第9話 ドッキリとまではいかない小作戦
私たちは朝ごはんを食べて出発することにしたよ。
ここから学校までは...えーっと...二十分くらい? とりあえず時間はおいておいて、そろそろ春寧ちゃんも準備終わったころだろうし、出発するよ。
「春寧ちゃんって意外と意外とおちゃめだよね」
「そうかなぁ~?」
...自転車に乗って走っているときは風で全然聞こえないんだった。
それから二十五分くらいして学校についたよ。
ここが私たちの通う県立桜川高校だよ。たぶん春寧ちゃんドジだから高校名紹介してなかったと思うんだよね。なんならなんで桜川なのか知らないだろうし
「そういえばさ、琴夏ってこの学校の名前の由来って知ってたりする?入学式寝てたし、学校説明会の内容も覚えてないのよね。」
「たしかもともとこの辺りに桜が見える川があったとかなかったとかって話だと思ったよ。」
「いきなり学校名の由来なんてどうしたの?」
「いや、なんとなくね。」
そうだ、春寧ちゃんの行動原理は何となくだった。エスパーなんかじゃなかった。
「あと、琴夏に忘れられてるだろうな~って思われてそうだったから先に聞いてみた。」
...この子はエスパーなの?なんでバレてるの?
まあ、今はそんなこと比較的どうでもいいけどね
それからだらだらと話しながら、教室についたけど、案の定だれもいなかった
なぜって、いままで一番最初に教室についた人の座を春寧ちゃん以外に譲ったことはないからね。いつ先回りされてたって...それはやっぱり入学式とそれから二日くらいかなぁ。あの日だけはなぜか春寧ちゃんが覚醒するからね。まあ、普段の春寧ちゃんは私にたたき起こされて学校来るから実質同着だけどね
ふと気になったけど、みんないつくらいに来るのかな。今まで春寧ちゃんと話してたらみんないつの間にかいたから少し気になるし、一番乗りができるギリギリラインを知りたい
それから十分後くらいかな、クラスメイト?が入ってきた。正直自己紹介をあまりしっかり聞いてなかったせいで誰がクラスメイトで、だれが違うのかあまりわからないのよね。多分そこまで苦労しないからいいけどね
...とそんなことを考えていたらみのりちゃんが来たっぽい。だいたい八時十五分くらい?つまり一番手をとるなら十分より前くらいつけばみのりちゃん驚かせることもできるのね
「琴夏、なにみのりさんみてニヤニヤしてるの」
「えっ、ニヤニヤしてた!?」
「うん、ばっちりニヤニヤしてた。なにかいいことという名のびっくりさせること思いついたみたいな」
「そ、そんなことはないよぉ」
「お二人とも何かたのしそうな話してますね~ なに話してたんですか~」
「それは琴夏が」
「なんでもない!なんでもないです!!」
「本当ですか~?」
「本当、本当ですから!!」
そんなこと話してたら春寧ちゃんがみのりちゃんに何か小声で話したあとに一緒に廊下に行っちゃった。ひとまず一安心かな...
「琴夏さん、春音さんに聞きましたよ~」
「えっ、何を聞いたっていうんですか!?」
「琴夏さんがこういう風に話し方が変わったりしてるときは隠し事をしてるということをですね~」
「...ここまでばれてしまったらもう白状するしかないか。実は私...」
「それも春寧さんから聞きましたよ~ 私でテストずるしようとしていたんですって~? だめですよ~そんなこと本当にしたら~」
「は、はい...」
なにやら心当たりのない疑いをかけられてたっぽいけど、一応本来しようと考えていたことはばれてないしヨシ!
(...ところで、本当はみのりさんに何をしようとしてた?)
(本当のこと言っちゃうと特に何も思いついてなかった...)
(ちぇー、つまんないの)
なぜか小声で話しかけられた上につまらないって言われた!?まあ、思ってた回答と違ったらそれはつまらないよね。私も一応わかるよ。
「はいっ、春寧さんも、琴夏さんもお話お楽しみのところ、今週末どこ行くか決めておいてって千冬に圧をかけられていまして~」
「そういえばそんなこともあったようななかったような」
「もしかして春寧ちゃん、忘れてた!?」
「忘れるわけないでしょ、この私が」
「うん、なに格好つけて言ってるのよ、アニメの影響受けすぎでしょ」
「そりゃあ、私、アニメ見るの好きだからね!ところで、みのりさんと千冬さんってアニメ見たりするんですか?」
「う~ん、私はあまり見ませんねぇ...多分アニメとかは千冬のほうが詳しいんじゃないんですかね~?」
「みのりちゃんより千冬先生のほうがアニメ見てるって正直意外かも。このほわほわ系の子が見ていてもそこまで意外ではないけど、ほら、千冬先生っていかにも真面目って人じゃん、だからてっきりニュースとかドラマのほうが見る頻度高くてアニメ見てないかと思ってた。」
「それはちょっと語弊がありますよ~ 千冬はドラマも好きですしニュースもしっかり見てますよ~ だいたいアニメとドラマとニュースを同じ割合で見てますかね~」
「しゃあ、私から提案がありますっ」
「なんでしょう春寧さん」
正直言っちゃうとわかるよ。春寧ちゃん、アニメの影響受けやすいからたぶんつくばに行こうとかキャンプに行こうとかほぼ確実に言い出すってことぐらい...!!
