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まほろばのひな
「私が、悪かったのかしら・・・」
穏やかに流れる水面を見つめる虚ろな瞳。
女の白く細い指には藁の舟に包まれた一対の雛人形がある。
それはひどく緩慢な動作で、チロチロと音を立てる川面に浮かべられた。
流し雛と呼ばれるそれは、人の厄を払うために行われる。
女もまた、己の穢れを人形に託し水に流したのである。
手から離れた船は清らかな流れにのってしばらく進んでいたが、途中、どろどろと黒い靄に包まれて水の底へと消えてしまった。
驚くこともなく女はため息を吐く。
「私は、悪くないわ」
だって。
あの方がいけないのだもの。




