第6話 先生とお友達に大作戦
「ではみなさんに自己紹介をと思いましたが、みなさんの表情的にだれかご存じそうなので、自己紹介代わりになぜこうなっているのか説明していただきましょうか」
「では何があったかお話ししますね~ 私が言えることは、朝起きたらこうなっていたということと、それを校長先生に相談したら面白そうという理由でこのクラスに転入扱いになったってころくらいですね~」
...校長先生よ、そんな軽いノリでいいんですか。
「...ということでこちらもなぜこうなったかわからないということ、明らかに先生に見えないという建前で高松先生はこのクラスの生徒として過ごすことになります。ついでに自己紹介も。代わりに担任をする高松千冬です。一年間よろしくお願いします」
苗字が同じだけれどもどういう関係なのだろうかと考えていたら
「みのり先生と千冬先生ってどういうご関係ですか?」
とダイレクトに聞いていく子がいたので私は説明をじっくり聞いてみる
「そうですね、正直に話すなら姉妹ですね。」
「こ~ら、それは言わないお約束でしょ~?」
「いいじゃないですか、そもそもこの苗字の人は少なくともこの辺りにはそんなにいないので遅かれ早かれ気づかれるんですし。」
「じゃあ、どちらがお姉さんなんですか?」
「それは私ですね~」
「はい、こう見えてお姉...みのり先生のほうが姉になります。」
...千冬先生、さらっとお姉ちゃんと言いかけていたのをなかったことにしましたな。
「では質疑応答タイムはこの辺りにして、席はちょうど大町さんの後ろがいい感じのスペースありますし、そこにしますね。みなさん、適度に仲良くしてくださいね。」
なんかアニメのお約束展開がきてしまったっぽい。
そんなことはともかく、先生が真後ろってことはつまり、居眠りができないということなのでは....? これは大変まずい、なんとかしたいけど私に打てる手段はない。
さようなら、わたしの居眠りライフ... 居眠りするなとか言わないで。眠いんだから。
そんなことを考えているうちにみのり先生が真後ろに来ていた。しかたない、友達を作るためにも先生とお話してみるか。
「みのり先生、これからよろしくお願いします」
「そんなかしこまらなくてもいいんですよ~ 呼び方は気軽にみのりさんでもみのりちゃんとかで呼んでいただければ~」
「わかりました、みのりさん。でも私からも一つだけいいですか?」
「なんでしょうか~」
「私にも気軽に話しかけてもらっても大丈夫なので、ぜひ話かけてください」
「いいですよ~」
「ちょっとそこ話しすぎ、前向いてください」
「「ごめんなさい!」」
なんか思ったよりみのり先...みのりさんと気が合いそうで少し安心だけど、なんかさっき注意されたとき千冬先生以外の視点を感じたような... 多分気のせいだろう。
そのあと無事休み時間になったので、琴夏も呼んでだらだらとお話をした。
「みのりさんってゲームセンターとかって行きます...?」
「あら~ もうそんな不健全なところ言ったらだめですよ~」
「そうですよね...」
「私が勝負してあげます」
「みのりさんってもしかして勝負ごとになるとキャラ変わります?」
「そんなことないですよ~」
「...春寧ちゃん、ずっと聞きたかったんだけど、いつの間にそんなに仲良くなってたの?」
「ごめん、さっき千冬先生に注意される前に話してたら意気投合しちゃって」
「それはこの説明で納得するとして、なんで先生なのにさんって呼んでるの?」
「それは私からお願いしました~ 今はみなさんと同じ立場の人間なので気軽に話しかけてほしいので~」
「というともしかしてテストも受けるんですか?」
「もちろんです~ まあ、みなさんには負けませんよ~」
「...さっきのゲーセンの時の本気度はどこへやら」
「じゃあみのり先生、私も呼び捨てとかで大丈夫ですか?」
「いいですよ~」
「じゃあ、みのりちゃん、好きなアニメとかは!!ゲームは!!!!」
おっと、琴夏が暴走モードに入ってしまった。とりあえず止めよう。
「こら、琴夏。みのりさんも困ってるでしょ。」
「ごめんなさい、つい...」
「琴夏さんって意外とぐいぐい来るタイプだったりするんですか~?」
「そうなんですよね、この子、昔から趣味が合いそうな人にはかな~りぐいぐいと質問して、相手をバテさせる才能の持ち主なんですよ」
「春寧ちゃん、それって悪口だよね」
「ごめん」
「いいよ、許す。その代わり私もゲーセンいっしょに行っていい?」
「私はいいけど、みのりさんは?」
「私もいいですよ~ でも三人でできるものってありましたっけ?」
「それは探せば大丈夫ですよ」
「それもそうですね~ じゃあ、後で考えることにします~?」
「「賛成!!」」
こうして事件(?)はなんとか収拾がつき、私は高校初の友達を獲得したのであった。
「ねえ、今度の週末、三人でどこかに行かない?」
「面白そうですし行きましょう~」
「じゃあ、連絡できないと困るしグループつくろっか。みのりちゃん、連絡先教えて♡」
「はい、どうぞ~」
そして気が付いたら一年A組なかよし三人組などというグループができていて、なおかつどこ行くかなどの会議が繰り広げられており、かなり大変な一年生ライフになりそうだなと感じた。
...そして、またホームルーム中暇だったから、みのりさんと話していたら当然ながら怒られた。