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第112話 親友の訪問

 ハインツに戻って来てから数日が経っていた。

 その間、皇宮と屋敷を行き来し、パーティーの準備を進めていたのだが。

 少し時間ができた時、溜まっていた手紙を整理しようと漁っていれば、ウィノラからの手紙が混じっていることに気づく。


(いつ届いてたんだろう?)


 ルーペアトがヴィズィオネアに行っていたのは勿論知っているのだから、その期間に手紙を送ったりはしないだろう。

 最近届いたもので、パーティーに関する手紙で埋もれてしまい、気づけなかったようだ。


 開けて内容を確認しようとしていたところ、ハンナが扉を叩いて部屋に入って来る。


「ウィノラ様が来られました、お通ししてよろしいですか?」

「……え?」


 ルーペアトは一瞬固まってしまったが、ハンナの顔と手紙を交互に見つめた後、状況を理解する。


「すぐ通して…!」


 そうハンナに返答し、ルーペアトは慌てて手紙の文を読む。

 そこには屋敷に伺うということが書かれており、その日にちは今日だった。


 今日が屋敷に居る日で良かったと安堵すると共に、手紙を確認していなかったことの申し訳ない気持ちに苛まれる。

 頭を抱えるルーペアトだったが、とにかくウィノラに謝罪しなければ。

 そう思い扉の方へ行くために席を立つと、扉が開き勢いよくウィノラがルーペアトに抱きついてきた。


「うっ…」


 かなりの衝撃でさすがにルーペアトも鈍い声が出てしまった。


「久しぶりにやっと会えた!何で帰ってきたことすぐに教えてくれなかったの〜?!」

「ご、ごめんね…本当に…ごめん」


 ウィノラは目を潤ませ嘆きながらも、抱き締める力が強く、ルーペアトは苦し紛れに謝罪した。


「あ!苦しかったよね?!ごめん、つい嬉しくて…」

「大丈夫…、今度からはどれだけ強い力でも良いように鍛えるよ」


 女性の中で力がある方だと思っていたが、ウィノラの抱擁に耐えられないなんて、まだまだ鍛える余地があるというだろう。


 椅子に座ろうとしていたところで、ウィノラが机の上に置かれていた手紙に気づく。


「あれ?この手紙って私の?」

「うん、実はウィノラから手紙が来てたこと、ついさっき知って…」

「うえぇ?!」

「ごめんね」

「大丈夫!パーティーで忙しかったんだよね。あっちの机の上、手紙の山が出来てるよ」


 忙しかったのは事実なのだが、親友の手紙に気づかないなんて酷い人間だと、自己嫌悪に陥ってしまった。


「いつ送ってくれてたの?」

「三日前だよ」

「三日前…本当にごめん…」

「もう謝るの禁止!ルーの気持ちもわかるけど、私は全然怒ってないんだからね!」

「うん、ありがとう」


 手紙の話が終わった時、ちょうどハンナがお茶とお菓子を持って来てくれた。

 今日は時間があった日だし、手紙はウィノラが帰った後に整理するとして、今はウィノラとの会話を楽しむことにしよう。


「それにしても、ルーがヴィズィオネアの皇族だったなんてびっくりだよ!」

「実は私もヴィズィオネアに行くまで知らなかったんだよね」

「そうだったんだ!でも言われてみればそうだね…、皇族だとわかってたらルーの行動はおかしいから」


 ウィノラの言う通り皇族だとわかっていたなら、リヴェスと契約結婚なんてしていなかっただろう。

 ルーペアトの性格上、誰かを面倒事に巻き込むことはしたくないから。


「ヴィズィオネアでのことは、ノーヴァからもう全部聞いた?」

「聞いたよ!ルーが皇后になることも、弟がいたことも!私もルーの弟君に会いたいな〜」

「今度会わせてあげるね」


 ルーペアトの親友だと知れば、エデルもウィノラに友好的に接してくれるはずだ。

 ノーヴァはウィノラとヴィズィオネアに来るつもりらしいし、その時に会わせられるだろう。


 ウィノラはルーペアトを信仰しているし、エデルにも同じようになるかもしれない。

 そうなるとノーヴァがエデルに嫉妬しそうだ。


「そういえば他にノーヴァから何か聞いた?ヴィズィオネアに一緒に行くとか」

「聞いてないよ?あった出来事を聞いただけで、他は何も」

「そっか…」

「どうかしたの?」

「ううん、気にしないで」


(まだ告白してないんだ)


 話す頃合いを見計らっているのだろうか。

 そろそろ告白しても良いと思うのだが。このままだと、ウィノラとノーヴァよりも先に、ティハルトとイルゼが、なんてことが起きてしまうかもしれない。


 それからパーティーのことや、ヴィズィオネアでのことを話していれば、あっという間に夕方になってしまった。

 暗くなる前にウィノラを帰さなければ。


「今日は久しぶりにたくさん話せて楽しかった!またパーティーで会おうね!」

「うん、今日はありがとう。またね」


 ウィノラは馬車に乗って帰って行ったが、相変わらずノーヴァが過保護すぎて護衛が多いのが気になる。

 そこまでされても気づかないウィノラは、ルーペアトよりもかなり鈍感のようだ。

  ノーヴァには頑張れとしか言いようがない。


(さて、手紙の整理しないと)


 そしてルーペアトは夜遅くまで、山のように溜まった手紙を片付けて眠りについた。

読んで頂きありがとうございました!


あけましておめでとうございます!

今年も執筆頑張っていきますので、よろしくお願いします(*^^*)


次回は日曜7時となります。

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