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第47話 知らなかった事情

 これからの事について話し終わったところで、ルーペアトはもう会議は終わりなのかと思っていた。


「申し訳ないけど男だけで話すことがあるから、令嬢二人は席を外してもらえるかな?」

「…わかりました」


 ティハルトにそう言われ、驚いたのは席を外すよう言われたことではなく、ノーヴァもここに残ったことだ。リヴェスと二人なら話すことはたくさんあると思うが、何故そこにノーヴァも一緒なのか。

 それもルーペアトとウィノラが聞いてはいけない話で。


 少し戸惑いながらも、ルーペアトはウィノラを部屋を出て、外に居た使用人に案内され別室に向かった。


「何の話をするんだろう?」

「…全く検討もつきませんね!」


 三人で何の話をするかわかっていたウィノラは、ルーペアトの疑問に知らない振りをする。

 しかしウィノラも話す内容がミランだということはわかっていても、何故ルーペアトに話してはいけないのかわかっていない。


(あ、でもノーヴァはミラン皇太子殿下に会ってない。うーん…他の話もするのかな?)


 ウィノラはルーペアトと違うことに疑問を持ちながらも、後でノーヴァに聞けば良いかと深く考えるのを止めた。


 案内された部屋に着けば、机の上にはたくさんの料理やお菓子が用意されている。

 最初から三人で話すことは決めていたようだ。


「すごーい!全部美味しそう!」


 準備されていたものにウィノラは目を輝かせて喜んでいた。皇宮の料理だからパーティーの様にかなり豪華だ。

 ルーペアトも昼から何も食べておらず、お腹が空いていたため助かる。


 しかし一つ気に掛かることがあった。準備してくれていたのは嬉しいが、三人はいつ食べるのかということだ。

 三人もお腹が空いているだろうに自分達だけ食べるのは申し訳ないし、でもせっかくの好意を無下にするのはもっと申し訳ない。だから食べるしかないのだが。


「ルー早く食べましょう!料理が冷めちゃいますよ!」

「うん…」

「三人も後で食べると思います!こういう時ノーヴァは気を遣うなって言うんですよ」


 ルーペアトの心配に気づいたウィノラは励ますように微笑んだ。

 確かに考えてみれば、リヴェスもティハルトもこのことを知ったら気にせず食べるように言うだろう。それに食べていないとむしろ心配を掛けてしまう気がした。


「そうだね、食べよう」

「はい!」


 ルーペアトも椅子に座り、ウィノラと向かい合って食事を始めた。

 一口食べれば素材の味わいが口いっぱいに広がり、屋敷で食べる料理も美味しいが、皇宮の料理にはまた違った良さがある。


「ん〜!美味しい!」

「美味しいね」


 目の前でウィノラが凄く美味しそうに食べていて、見ているルーペアトも幸せな気持ちなった。

 馬車で別れた後で再会した時は酷く落ち込んでいたから、笑顔が見れて良かったと安堵する。


「そういえば、ノーヴァがウィノラの幼馴染だったんだね」

「ノーヴァのこと知ってたんですね!」

「うん、前に女の子を誘拐しようとしてた時に商会に行ったから」

「あのことに関わってたんですね?!」


 どうやらウィノラは少女の一件を知っているようだ。二人の関係から商会のお手伝いをしているのだろうとは思っていたが、まさかそれを知っていたとは思わずルーペアトも驚いた。


「あれは本当に申し訳なかったです…。傭兵達が誘拐しようとしたみたいになってしまったんですが、依頼は違うんです」

「そうなの?」

「あの子の両親は離婚していて、父親から娘に会いたいっていう依頼だったの。でもノーヴァはその子を連れて来るようにしか指示しなかったし、新人の傭兵だったこともあってああいうことに…」


(あの子の両親、離婚してたんだ…)


 母親と仲睦まじい様子だったから幸せになって欲しいなとか思っていたが、まさかあの親子にそういう事情があったとは。


「そう、だったんだね」

「だから後日、私がちゃんと引き会わせました」

「どうだったの?」

「喧嘩して離婚したみたいですが、仲直りした様子でしたよ!」

「そっか、なら良かった」


 傭兵のやり方は間違っていたから止めたのは良かったが、依頼内容はしっかりしたものだったようだ。それならやっぱり悪い人じゃないのかと思うが、リヴェスと犬猿の仲なのが気に掛かる。


「ノーヴァとリヴェスの仲が悪くなったのっていつぐらい?」

「確か…八年前だったと思いますよ」

「八年前…」


(リヴェスが両親を手に掛けた年だ…)


 ノーヴァはリヴェスが皇族の血筋であることは知っている気がする。それなら前皇帝が亡くなった理由が前皇后に殺されたのではなく、リヴェスが殺したということも知っているかもしれない。

 そのことを知ってリヴェスと仲が悪くなった可能性が高そうだ。


 でも果たして本当にそうなのだろうか。この考えだと、ノーヴァがその真実を明かしていない理由がわからない。

 全て知っているならどうして黙っているのか。


「…元々仲が良かったなら、仲直り出来ないのかな」

「それはノーヴァ次第かも。ノーヴァが一方的にリヴェスに怒っているみたいだったから」

「リヴェスはどうだったの?」

「怒りを受け入れてるようでした。二人の間で何かあって、リヴェス様の方に非があったのかなぁ?」


 つまりリヴェスはノーヴァに対して悪いことをしてしまった自覚がある、ということだ。

 どうにかして仲を取り持ちたいが、二人でしか解決出来ないことばかりかもしれない。それでも、出来ることが少しだけしかなくても、何とかしてあげたい。

 

「リヴェスに今度聞いてみる」

「私もルーに協力するよ!リヴェス様と仲が良かった頃のノーヴァを知ってるから、やっぱり昔みたいに戻ってほしい」

「ありがとう」


 リヴェスがウィノラと友達になれるよう時間を作ってくれたから、お返しにノーヴァと仲直り出来るよう、ウィノラと協力することになった。


「リヴェス様とノーヴァの仲直り大作戦ですね!」

「ふふ、そうだね」


 それから二人は作戦を考えながら、お腹いっぱいになるまで食事を楽しく過ごした。

読んで頂きありがとうございました!


次回は日曜7時となります。

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