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ボクっ娘剣士と奴隷少女の異世界甘々百合生活  作者: 沢鴨ゆうま
第二章 剣士となりて

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第三十四話 活気と恋気

Szene-01 一番地区、武具屋


 ダンとヘルマは混雑の中、ようやく武具屋の中に入ることができた。

 しかし店の中もごった返している。

 規模が小さいにもかかわらず、二人は人をかき分けてカウンターへと向かった。

 カウンターでは店主が忙しなく接客をしている。


「新品同様に直しておきまさあ。またのお越しを。はい、次の方。おっと、ちゃんと並んでくれないと……って、ダン様とヘルマじゃないですかあ。丁度良かった、話がありましてね」


 店主の大きな声が店内で響いたせいで、二人は客から注目されてしまう。


「ヘルマさんが見られて今日はいい日だな」

「ヘルマさん、ご機嫌麗しゅう」

「ヘルマさん、やっぱカッコいいな」


 ダンはカウンター越しに店主へ問う。


「なあ、どいつもこいつも俺に挨拶が無いんだが。どういうことだ?」

「そりゃあ誰しも美人が好きですからでしょうなあ。ヘルマは男女関係なく人気ありやすから」


 店主は二人にカウンターの中へ入るよう手招きをしながら、店の奥へ声を掛けた。


「見習いさん、代わりを頼めるかあ?」

「お? 手伝いがいるのか」

「さすがに手が回らないもんで。役場に依頼を出したんでさあ」


 呼ばれた見習いデュオが店の奥から出てきた。

 店主の誘いでカウンターの中へ入ったダン達と、間近で会った見習いデュオ。

 二人ともダンとヘルマの顔を交互に見ている。


「け、剣聖様!? は、初めまして! ほら、お前も挨拶して!」


 見習い剣士が慌ててダンへ挨拶をし、従者にも挨拶をさせた。


「そんなに固くならなくても大丈夫だ。奥では修理をしていたのか?」

「はい! 父から防具の手入れを学んでいましたので」

「ほほう、そいつは頼もしいな。細工の出来る剣士は貴重な人材だ。剣と共に成長して、是非とも町に貢献して欲しい。よろしくな!」


 ダンは見習い剣士の肩を軽く叩いて激励した。


「ありがとうございます! がんばります!」


 見習い剣士とその従者は元気に接客を始めた。

 ダンたちは、それを見届けつつ店の奥へと進んだ。


「やっぱりああいうものだろう。あの見習いは良い剣士になれるな」

「ダン様、自分の扱い次第になっていますね」

「そ、そんなことはないぞ。防具の手入れを仕事としてこなせる剣士はだな――」

「はいはい、店主も忙しいですから。行きますよ」


 ヘルマはダンの言うことに耳を貸さず、店主の後へ続くように背中を押した。


Szene-02 レアルプドルフ、町役場


 町役場では、町長がトゥサイ村への対応について、上級剣士を数人呼んで模索していた。


「ダン様のお考えからすると、小細工無しに攻め落とすのでは?」

「今さら交渉事をする必要は無いかと」


 上級剣士たちは攻め一択と言った様子。

 町長もそれぞれの言葉には大きく頷きながら聞いている。


「やはりそうですね。捕らえたあの者も、村長に捨てられる可能性が高い。ブーズの件があるので時間稼ぎに使えないかと思ったのですが……」


 上級剣士の一人が言う。


「町民は全員士気が上がっております。トゥサイ相手に西門周辺の防衛は何も怖くありません。ただ、トゥサイに加勢がいると話が変わります。いるとしても今は規模が分かりません」


 町長は目の合った役人にハーブティーのおかわりを目で頼みつつ、答える。


「あちらの情報が届くまでは西側を固めることで時間稼ぎをするしか無さそうですね」

「町長も焦っておられますかな? まずはブーズの壁作り。それが完成するまではひたすら待機ですぞ」


 町長は頭をひと掻きしてから結論を出した。


「それでは、牢の男はあのまま。ブーズの壁建築中に何かあれば使うこととしましょう。時が来るまで少々時間が掛かると思われますが、皆で士気が下がらないように鼓舞をしながら動くということでよろしいか?」


 その場に呼ばれた上級剣士は全員が挙手をして、賛成の意思表示をした。


Szene-03 ダン家


 エールタインはルイーサからの告白について、ヨハナに相談をしていた。


「女同士で付き合うってどうしたらいいのかな」

「あちらがどこまでのお気持ちなのかによると思われますが」


 ティベルダは上目遣いで主人を凝視している。

 ヨハナは以前ダン家に訪れた時のルイーサに対するティベルダを見ているので、特に驚きはしない。


「エール様は同世代の男性に知り合いがいらっしゃいませんし、恋の気持ちを感じたことが無いのですよね?」

「そっか、ルイーサはボクに恋をしているってことなんだね。好かれるのは嫌ではないし、むしろ嬉しいしか無い。すでにティベルダから好かれているし、ボクもティベルダが好きだ」


 その言葉にティベルダは即反応した。


「エール様は私の事が好き……えへへ」


 ティベルダは、いつ目の色を変えるのかと周りを気にさせる空気が止んだ。

 一転、表情がとろけるように崩れる。


「ティベルダと同じような感じということならボクは構わないなあ。ルイーサは剣士同士としても話が合うし、頼りにもなる。そんな人に好かれているって素敵だよね」

「エール様らしいです。焦るお話では無いので、こまめに会ってお話をたくさんされると良いのではないでしょうか。あちらの気持ちとエール様の気持ちを合わせていけば良いかと」


 エールタインはティベルダのご機嫌が戻ったのを見て、頭を撫でた。


「そうだね。ヨハナ、ありがと。ゆっくり話していけばいいし、そのためには何度も会う。連携ももっと上手くなれそうだね!」

「ルイーサ様は大変そうですけれど、好きになった人の負けと言いますし」

「どういうこと?」

「いえいえ。それはお気になさらず」


 ヨハナはエールタインに片手を振ってみせた。

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