番外編 凜と二郎の不思議な関係 出会いの中学編⑧ ~悪あがきと激怒~
その顔見た純、千和子、瑠美は言葉通り氷のように固まった。
そこには生活指導兼生徒会担当の教師、吉田善がいた。
「小林、今までの全ての話は聞かせてもらったよ。おそらく校長や担任の先生だけじゃ無く、お前達のご両親や教育委員会にも話が広がる可能性もあるから、録音もさせてもらったぞ。」
善は事態の大きさを説明するように片手に持ったテープレコーダーを見せて、言い訳が聞かない状況である事を理解させた。それを見た三人は今度こそ完全に心が折られたのか、観念した様にうなだれてその場に座り込むのであった。
それはあまりにもあっけないほどの一瞬の出来事であった。
千和子は現実を受け入れられないように泣きながら「ごめんなさい」と繰り返し、瑠美は「くそったれ」と捨て台詞を言うと不機嫌そうに黙り込んだ。
それまでドヤ顔で御託を並べていた純もしばらく黙っていたが、善に連れられ教室から出て行こうとしたとき、急に何かを言い始めた。
「俺は悪くいない、俺は悪くない。俺は悪くない。あの女さえいなければこんな目に遭わなかったんだ。クソ!」
純が最後の悪あがきを叫んでいると、二郎が純の胸ぐらを掴み壁に体を押し当てて言った。
「お前みたいな薄汚れた野郎に傷つけられていい人なんて一人もいなんだよ。お前分かってんのか。お前の自分勝手な被害妄想のせいで、心を痛めて苦しんでいる人がいるって事を。あの人が、二階堂先輩が何も傷ついていないとでも思ってんのか。あの人は普段は毅然としているかもしれないけど、学校が終われば普通の女の子で、誰かの悪意に当然傷つくんだよ。・・・・いいか、俺はな、さっきお前らが言っていた姫を助けるナイトでも正義の味方でもない。お前達みたいなクズ野郎の敵だ。覚えておけ。あんなに心が綺麗でまっすぐな二階堂先輩のような人を傷つけようとするなら今度こそお前達を俺が潰してやる。その前に今回やったことをしっかり反省するんだな。どんなに白を切ろうが無駄だぞ。お前らの悪事は俺が一番見てきたんだから、いくらでも証言してやるわ」
二郎のあまりの剣幕に純や千和子、瑠美は絶句し、それを聞いていた一や善も目を丸くして驚いた様子で二郎を見た。二郎も我を取り戻し掴んでいた純の服を放し善に頭を下げた。
「先生、こんなことが二度と起こらないようにどうかよろしくお願いします」
「全く山田、お前は変な奴だな。去年も一度、喫煙問題でこんなことあったよな。そのときお前が俺のところにいきなり来たときも驚いたけど、今日はその比じゃ無いぞ。ふーっ、もちろんだ。ここからは私たち教員と学校の仕事だ。安心して大丈夫だ。こういう問題は俺が未然防がなきゃイケないのに、面倒掛けたな。ご苦労さん。それじゃ、お前達3人は職員室に来てもらおうか」
二郎に感謝と約束を伝えた善は3年3人を連れて今度こそ職員室へ向かった。




