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289話目 年末を迎えて

いつも読んでいただきありがとうございます。

今日もよろしくお願いしますねー!

「はぁ~……本当に大変な一年だったな……」



そんな言葉が口から漏れてしまう。

さらに口だけではなく机にうつ伏せになりながら伸びをしていると、




「マコト様、誰かが来るかもしれませんので

 そのようなだらしない姿はお止めください」



プルメリアが苦笑しながら俺のだらしない姿に注意をしてきたので、

ゆっくりと身体を起こすのだが、そこで全く予想していなかったことが起きる。




「……何これ?」



俺が起き上がって出来た机の空白地に書類の束を置くエヴァさん。

俺からの指摘を受けたエヴァさんは、当然といった感じで澄ました顔をして、




「さすがはマコト様ですね。

 年末だというのにも関わらずお仕事をこんな抱えておられるとは、

 部下として本当に頭が上がりません」



「全然抱えたくもないし、こんな姿を褒められても嬉しくないのだけど……」



そんな俺の返答にエヴァさんはニッコリと微笑みながら、




「ただの嫌みです」



「……ですよねぇ~……っていうか、ちょっと多くない?」



思わずため息をつきたくなるし、何かを言いたくもなる。

だけど、そんなことをしてもここに山積みにされた書類の束は減らない。


だから渋々といった感じで、口では不満を言うのだが、

それでもすでに動き出して書類に目を通して、内容を把握してからサインをする。


俺のサインが完了するとすぐにエヴァさんが書類を受け取りながら、

次の書類を差し出してくるのだ。


もうすでに流れ作業が出来ていると言うのも何とも言えないけど……




「これでも大半は私とプルメリア様でこなしておりますが?

 ここにあるのは、マコト様の承認が必要な書類のみになっております。

 私達は……この100倍程の書類を捌いております」



俺の言葉に返事をくれるのはいいけど、

そう言われると次の言葉を失ってしまう。




「……ありがとうございます」



とりあえずのお礼を言いながら、黙って書類を読んではサインをしていき、

承認出来ないモノは横へと置いていく。


承認しなかった書類をプルメリアが手に取ってから中身を読んでは苦笑して、




「この案件は承認されないのですか? 私は良い申請だと思いますが」



「……何で俺の石像型の門を建てるんだよ!

 通行時は股の下に設置した門をくぐるって……

 じゃあ、俺の石像いらないよね?

 邪魔で仕方がないだろうに……

 守るにしても石像部分になっているから警備のための門の上に兵士が配置出来ないし、

 街にしても日陰を多くつくるだけの邪魔なオブジェでしかないじゃないか」



「もしかしたら魔物がマコト様の姿を見て、逃げたすかもしれませんが?」



「石像だよ? ただの? ただの石像にそんな力が宿るのなら喜んで承認するよ」



そんな俺の言葉にプルメリアは苦笑をし、

エヴァさんは何とも言えない顔をするなかで

俺達がまったく予想していない場所から返事が返ってきた。




「いいのですか!?

 もし魔物を退ける力を持った石像であるなら、

 マコト様の石像型の門を設置していいのですね!!」



嬉々とした声を上げるのはローズである。

すぐにプルメリアの傍に駆け寄ったかと思ったら、

手に持っていた書類を素早く取り中身を確認するローズ。




「いや、ちょっと待て!

 お前なら何かとんでもない魔改造をしそうだ!

 今言ったことはな……」



そこまで言いかけたところですでにローズの姿はどこにも見あたらないのである!


いやいや、行動が早すぎやしませんかね!?


俺の言葉を一切聞きやしない!!


いや、ある意味自分に都合のいい所は聞いているけどね!!




「くぅ! あいつならやりかねん! 止めないと!」



ローズを止めるため俺が慌てて立ち上がったところで

エヴァさんとプルメリアが俺の前に立ちはだかる!




「マコト様、どちらへ?」



「まだまだ仕事はございますが?」



二人の視線が、俺の執務机の上に置かれている書類を指す。

確かに……確かにそうだけど!!




「いや、それは分かってるけど……

 ローズを止めないとアズーリ領に最大の汚点が生まれる可能性があるんだよ!

 二人なら分かるだろう!?

 あいつに任せたらダメなんだって!! こんな案件は!!」



「分かっているのであれば書類の確認をお願いします。

 早くしなければ、年があけてしまいますよ?」



「いやいや、年越しにこんなに仕事を持ってこなくてもいいじゃんか!?

 って言うか、汚点の方に食いついて!! 仕事のことじゃなくてさ!!」



「ならば、書類を学園に届けましょうか?」



完全にこちらの訴えをスルーして、仕事のことのみを尋ねてくるエヴァさん。


その言葉を言われると言葉が思わず詰まってしまう。

だって、学園にまで書類が送られるなんて……苦痛で仕方がないじゃんか!!




「いやいや、学生の本文は学業だからね?

 学業を疎かにするわけにはいかないでしょう!!

 残念ながらさ!

 そう! 本当に残念だけど!!」



「……もう学生を辞めませんか?」



エヴァさんがため息をつきながらそんなことを言って来るのである!




「いやいや、学生は辞めませんよ!?

 辞めたら絶対にここぞとばかりに働かせるだろう!!」



そんな俺の指摘にエヴァさんとプルメリアは無言で微笑むだけであった。




「いや、そこは何か返答していただける方がいいんですけどね!?」


いつも読んでいただきありがとうございます。

是非ともブックマークおよび評価をお願いします。

そのワンポチが…やる気スイッチに直結しておりまーす!

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