27話目 ルック子爵
誤字脱字が多くて本当にごめん!
「「・・・。」」
オリヴィアの執務室に通されたのだが、そこにオリヴィアはいなかった。
その代わりにいたのは、一人の騎士である。
身なりはいいし、顔もいい。
こんな側近がオリヴィアの傍にいたっけな?
そんな疑問を俺は相手の顔を見ながら思っていると、
相手の方もまたこちらを見定めるように見つめてきて、
二人の間でしばらくの沈黙が流れた。
その沈黙は、その騎士によって破られるのだが、次の瞬間、
「チィ!・・・こんな下賤な者がオリヴィア様の傍にいるなどと・・・。」
完全に見下し発言を俺にしてくる騎士。
ああ、なるほど・・・
ちょいちょいいる平民を見下すタイプの騎士や貴族の典型例かっと悟ると、
この騎士に対しての興味が全くなくなる。
何やら騎士がこちらに向かって罵ってくる言葉を掛けてくるが、耳に入ってこない。
とりあえずオリヴィアが来るまでのんびりと待っておくか・・・
「聞いているのか!この下賤!オリヴィア様の傍から離れろ!
さもなくば、この私の剣の錆にしてやるぞ!!!」
どうやらイライラがピークに達したようで、
啖呵を切って俺に詰め寄ろうとしたところで、
タイミングよく?執務室の入り口の扉が開いて、
オリヴィアとその後ろからエールが入ってきたのである。
オリヴィアが入室するとサッと澄ました顔をして騎士は、
そのまま何事もなかったように頭を下げる。
オリヴィアの方は、そんな騎士に言葉を掛けるわけでもなく
横を通り過ぎていき自分の執務室の机へと向かう。
騎士の方も特にそんな態度を問題だと思っておらず、
そのまま頭を下げたままオリヴィアが通り過ぎていくのを見送った。
そして頭を上げて後ろに続くエールを見るのだが・・・
今にも射殺すかのような目をしてエールを睨んだのである。
そんな目で見られるエールは、どこ吹く風の様子で
その騎士を完全に無視してオリヴィアの方へと視線を向けていた。
だいたいわかった・・・
その騎士とエールの関係にすぐに気づく。
エールは平民出身であるし、さらにはオリヴィアの側近だ。
嫌われる要素しかないね。まあ、本人が気にしてなさそうだけど・・・
「さてと、二人がそろったみたいだし、時間もないからササっと済ませてしまおう。
“二人”で宿場町を建設してもらう。」
「「・・・はぁ?」」
思わず、目を見開いて驚いた声を上げてしまう。
あの話は与太話じゃなかったのかよ・・・
俺と同時に騎士からも驚きの声が上がっていた。
そしてすぐに声を荒げて、
「こんな平民の子供と共にですか!?おっしゃられる意味が分かりません!!
私だけにご命令ください!」
喰ってかかるようにオリヴィアにいう騎士に対して
ため息交じりでオリヴィアが、
「ルック、そこのガキは先の“オリヴィア平原”で
私と共にドラゴンに戦いを挑んだガキだ。」
その言葉を聞いたルックと呼ばれた騎士は目を見開いて驚いたが、
すぐにオリヴィアの方へと顔を向けて、
「なぜ私をドラゴンとの戦いに参加させていただけなかったのですか!?
エールなどと共に向かったと聞いていますが・・・
私こそ、このノースベルト公爵家に仕える騎士の中で最強だと自負しております。
その私を差し置いて、エールやましてやこんなガ・・・子供と共に
ドラゴンと対峙したとは・・・。」
怒気で完全に顔を真っ赤にしているルックに対して、鼻を鳴らしてオリヴィアは、
「こいつらの方が優秀だっただけだ。」
「なぁ!!!!」
驚きと共に屈辱を受けた顔をするルック。
そんなルックを見て、オリヴィアは何か妙案が浮かんだようで、
「そうだな私の目が節穴だったかもしれないな。
それに共に仕事をするのは難しいようだから、
ノースベルト側からとブバルディア側から宿場町を築いてきて、
どちらが多くの宿場町を建設できるのかを競ってもらうとしよう。
そうすれば、私の節穴の目でもどちらが優秀かを判断できるだろう。
それと宿場町を建設し完成したら、その土地は建設した者の土地として
やるように取り計らってやる。」
その言葉を聞いたルックは、今度は満面の笑みを浮かべて、
「素晴らしい案でございます。このルック、全身全霊を込めて宿場町建設に
取り組ませていただきます。」
まさに典型的な腰巾着のような態度でオリヴィアに賛同するルック。
そんなルックの言葉に対して、オリヴィアは、
「まあ、ただ問題もある。」
「・・・問題・・・ですか?」
「ああ、我がノースベルト家は名ばかりの公爵家だからな。
金がない。だから、工費はだせない。」
その言葉に一瞬顔を強張らせたルックであったが、
すぐに俺の方を向いてニヤリと笑う。
そして、その言葉をどうとらえたのか、目を輝かせてオリヴィアへ返答をする。
「問題ございません。騎士として主のために尽くすのは当然のことです。
そこの・・・子供には、難しいかもしれませんが、
このルック、子爵家の身でございます。
ルック家子爵系の私財を投げうってでもオリヴィア様のご命令を遂行させていただきます。
それにこの宿場町の建設は、素晴らしい案でございます。
今、不況がこの王国を蔓延しているため、私財を投げうってでも
民に奉仕をするべきタイミングでございましょう。
この公共事業でますますオリヴィア様の名声は上がっていきます。
それに・・・・。」
そこからしばらくオリヴィアを賛美する言葉がひたすら並べられていく。
目をつぶって、熱を帯びた手振りを加えて演説をしているルックに対して、
すでに興味がないようで机に置かれていた書類に目を通し始めるオリヴィア。
ちなみに俺たちと一緒に並んでいるエールの方は、欠伸をしたかと思うと、
器用にも立ちながら寝始める始末だ。
そこからしばらくして、ご演説が終わりに近づいてきてルックが、
「それと最後ですが、この子にはノースベルト側から工事を行っていただきましょう。
子供の足で王都まで行くとなると大変かと思います。
それならば、その不利を私が背負いましょう。
騎士として、子供に不利な状況を与えるわけにはいきません。」
・・・いや、そう言いうなら、私財を投じろという点を何とかしてもらいたいんだけど。
子供に宿場町を建設できるほどの私財があると思ってるのか?というか、
ないと判断したからこの提案を喜々として受け入れたんだろうに!!
・・・わかるよ・・・考えていることが・・・
で、こちらがこんなに不利なのにその提案を受け入れろと?
・・・まあ、一か所でもできればいいか・・・
そこでのんびり暮らそう。
ちょっとノースベルトに近い場所って言うのが気にはなるけど、
そんなワガママがいえる立場でもないしな。
とりあえず、安全でのんびりとしていたらお金が入ってくる生活を
目指せるチャンスなんだ!!
ならば、頑張るしかないな!!
そんな決意をしていると隣に並んでいたルックがすぐにオリヴィアに挨拶をして、
部屋から出て行った。
なので、俺の方も出て行こうかとしたところ、オリヴィアに呼び止められて・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。
是非ともブックマークと評価をよろしくお願いします!
あ、だけど、ガラスのアートなので星は・・・5つが・・・いいっす!




