはじめ、閃は言った。




「俺のアイシィには勝てない」




 アイシィをゆっくりと降ろしていく。

 グランツはその行動に危機感を覚えて、ドラゴンに命令を出した。


「ロックドラゴン!! あいつを止めろお!!」


「グォォォォォ!!!」


 頭が割れるような唸りをあげて閃に飛び掛かる。巨体に似合わないとても速いスピードど迫っていく。だが、もう少し早ければ、グランツの命令がもう少しだげ早ければ、閃を止めれたかもしれない。

 しかし、ドラゴンが閃の真上に来た時にアイシィは地面についた。ついてしまった。




「『銀界 雪化粧』」




 訓練場にいる誰もが自分の目を疑った。

 今見ているものは何なのだろうか。

 この一面に広がる氷の地面、いや壁も凍っている。

 世界は氷で覆われた。

 空気が凍てつきキラキラと氷の粒が訓練場全体を舞っている。そして真ん中にある氷で出来たドラゴンの像。いや、ロックドラゴンが凍らされた姿だ。今にも飛び掛かろうとする姿で止まっている。最高級の芸術であるかのように生き生きとしていて、凍る前に出ていた威圧感も損なわれていない。


「あれ? ちょっとやり過ぎたかな…」

 

 閃は一人、この氷の世界の真ん中に立っていた。悠然と、当然であると。

 誰ひとり信じられないようなこの世界はこの男が作り出したのだから。


「グランツ。まだ、戦うか?」


「い、いや…。俺の負けだ…」


 こう答えるしかあるまいよ。こんな凄いものを見せられてまだやるとは言えない。Sランクの誇り? 自分への自信? そんなものここまで圧倒的なまでの実力差を見せられてはボロボロである。

 これ以上やるとそれこそ完膚なきまで潰されるだろう。というかやりたいという気さえ、グランツにはもう起こらないかもしれない。

 そういう意味でも閃の圧勝だった。


「そうか。いい勝負だったな。楽しかったし?」


 ニヘラっと笑う閃。

 確かに二人共勝負に夢中だったように見えた。見てる方も手に汗握るいい勝負だったのは確かだね。


「………はは、完敗だよ」


 パチパチパチとレナさんたちが拍手をしてくれている。レナさんがなんか恍惚な表情をしているのは気のせいだよ!


「さすが我が夫…」


 ………スルーで!!

 その発言は俺は拾いません!!


『閃様、お疲れ様ですわ。此度も素晴らしい戦いでした』


「ありがとうアイシィ。お前もご苦労様」


 閃とアイシィはお互いを労いあっている。閃と魔剣たちは本当になかがよろしいようで。素敵な仲間がいていいですね。


『私はお役に立てましたでしょうか?』


「おう、大活躍だったぜ〜? さすがは俺のもんだ」


『い、嫌ですわ閃様…。俺のもんだなんて…。キャー!!』


 アイシィが人間だったなら、きっと頬に手をあてて顔を赤らめながらくねくねと悶えていたことだろう。容易に想像できてしまう…。

 しかし本当に閃の作った魔具は強力だ。

 訓練場を一瞬で氷の世界に変えたり、30mもの巨大な炎の球を作り出したりと。

 まぁ、それも閃の強大な魔力があってこそなのだが、やはり恐ろしい。魔剣持って、それを十分に操る魔力も持っているならば、国など単独で崩壊させることも出来るかもしれない。

 そしてそれに加え<意思持ち>。段々と使用者と心を通わし、息の合った戦闘を可能とする。死角からの攻撃でも魔剣が気付いていれば、勝手に魔法を発動させて防いでくれることだろうし。やばっ、無敵やん。


「あらぁ〜、グランツに勝てるとは思わなかったわ〜ん。あなた強いのねん」


 キングが近づいてきて、お褒めの言葉を頂きました。


「ありがとううっぷございます」


 こいつ、お礼の途中で吐きそうになりやがった…。最低だよ。

 人として最低だと思いますよね? キングさんおぇぇ…。


「閃!! かっこよかったぞ!!」


 レナさんが走り寄ってきて閃に声をかけた。手を胸の前で握りしめ、目をキラキラと輝かせながらキングを押しのけました。

 あれ? いいの?


「なぁ、その剣は何なのだ? 意思を持っているようだし、それが閃の媒介なのか? でもその剣の他にもあったし。それも媒介なのか? 複数持ちとは初めて見たぞ!!」


「ちょ、ちょっと落ち着けって」


 にじり寄るレナさんを押し止め、落ち着かせる。


「(んー、それを説明するにはこの世界の人間じゃないことを言わんといけんよね…。その後の反応がめんどくさそうだけど、別に隠さなきゃいけないことでもないし。しょうがないか…)…それを説明するには一つ、秘密を話さなきゃならない」


「秘密? 閃のか?」


「あぁ。俺は異世界人なんだ」


「………………………は?」

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