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53話目 ホフマン

「・・・そちらの方は?」



「拾った。」



「・・・元の場所に返して来てください。」



「いやいや、犬猫の類じゃないからね!?」



「じゃあ、どういうことですか!?

 私に分かるように説明してください!

 どうして、朝出かけたかと思ったら、

 帰ってきたら大人の男の人と一緒に帰ってくるんですか!?」



エヴァさんと漫才をしている間にノースベルト公爵家の使用人の方々は、

すぐにホフマンの対応の準備を進めてくれる。


その間に俺はエヴァさんに本日あった出来事の説明をする。




「・・・剣聖ってそんな方なんですね・・・。」



「まったくね。あんなのだとは知らなかったよ。」



ゲームの世界では、主人公が入門しに行くと満面の笑みで迎え入れてくれたというのに・・・


いや、まあ、今考えれば、今日の出来事を照らし合わせると

王太子殿下の立場で行くから満面の笑みで迎えてくれたんだろうね・・・。



・・・クッソ・・・



ゲームだったら円滑に進めていけるのに、

全然ゲームのように簡単には事がならない。


必死の思いでこっちは準男爵になったというのに・・・


・・・まあ、グチっても仕方ないな。現実を見よう。


自分の気持ちを切り替えて、次の問題へと取り掛かる。

食事を終えて、ノースベルト公爵家の客間を借りて、ホフマンと話をするのだ。




「まあ、とりあえずこの果物を食べてから話をしようか。」


そう言いながら、二つの木の実をアイテムボックスから取り出して、

一つをホフマンへと差し出す。


言われるがまま、受け取ったホフマンは、

何も考えられないようでそのまま警戒をすることもなく食べるのであった。


食べ終わってから、俺は、ホフマンからの身の上話を聞く。


どうやらホフマンは、3回の王国騎士団の入隊試験を受けて、

何とか合格したらしい苦労人だ。


そんな彼が一番の壁に直面していたのは、




「・・・後から入ってきた新人に負けたことか・・・。」


どうやら、彼は王国騎士団の一員とは言え、最下位らしい。


そして新人にも負けてしまって、藁にも縋るつもりで

ロイヤルハイアット流剣術道場の扉を叩いたのだが、




「そこにいた、剣聖の娘にも負けたと・・・。」



ああ、その子が何者かはわかるよ。

その子がメインヒロインの一人であり、そして・・・




俺と同じ聖騎士を持つ人物・・・




“アリス・フォン・ソードズマン”



入学当初から最強の剣の腕前を持っていた設定だったから、

俺と同じ11歳とは言え、そこそこ強いんだろうな。


上級職だから、レベルも上げようと思えば、かなり上限なしで上げれるし。

それに対してホフマンは現時点でレベル15。


確かに騎士としては強い分類に入るだろうけど、

王国騎士団ともなれば、そこそこの中級職とか、

職が低いとは言えレベルが上がりそうな連中が大勢いるだろうからね。


その中でそのレベルで、しかもそこが限界だったら苦しいよね。



・・・まあ、レベルの問題をクリアすれば使えそうな人材だけどね・・・


人柄はいいし、何やら正義感が強そうな感じも受ける。

頭の回転も早いから、受け答えも問題ないし。

こういうのが傍にいると心強いよね。


それに今は、一人でも人材が欲しい時期である。


ならば、このホフマンを迎え入れるのに問題なし!!


ただまあ、王国騎士団に所属しているのをスカウトするのも

王国に刃を向けるようで、どうしようかと悩んでいると、




「あと・・・本日こんなモノを渡されたのです。」


沈痛な面持ちで一枚の紙を差し出してくるホフマン。


差し出された手紙を受け取って、

中身を拝見するとホフマンにとっては絶望の中身であるが、

俺にとってはなんと嬉しい手紙であろうか!




「これで私は・・・王国騎士団の一員でもなくなったのです・・・。」


絶望が顔に張り付いているようなホフマンに、

なんと声をかけていいのか戸惑うが、

それよりもこんなチャンスを逃すわけにはいかない!といった思いが駆ける。




「じゃあ、これで遠慮なくホフマンを

 アズーリ準男爵家に迎え入れることが出来るんだな。」


その言葉を聞いたホフマンは絶望の顔から

鳩が豆鉄砲を食ったよう表情へと変わる。


そして何を言っているか分からないと言った表情へと変わり、

次にはわなわなと震えたかと思えば、




「・・・私は王国騎士団から除名された身でございます。」



「ナイスタイミングだよね。」



「その理由が・・・弱いからでございます。」



「これから強くなっていけばいいじゃん。」



「私は・・・私は・・・れ、レベル15で頭打ちでございます。

 これ以上は、上がりません・・・。」



「上げる方法はあるだろうに?格上げの実を食べるとかさ。」


俺がホフマンの意見をすべて否定するのだが、

その言葉がホフマンにはなかなか届かない。


だからと言って、ホフマンのことを諦めるつもりなんて俺には全くない。




「こんな弱輩な騎士が傍にいても、ただ迷惑をかけるだけです。」



「別に迷惑かどうかを判断するのは俺が決めることだし。」



「私と一緒にいるところを見られれば、

 きっと笑い者にされてしまいます。」



「別に気にしない。笑いたい奴には、笑わせとけばいいんだよ。」



「ですが・・・・。」




バン!!!


俺は、二人の間にあった机の上を片手で勢いよく叩き、

言葉を紡ごうとするホフマンの言葉を遮って、




「ガタガタ言わずに俺に付いてこい!

 俺がホフマンを認めたんだ!

 それで十分だろう?それ以上の言葉は不要だ。」


その言葉を聞いたホフマンはうなだれて、小さく肩を震わせる。

その後、二人の間にしばしの沈黙があったと、小さな声でホフマンが、




「・・・ありがとう・・・ございます・・・。」



よし!これで未来の騎士団長をゲットだ!!


気づいた点は修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。


いつも読んでいただきありがとうございます。

是非ともブックマークと評価をよろしくお願いします。

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