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家紋武範様主宰企画参加作品

バレンタインのお返しに高価な物を貰う方法


「ちょっとぉー、それ私のダウンじゃないの?」


「あ、夏姉、ちょっと貸してくんない?」


「良いけど、汚さないでよ」


「うん、汚さない」


「それよりあんた今年もやるの?」


「やるよ、皆んなからの情報で、まだまだ鴨が沢山いるって分かっているから」


「まぁ頑張って」


「お裾分け楽しみにしていてね」


隠しカメラの設置は終わったから後は、鴨が家の前を通るのを待つだけ。


門から顔だけ覗かせて学校がある方向を覗き見る。


来た来た。


「お兄ちゃん!」


あんこうの制服を着た高校生の男の人に声を掛ける。


男の人はキョロキョロと周りを見渡した後、自分が声を掛けられた事に気がついたのか返事を返して来た。


「呼んだのは、僕の事?」


「うん、そうだよ。


お兄ちゃんあんこうの人でしょ? お姉ちゃんにチョコレート貰えた?」


「お姉ちゃんって? 誰の事言ってるの?」


「雪野秋って知らない?」


「生徒会長の雪野さんの事?」


「そうそう」


「同じ学校の生徒会長としてなら知ってるけど、学年も違うから個人の付き合いなんて無いよ、だからチョコレートなんて貰える筈がない」


「そうなんだ。


じゃあさ、僕がお姉ちゃんの代わりにチョコレート上げようか?」


「代わりって君、誰?」


「僕は秋お姉ちゃんの下の妹のはる」


「へー妹さんなんだ」


「うん、それでチョコレート欲しい?」


「そりゃあ欲しいけど……なんで僕にくれるんだい?」


「お姉ちゃんたちはさ、美貌とボン・キュッ・ボンの身体に惹かれる男の人の取り巻きが沢山いるから、羨ましいくらい高価なプレゼントをお返しに貰えるけど、小学生でツルぺったんの僕は高価な物なんて貰えないから……」


「高価って言われても、まだ高校生だからそんなに高価な物は返せないよ」


「僕、まだ小学生だから高価って言っても年相応の物で良いんだ。


学校の男の子たちにチョコレートあげてそのお返しに貰える物よりは、良い物を貰えるんじゃないかなーって思ったんだけど、駄目かな?」


「まぁ小学生よりは高価な物を返せるよ」


「約束だよ!」


「分かった、約束するよ」


「じゃ、生徒手帳見せて」


「え? なんで?」


「だって、去年、お返し楽しみにしてたのに、そんなの知らねーよって言ってお返しくれなかった人がいたんだもん」


「分かった、仕方がないな、はい」


「写真撮るよ、あとチョコレートは僕の目の前で食べてね」


「なんで?」


「それは後のお楽しみ」


脇に置いてある紙袋からチョコレートを取り出してお兄ちゃんに渡し、渡された生徒手帳の裏表をスマホで撮影する。


「ごちそうさま、美味しかった」


「食べ終わった? じゃこっちに来て」


「何をするんだい?」


「写真を撮るの」


「写真って?」


「チョコレートだけじゃ不満かなって思って。


うーん背丈が全然違うな、お兄ちゃん、僕の事を抱き上げてくれる?


違う、違う、お姫様抱っこじゃなくて両手で抱きしめるようにして顔を寄せ合うの。


そうそう、じゃあ撮るよ、チュ」


「ワア!」


「キャ、もうー、落とさないでよー」


「ごめん! キスされるなんて想定外だったから」


「後のお楽しみって言ったじゃない、僕もキスは甘い方が良かったからチョコレートを食べて貰ったの」


「そうだったんだ」


「じゃあこの中からお返しの品選んでくれる」


欲しいものが書かれた紙を渡す。


「な、なんだ! これは?


ブランド物の化粧品のセットやブランド物のバッグにワンピースとか、全部10万以上する物ばかりじゃないか?」


「うん、そうだよ」


「そうだよって、こんな高価な物は買えないよ」


「あ、そ、なら撮った写真待って警察行くだけかな?」


「どういう事だよ?」


「この写真、見ようによってはお兄ちゃんが無理矢理キスしてるように見えるよね。


これが世に出たら、お兄ちゃんが放校になるだけじゃなくて、お兄ちゃんの県会議員のお爺ちゃんも、このスキャンダルで大変な事になるんじゃないのー。


あ、殴るの? 殴るともっとヤバい事になるよ」


「ウゥ……、わ、分かった、この化粧品のセットをお返しするよ」


「お兄ちゃん、ありがとうー! 


じゃ、裏から帰ってね」


「え? なんで?」


「なんでって決まってるじゃない、次の獲物を罠に掛けるのにお兄ちゃんが表から帰ると邪魔なのよ」


罠に嵌ったお兄ちゃんは肩を落としトボトボと裏門から出て行った。




夕食の後、勉強していたら秋姉ちゃんが僕の部屋に入って来る。


「あんた今年もやったんだって?」


「うん、秋姉ちゃんの事を出したら上手い事釣れたよ、お返し貰ったら秋姉ちゃんにもお裾分けするね」


「あんたこんな事続けていると何時か刺されるよ」


「大丈夫、去年罠に掛けたお兄ちゃんたちは全員、僕の下僕にしたから。


今年罠に掛けたお兄ちゃんたちも下僕にする予定だしね。


それに下僕になったお兄ちゃんたちとは偶にデートしてあげてるから。


皆んなロリコンだから僕の事大事にしてくれるんだ」


「ロリコンって……、ハアー、我が弟ながら末恐ろしいは」







作品を読んでくださりありがとうございました。


最後の秋姉のセリフ。


「ロリコンって……、ハアー、我が○ながら末恐ろしいは」


の、○に入っている漢字が主人公の悪辣さを表してますんで、読み損なわないようお願い致します。










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― 新着の感想 ―
[一言] 悪魔W(爆笑) パンパンパンっ!(畳を叩いて悶絶)
[良い点] 鬼だW というかオチいいいいいいいいっ!(笑い)
[良い点] 上手に世間を渡っていって、一度でも躓いたらそれをきっかけに何かに目覚めて、末は美形の大物芸能人になれますように(*´ω`*)
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