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第142話 エデルが弟で良かった

 エデルの部屋に到着したルーペアトは、扉を軽く叩き部屋へと入っていく。


「突然ごめんね。今良いかな?」

「姉さんならいつでも大歓迎だよ」


 ルーペアトが部屋に来たことを、エデルはとても喜んでくれていた。

 そんなに喜ばれると少し照れくさい。


「ありがとう。エデルに聞きたいことがあって」

「何でも聞いて良いよ」

「リヴェスから聞いたんだけど、エデルの屋敷近くに義両親のお墓があるの?」

「うん、そうだよ」


 リヴェスを疑っていたわけではないが、改めて聞くとますます疑問が浮かんだ。


「それはどうしてなの?」

「うーん…、話が長くなるから座って話そう」


 エデルに促されルーペアトは長椅子に座る。ちゃんとエデルの部屋を見たことがなかったが、きちんと整理されていて物があまりない。

 官僚らしい書類や本がたくさんある程度で、仕事に関係のない趣味のものは全くなかった。


「さて話の続きだけど。僕はあの日、姉さんが誰なのかわかって会いに行った。その時に一瞬だけ姉さんの姿を見たけど、姉さんの義両親が僕の近くに居たことに気づいて、姉さんを追うか義両親を別の場所へ移すか迷って僕は後者を選んだ。その方が姉さんにとって良いと思ったから」


 確かにあの日に突然自分は血の繋がった弟だと言われても、義両親を失った後なら信じられなかっただろうし、傷つけてしまっていたかもしれない。

 当時エデルはまだ幼かったのに色々考えてくれたことに、感謝の気持ちでいっぱいだ。


「私の大切な人と場所を守ってくれて、本当にありがとう。エデルが私の弟で良かった」

「そう言ってもらえて凄く嬉しい」

「いつも助けてもらってばかりで、エデルに何も返せてなくてごめんね。お墓のことも私が聞くまで黙っているつもりだったんでしょう?」

「うん。僕から言うのは違うかなって」


 本当にエデルが優秀過ぎて困る。命を狙われることがなければエデルが皇帝になっていただろう。本人が望んでいないけれど、それはリヴェスが居るしこれまで官僚として過ごして来たからだし、ミランが皇帝になった未来も見てみたかったなと思う。


「そういえば、エデルは私と気が合うと思ってたって前に言っていたけど、私の性格が悪いかもしれないとか思わなかったの?後は怖いかもとか…」

「全然思わなかったよ。最初はずっとどんな人だろうって思ってたけど、姉さんが住んでた街に今も居る目の悪い男が居るでしょ」

「うん、私も話した」

「彼に姉さんの話を聞いてたし、ハインツでのことも耳にしてたからさ。姉さんの家を掃除するついでに、彼に食事を持って行ったりしてたから、今でもたまに行ってるんだよ」

「そうだったんだ」


 彼はエデルに口止めされていたからか、あまりエデルについて教えてくれなかったけど、実は関係が深かったと知って驚きだ。

 それに今でも会いに行ってるなんて。


「今度行く時私も一緒に行って良いかな?」

「もちろんだよ!」

「ありがとう」


 それから姉弟として今まで過ごせなかった時間を取り戻すように、色々な話をしてより一層仲良くなれたと思うし、自信を持って姉弟だと言えるだろう。


 部屋を出たルーペアトは義両親に会いに行く日について考えていたところ、何か思いついたルーペアトは、リヴェスに一つお願いがあると伝えに行くのだった。

読んで頂きありがとうございました!


次回は31日7時となります。

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