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推しのVTuberからの愛が重すぎるんだが?  作者: 薄明


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2/12

彼女の初配信

俺が彼女の配信を知ったのは本当に偶然だったと思う。


IT業界で働いてる俺は、普段はリモートワークなのだが、その時は出社しないといけない業務があったため、帰宅が夜9時を過ぎていた。


「はぁぁ、だるぃぃぃ」


トラブル対応は出社しないといけないのが嫌なんだよなぁ(泣)

会社からの電話が億劫だ。


「とりあえず飯……」


サッとシャワーを浴び、半裸のままリビングに戻ってくると、料理なんてする気は起きない。


某社のカップうどんを食うしかないよな。



「5分待って5分待って、5分待って、やー♪」



こんな奇行が許されるから、一人暮らしで良かったと思う。


暇つぶしにYouTubeでも見るかってことで、検索欄を開く。


最近はVTuberの動画や配信、切り抜きを見ることがあったため、おすすめ欄はそれ関係。

どれも見た事あるような企業勢や、有名な個人勢のVTuberが多かったが、その時は検索の仕方をミスったのか、最新のアップロードで検索をかけていた。



「あー、ミスった。アップロード日を最新にして検索してもうた。まあいいか」



適当にスクロールして、適当にクリック。



『誰も~来ない~もう30分♪』



なんだそのこの世の終わりのような声は……。


ゆったりした落ち着く声質なのに、聞こえてくるのは絶望したオリジナルソング。

なんか可哀想になったのと、暇つぶしに良いかってことで見ることにした。



『あ、視聴者1!見てますか!!!』



彼女はブンブンと横揺れが激しくなった。

よほど嬉しかったんだろうか、ニコニコとしている。


「ぷっ、本当に寂しかったんだろうな」


何気なしに、コメントをすることにした。


「こんばんわ。どん〇えの待ち時間で来たんだけど」



『わあああ、コメントまで!!はああ、もう終わっていいです』



「まてまてまてまて!せっかく来たんだから!!!」


昇天しそうな声を出す彼女に、慌ててコメントした。



『なんてお優しい……実は初配信だったんですけど、VTuberって多いので視聴者が見に来るってことも無かったんです』



確かに……と俺は思う。


今はVTuber戦国時代。

企業に所属しないと、視聴者数は稼げないし、個人勢としても、大物とコラボしたり、何か一つ突出した物がないとなかなか登録者数も伸びない時代だ。

彼女に限らず、VTuberに挑戦しようとした者が挫折するのはこういうのがあるからかもしれない。


こんなん、Twitterとかで呟けば、知ったような口を聞くなって、叩かれるのがオチだから俺だけの意見だけど。


だから大手を目指すんだろうな。



単純に喋ってみたいっていうのもあるし。

でもユニコーンがなぁ。



なんて思っていると。



『うっ、うっ。コメントないなったです……』



ええっ、なんか泣きそうになってるんだけど。



「ああ、ごめんなさい、考え事してた」



『冷やかしに来た人かと思いました……良かったです……』



「今日が初配信ってことは、何かしようと思ったの?」



『いえ、挨拶をと思っていたんです……でも誰もこなくて……』


ああ、また泣きそうだ。


「そうなんだ!じゃあ俺が君のファン第1号だ!」


慌ててチャンネル登録を行うと、今度は彼女の挙動が止まった。



『ふぇ?』



「え?」



『ふえええ、チャンネル登録されたぁぁ』



結局泣いちゃった……。


「そんな泣くことでない気が……」



『いえいえ!私にとっては初めてのことが多くてとても嬉しかったんです。このまま配信辞めてVTuberも辞めようと思ってたぐらいだったので』



判断が重い!!


せっかく落ち着く声なんだから、廃れさせるのはもったいない……。


「残念だ……これから配信がある時はできる限り来ようと思ったんだけど」



『次回も配信させていただきますぅ』



あんまり言いたくないけど、おもしれぇ女。



その後30分ぐらいやり取りしてました。


ああ、ど〇べえ?

クッタクタに伸びてたよ。

ラーメンだったら食べれなかった。うどん最高!

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