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国の元最強女剣士は、隣国の契約夫に大切にされる  作者: 希空 蒼


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113/149

第113話 いよいよ明日

 着実に準備は進んで行き、パーティーの前日を迎える。

 ルーペアトは皇宮で最後の確認をしていた。


(あれとこれも大丈夫で、後は…)


 書類を見ながら廊下を歩いていれば、視界の端に見覚えのある桜色の髪が目に入る。

 その人は道を曲がってしまい、もう姿は見えなくなったがイルゼで間違いないだろう。


 ルーペアトは同じ道を通り、後を追いかけた。

 後ろ姿が見えてから足早に歩を進め、近づいてきたところで声を掛ける。


「イルゼ」

「あら、ごきげんよう」


 振り向いたイルゼは少し驚いている様子だった。


「髪が見えたから追いかけたんだ。皇宮に来てたんだね」

「…あなた、髪色で私だと判断したの?」

「そうだけど」


 イルゼは少し嬉しそうな表情をしていた。

 桜色の髪だからといって、イルゼだとは限らないのに、すぐ気づいてくれたのが嬉しかったのだ。


 皇宮を訪れそうな桜髪の令嬢がイルゼ以外に居ないから、という点があるがそれは黙っておこう。


「…まあいいわ、それより準備の方は順調?」

「うん、後は確認して終わりだよ」


 イルゼはルーペアトが持っていた書類を覗き込み、何か納得したように頷く。


「ちゃんと出来たのね、安心したわ」

「もしかして心配して来てくれた?それとも別の理由?」

「両方よ、両方」


 もう一つの理由はティハルトに挨拶をするために来たのだろう。この道はティハルトの執務室へ続く廊下だ。

 それなら長く足止めするわけにはいかない。


「そっか、ありがとう。お義兄さんのところに行くんだよね?」

「え、ええ」

「足止めしてごめん、また時間があったら話そう」

「そうね、じゃあ」


 お辞儀をしたイルゼは執務室へと向かっていき、ルーペアトも本来向かうはずだった場所へと歩を進めて行った。


 それから最後の確認も終わり、屋敷に帰ろうとしてきたところで、ちょうどイルゼも皇宮を出るところだった。

 よく見ると、イルゼは何やら大きな箱を持っている。


「何か貰ったの?」

「お礼に明日の衣装を頂いたのよ。お礼なんて良かったのに…」


 そう言いながらも嬉しそうな表情を隠せていない。

 ティハルトが選んだ衣装なら、絶対イルゼに似合うだろう。


「花のお礼?」

「ち、違うわよ、これはその…」

「大丈夫、花を渡したことはお義兄さんから聞いた。でも何の花だったかは二人の秘密にしたいから内緒、って言ってたよ」


 それを聞いたイルゼは顔を真っ赤にして、驚きのあまり呆然としていた。

 今の話はイルゼにとって刺激が強すぎたようだ。


「明日どんな衣装なのか楽しみにしてるね」

「もう…!本当にあなたは…、からかうなら明日衣装見せないわよ」

「ごめんごめん、でも今の話は事実だから」

「…そう、じゃあもう行くわね」

「また明日」


 イルゼと別れ、ルーペアトも屋敷にへと戻り、イルゼと会った話をリヴェスにしていた。


「ハルトがシュルツ公爵令嬢に衣装を…」


 お礼でもティハルトが一人の令嬢にそこまでするのは初めてのことだ。

 そもそもパーティーなどでパートナーと一緒に出席したのが、ヴィズィオネアでの時が初めてと言える程なのに。

 やはりお互い少しずつ好意が芽生えてきているに違いない。


「二人のこれからが楽しみですね」

「そうだな」


 明日のパーティーはリヴェスと初めての主役。不安や緊張はあるが準備も完璧だし、やれることはやった。


「明日頑張りましょう!」

「ああ、よろしくな」


 朝早くからやるべきことが多いため、今夜は早く眠りにつき明日へ備える。

 緊張のせいか鼓動が速く波打ってなかなか寝付けなかったが、気がつくとすっかり朝になっていた。


 ルーペアトは上体を起こし、腕を上げて身体を大きく伸ばす。


(今日一日、最後まで乗り切ろう)


 目が覚め気合を十分入れたところで、寝台から降りて早速準備を始めていった。

読んで頂きありがとうございました!


次回は日曜7時となります。


仕事の方が少し落ち着いてきたので、次の日曜日後から以前の更新頻度に戻したいと思います(*^^*)

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