「キャンプしましょう!!」
「却下で~す♪」
「どうしてですかっ!!!!」
...やっぱり言い出したし、却下されてるし
「泊まり込みは夏休みの方が皆さんいいんじゃないんですか~?」
「たしかに!!」
「じゃあそうしましょうか~」
「賛成!!」
よくよく考えてみれば泊まり込みとかは長期休みの方がいいか...ってなんでみのりちゃんまで乗り気なの!?しかも行くことになってるんだけど
「二人とも、今は夏休みのプランの話はしてないでしょ」
「あー、そうだった、週末どこ行くかの話だったね。そういう琴夏はいい案思いついたの?」
「うーん、無難にななぽーとでいいんじゃない?」
「でも、ななぽーと行って何やる?」
「うーん、服を見たり、ゲームセンター行ったり、ゲームセンター行ったり...」
「もう、琴夏、どんだけゲームセンターに行くの」
「ごめんごめん」
出ちゃった、私の悪い癖。すぐゲームセンターに行きたがるっていう
正直、出かけるとなっても、服はうわむらで間に合ってるし、他何か見たいってわけでもないし、消去法的にゲームセンターになっちゃうのよね
「おふたりとも、私を忘れてませんか~?」
「「あっ」」
「そのリアクションからして、忘れてましたね~?」
「まさか、忘れてたわけないですよ」
「そうですよね~ まあ、そんなことはおいておいて、結局どうしますか~?」
「まあ、今回はお花見くらいでいいんじゃないかな?ゲームセンターとかはいつでも行けるけど、お花見は春しかできないし」
「では、張り切ってお弁当作りますね~」
「私は..なにしよう」
「春寧ちゃんは飲むもの用意してもらっていい?」
「ラジャー!」
「じゃあ、私は場所今から調べるよ」
---数分後---
「この桜山城址公園ってところどう?毎年お花見の人で賑わうっぽいよ」
「いいねぇ」
「わたしもいいと思いますよ~」
「じゃあ、集合は十時にここ、桜山駅!」
「ラジャー!」
「頑張って起きますね~」
というわけで、今週末はお花見することに決まりました。でも折角なのでびっくりさせたい、なので春寧ちゃんには共犯になってもらっちゃう
「...で、話って何?」
「実は...みのりちゃんをお花見のときに驚かせようかと」
「はぁ...そんなことかと思ってたよ。琴夏のことだし」
「バレてた?」
「そんなことより、どうやって驚かせるの?」
「それは...コショコショ」
「ふむふむ...」
「...ということでよろしくね」
「これわざわざ話さなくてもよかった計画じゃない」
「やっぱりカッコよさが大切だからね」
「カッコよさ必要だった?」
「ううん」
「おい」
そして特に何もなく迎えた当日
そこには二人の人影があった...
「...琴夏って、意外とアニメの影響受けてるよね」
「春寧ちゃんほどではないよ」
「いいえ、私と同じくらい受けてるよ」
「そうかなぁ」
「そうよ。そんなことよりもうそろそろ来るんじゃない?」
時計を見てみる。春寧ちゃんと私はみのりちゃんと千冬先生を待ち伏せるために集合時間の一時間前には駅につくようにしていたけど、もう九時半になってた
「やっぱり、この前学校でいつくらいに来るか観察しておいて正解だったよ」
「やってることがストーカー予備群だよ、琴夏」
「バレなければ犯罪じゃないって誰かが言ってたからヨシ」
「よくないでしょ」
なんて話していたらもうそろそろ着くってことなので作戦を決行
「...聞いた時から疑問だったんだけど、なんで隠れるのが自販機の影なのよ」
「ちょうどいいのがここしかなさそうでね」
「聞いた私がバカだった」
「あっ、来た」
「どこどこ」
「あそこ、地図の前」
「本当だ」
どうやら何か話しているっぽい
「お姉ちゃん、あの二人はまだ来ない?」
「もうそろそろ着くって連絡来ましたよ~」
「じゃあまだ来ないってことなら甘えちゃう」
みのりちゃんの家系の人って悪く言っちゃうと裏表がありすぎじゃない?
ってあれ春寧ちゃんは
「こんにちは!!」
「「「あっ」」」
「お姉ちゃん、バレちゃった、私が甘えたがりなの!!」
「諦めましょうね~」
「うわーーーーーん!!」
「ごめんなさい、悪気はなかったんです!!」
そのあと私もしっかり謝りました
「にしても千冬先生がまさかあんなキャラとは」
「恥ずかしいところをお見せしました」
「もう手遅れですよ」
「それもそうね、もうあきらめるわ」
「では、すこし何かありましたが、お花見に行きましょう~!」
「「「おー!!」」」
それからしばらく、食べたりのんだり寝たり、気が付いたら夕方になっていた
「今日はみなさんおつかれさまです~ 気を付けて帰ってくださいね~」
「じゃあ、春寧ちゃん、帰ろっか」
「うん、今日はなんだか疲れちゃった」
「じゃあみのりちゃん、千冬先生、また来週!」
「は~い また来週~」
「来週から漢字テストだから勉強すること」
「は~い!」
ちょっとドタバタだったけれども、何とかお花見は終わったけど、漢字テストって単語が聞こえた瞬間から春寧ちゃん、言葉発しなくなっちゃった