第七話「目が覚めて」
前回のあらすじ
ラヴシーン、最高だぜ!
✿千景サイド✿
聞こえた足音は杠美凛のものだった。
「みーくんの様子を見に来たんです。ついでに報告です。無事連絡つきました」
「ありがとう」「すべてみーくんのためですから」
「みーくんの唇が濡れている。…柊野先輩、みーくんに何をしたんですか」
「水を、飲ませただけだ」「…そうですか」
◇◆◇
「そろそろ予鈴が鳴るので私は教室に戻ります。では」
杠美凛はお辞儀をして帰っていった。
その時、湊の瞼がぴくりと動いた。もうそろそろ起きるだろう。
✿湊サイド✿
目が覚めた。俺は何をしていた?途中から記憶がない。
「湊?起きたのか?」この声は先輩?「ちかげせんぱい?」起きたてほやほやだから声が出しづらい。「ああ、そうだ。良かった。急に倒れるからびっくりした。」やはり俺はあの時意識を失って倒れたらしい。
…………それはそうと、唇が少し濡れている気がする。唇に触れると、先輩が顔を赤くした。
―――なぜ?その反応はまるでキスをしたかのよ…う…?もしかして眠っている時に唇に感じた湿っていて柔らかいものって…「先輩の唇?」あ、声に出してしまった。
先輩はふいと顔を背ける。顔が赤いのをバレないようにしているみたいだが、耳が赤い。バレバレである。そして、この反応は、図星だ。
「先輩」「なななな、なんだ!?」「俺、人工呼吸しないといけない程ひどかったですか?」先輩の好きな人はきっと俺じゃない。だから、考えられるのは人工呼吸しかないのだ。
「――っ!違うのに…」先輩の声が小さくて聞こえない。「先輩、今なんて?」「人工呼吸じゃなくて水を飲ませただけ」
「先輩、俺はどうやって水を飲んだんですか?」ちょっと気になる。いやかなり気になる。「その、それは…コップだとこぼしてしまうから、く…」
「く?」「口移しで…」……んんん?!口移しだと!?
「嫌だよな。ごめん」いやむしろ嬉しい!
「先輩、忘れたとは言わせませんよ。俺は先輩のことが好きって前に言ったじゃないですか!」
「友愛と恋愛は違うぞ?」伝わってない!あんなにストレートで言ったのに伝わってないし!泣きたい…。
「みーくんおきた〜?」この声は!「りんちゃん!おはよう!」「おはようの時間帯じゃないんだけどねぇ〜」それはそうなんだけどね。
…なんかちょっと雰囲気悪くない?主にりんちゃんと千景先輩の間。こうなんか、りんちゃんの方から黒いオーラが漂ってる感じ。
「りんちゃんどした」「んーん、なんでもないよ〜。蘭ちゃん先輩が言ってた人がいただけだからさ〜」蘭ちゃん先輩?誰だろ?「蘭ちゃん先輩って誰なの?」
「蘭ちゃん先輩はねぇ、柊野先輩と同じクラスの人だよ。本名はね、風神亜蘭っていうの。あの天下の風神コーポレーションの令嬢だよん」
「マジか!すごい人と友達なんだね、りんちゃんは!」「ふっふーん、それほどでもある」「いや、あるんかい!」
はっ!千景先輩を置いてけぼりにしてたぁ!「千景先輩ごめんなさい!」そう言って先輩のほうを向くと、「大丈夫。仲がいいんだね」と言ってちょっと悲しそうに笑うのが印象的だった。どうした、千景先輩!
読んでくださりありがとうございます!誤字脱字あったら教えてください!
次回は千景先輩出番ありませんw