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国の元最強女剣士は、隣国の契約夫に大切にされる  作者: 希空 蒼


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第117話 淑女として正しい振る舞い

 三人で楽しく会話をしている間、ルーペアトは時々視線を周りに向け、二人の護衛も兼ねながら怪しい人物が居ないか見ていた。

 そうしていてやはり気になるのは男達の視線だ。

 男に限らず令嬢もだが、ティハルトのパートナーを務めるイルゼの様子を窺っているのがわかる。


(今のところ誰も話に来てないけど、そのうち一人くらいは声を掛けてくるかな)


 三人で話しているのと、ルーペアトが目を光らせているのもあって、話し掛けづらいのだろう。

 それに、皇弟の妻と皇帝のパートナーに何か無礼を働きでもしたら終わりだ。

 どちらも容赦する人ではないから、話し掛けないのが一番安全。


 しかし暫くして、物怖じすることなく一人の令嬢が三人に話し掛けに来た。


「ごきげんよう。あなたが噂の陛下のパートナーね?私がその役目を務めたかったのに、まさか隣国の令嬢に邪魔されるなんて…、一体どんな汚い手を使ったのかしら」


 ルーペアトとウィノラに目もくれず、真っ先に公爵位であるイルゼに突っ掛かって来たこの令嬢が誰なのかわからない。


「ウィノラ、この令嬢が誰かわかる?」

「私も知らないです…」


 小声でウィノラに聞いてみたがわからないようだ。

 令嬢が『噂の』と言っているあたり、会場には途中から来たのだろう。

 それで他の者がイルゼについて話しているのを聞いたと思われる。


「初対面でそんなことを申されると思いませんでしたわ。度胸があるのは良いことですが、淑女としては良くありませんね」

「質問に答えず説教?あなたみたいな人が陛下のパートナーだなんて…!」


 イルゼは淡々と落ち着いて応えているが、令嬢が声を荒げたことで周りの者がこちらに注目し始める。

 ルーペアトが止めに入ろうと試みるも、イルゼに静止させられる。


「質問されたからと言って答える必要はなくてよ?私がパートナーに選ばれた理由は、陛下のお話を聞いていたならわかりますもの。それを聞いていなかったあなたが悪いですわ」


 そう、このパーティーが始まる前にティハルトはイルゼを紹介していた。

 ヴィズィオネアに関することで手伝ってくれていることと、ルーペアトと親しい関係であると。

 弟の妻と仲が良く、身分も高い令嬢をパートナーにするのは何もおかしくない。


「私はずっと陛下をお慕いして、パートナーになれるよう努めてきたのに、陛下のことを何も知らないあなたがパートナーなんて相応しくない!私こそが陛下のパートナーに相応しいのよ!」


 こんなのただ一方的に嫉妬してイルゼを責め立てているだけだ。

 友人として見ているだけなのが辛くなってくる。


 ティハルトもその様子を遠くから不安そうに見ていた。


「ルーが居るから心配ないだろう」

「…そうだね。ルーペアトと彼女を信じるよ」



「あなたは自分が好かれる努力はしましたの?」

「当たり前でしょ!?いつ陛下の隣に立っても良いように、ドレスも最高に良いものを着て、可愛い私で居られるようにしてた!」

「それは自分を良く見せるための努力であって、好かれる努力ではないわね。私が聞いたのは、気持ちを伝えるとか、陛下に対して直接行動を起こしたのかどうかよ?結局あなたは着飾って陛下に何か話し掛けたりしたのかしら。まさか話し掛けてもらえると思って、待っていただけなんて言いませんよね?」

「……っ!」


 令嬢は図星だったのか、イルゼの言葉に何も返せなくなっていた。

 さすがにイルゼも令嬢には呆れ、溜息を吐いてから話を続ける。


「…否定しないのね。あなたは思い上がりすぎているわ。それにとても傲慢ですし。陛下は見た目で人を判断する方ではありませんから、いくら着飾ったところで内面が悪ければ意味ないわよ。自分を良く見せる努力が出来るなら、内面を磨くことも人に好かれる努力も出来るでしょう?自分を見つめ直すと良いわ」


 令嬢は涙を浮かべながら悔しそうにその場を去って行った。

 謝罪もしないなんて、イルゼの言う通り淑女としても良くないし、人としても駄目だ。


「あんなことを言ってくる令嬢なんて初めてだわ」

「そうなんだ。それなのによく追い返せたね、かっこよかったよ」

「うんうん!私だったら何も言えないよ…」

「そ、そうかしら?」

「さすがお義兄さんのパートナーだね。お義兄さんの評価を落とすことなく事を収める、淑女の鏡!」

「恥ずかしいからやめなさい…!」


 ルーペアトは拍手をしてイルゼを賞賛した。

 会場に居たほとんどの人が先ほどの場面を見ていたから、こう言っておけばイルゼの株が上がり、あの令嬢のような者が突っ掛かって来ることが今後減るだろう。

 後はイルゼが皇后に場合、役に立つかもしれないし?



 会場が落ち着きを取り戻し、ティハルトも安堵する。


「挨拶も終わったし、そろそろ皆の所に戻ろう」

「ああ、そうだな」


 それからは皆で食事をしながらパーティーを楽しんだ。

読んで頂きありがとうございました!


活動報告にてお知らせしておりましたが、読まれていない方もいらっしゃると思いますので、こちらでも改めてお伝えします。

体調不良により、投稿が遅くなってしまい誠に申し訳ありませんでした。


少しずつ良くはなってきているのですが、まだ不安定で悪くなる日もあり、快復するまでは毎週木曜日に投稿をすることに致します。

投稿が難しい場合は活動報告にてお知らせしますので、お手数をお掛けしますがご確認のほどよろしくお願いします。


次回は13日木曜7時となります。

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