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芽吹き

 幾日か後。

 毎晩行われる酒池肉林。

 卓の上には皿が所狭しと並び、その上には山の様に肉や魚、穀類や野菜、酒までもありまし。

 勤勉に苗を植え、耕し、水を与え、害獣から守り、やっと得た米を無造作に両手に抱えて、抵抗する者を蹴り飛ばして彼らは奪い取ってきたのです。

 身一つでは生きていけない大海原に向けて命懸けで漕ぎ出し、手に入れた魚を、船を壊して脅して、彼女らは喰らい尽くす。

 『殺す』か『殺される』か。二択の中で『殺す』を選べる様に在る為に知恵と弓を磨き、血に塗れてやっと得た肉を命など感じずに鬼は貪るのです。

 嗚呼楽しき鬼生也とばかりに笑い、嗤い、欲望のままに貪り喰い……最早堕落の底に行きついて。嗚呼これこそが鬼なのです。

 こうして、鬼は周囲を踏み躙り、奪い、貪り……貪るものが無くなれば島の外へまた蹂躙へ。

 無限ループ。簒奪する対象が居なくなれば本来終わる筈のループは『これくらい奪えば辛うじて死なない。また奪える。』という鬼達の非道な力加減で無限になっているのです。

 えっ?『警察は何故介入しないのか?』ですって?

 残念ながら地元の有力議員が鬼なのです。

 略奪した金品で議員に成り、警察に圧力をかけ、こうして色々狂気の沙汰が続いているのでした。


 「アァアアアーッハァッハァッハァ!呑め呑め呑め呑め呑め呑めめ呑の呑の呑の呑の呑の呑の呑の呑の呑の呑の呑のののめ?

 まぁ良っか!遠慮はいらん!好きなだけ喰え吞め歌え暴れろ壊せ奪え楽しめ!

 俺達には!それが!許されれれれれれれててテル!」

 完全に酒に呑まれている一際大きな鬼が、松明に照らされて夜の鬼ヶ島に声を響かせる。

 それに呼応して、鬼達は暴飲暴食という言葉を具現化する。

 毎日毎日。飽きることなく、暴れ狂い、飲み溺れる鬼達。


 そんな中で、種子は発芽する。

 誰も彼も、気付かない。そんな如何でも良い事より快楽に身を浸し、鬼達は破滅の道を自由落下していった。




 発芽が起きたのはある日の事でした。

 「痛ってッ!何だよ!こんな所にタケノコとドクダミと桃の木を置いたのは!」

 ある鬼が宴会の翌朝起きると、宴の席の周りがタケノコ&ドクダミで一杯になっていました。

 というか、見渡す限りタケノコ、成長した竹、ドクダミ、小さな桃の木が地面を覆っていたのです。

 「なんだよコレ!」

 鬼のその困惑の怒声が他の鬼を起こし……そして勿論騒ぎになりました。

 そう、黒犬カワチの宅配飛脚で送りつけられた『植物の種』の正体は、なんと!タケノコとドクダミと桃(?)………の種だったのです。




 因みに、竹もドクダミも危険植物図鑑に『繁殖力のえげつなさ』だけで載る程の逸材なので、このまま行くと鬼ヶ島の生態系は逝きます。



 雨後の筍という言葉がある様に、竹の成長速度は特に異常です。

 送りつけたペッシュコーポレーション。一体どんな企業なのでしょうか?

 因みに、そこの社章は桃色の木の実をデフォルメしたものです。そして、ペーパーなカンパニーです。

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